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2010.03.11

マスランカの空気

David Maslanka, 20100310先日こちらでも告知させていただいた、アメリカの現代作曲家デイヴィッド・マスランカのマスタークラス&レクチャーリサイタルに行ってきたところ(ルーテル市ヶ谷センター)。

午後4時スタートとのことで、会社は休暇取って行ったのだが、会場にはいつもよく顔を合わせるアマチュア仲間たちの顔も意外とたくさんあった。
マスタークラス受講のTsukubaSaxQ.繋がりということか。私も似たようなもんだ。
これもある種の「共犯」、と言えましょう。

プログラムは別掲のとおりだったけれど、たいへん残念なことにアメリカ国内での移動トラブルによりマスランカ氏の成田への到着がまる1日遅れ、午後4時の部に到着が間に合わず、内容が大幅変更となってしまった。
夜の部に出演するお二人のマスタークラスは取り止めとなり、その代わりに雲井さんが当初予定になかった「コンチェルト」の残り2~5楽章のピアノリダクション版を演奏。
TsukubaSaxQ.は、雲井さん以下雲カルメンバーによる集団公開レッスンとなった。

14日に岡崎まで行かなければ聴けなかった筈の「コンチェルト」全曲が(はからずも)聴けたのは良かったけれど、マスタークラス受講予定だった方々にとっては、上りかけた梯子を外されたような残念な気分だっただろう。
まあ、でも、これは将来きっと何らかの形でお釣りが返ってくる事態があるだろうことを私としては予想している。

TsukubaSaxQ.の演奏する「レシテーション・ブック」は、若々しい勢いと気合にあふれた、「センセーショナル」と言ってもいい、たいへん聴き応えあるものだった。
私はたぶんはじめて聴いたけれど、正直びっくりしましたよ。
「アマチュア代表」として、客席の音大生たちにショックを与えた(雲井さんも、それが目的、みたいなことを仰っていた)こととは思うが、勿論アマチュア衆の皆が皆ああいうことが出来る訳ではない(笑)。
やべえっ、オレも頑張らなきゃ、というふうにはあんまり思わなかった(20年前なら思ったかもしれない)。
この先ますます、「自分にできること」をきちんとやって行かなければいけないなあ、とは思った。
それぞれが、それぞれに、自分たちの出来ることを手抜きなくする、というのが、そもそも世の中をきちんと回していく要諦ではあろう。

マスタークラス終了後は、夜の部開演まで1時間少々の休憩。
お濠端の表通りのデニーズに入り、静岡から聴きに出てきた友人達とお喋り。
出演者やらお客さんやら、みんなこの店に入ってきて、大賑わい。

夜の部開演。
マスランカ氏、無事到着。
雲カル佐藤さんの通訳で、プログラムの各曲の前にマスランカ氏がステージに上って一言ずつ喋る。
長身だけれど小顔で、喋る声もそんなに大きくはない。
歩く度に、周囲の空気をも一緒に連れて動いているような、不思議な雰囲気というか存在感を備えた方だ。
何か、その周辺だけ時間さえもゆっくり流れているような。
いろいろなコンサート会場で、世界的ソリストや世界的指揮者といった方々をよく見るけれど、こういう存在感というのはあまり見覚えがない。
芸術家というよりは、超能力者のような。(本物の超能力者というのは見たことがないが)
そういえばマイク(PA)の調子が夕方の部からずっと今一つだったけれど、マスランカ氏が喋る時だけ最初から最後までNo problem、というのもちょっと不思議だった。

尋常でない集中にみちた演奏が続いた。
目を瞑って聴いていると、音がまるで放射線のように自分を貫いて通過していく感じがする。
聞こえる音が音楽なのか、音が自分を貫く際に痕跡として見えるヴィジョンのようなものが音楽なのか、判然としない。
そういえば彼の「子供の夢の庭」という一番知られた吹奏楽曲は、そんな曲だった。
夢が音楽なのか、音楽が夢なのか、という。
最後、雲カルの「レシテーション・ブック」で、その雰囲気は頂点に達した。
すごかったですよ。ツクバのレシテーション・ブックも凄いと思ったけれど、次元が違う。
「プロだから」、ってだけの違いではない。おそらく。
クラシックのコンサートでは、「音楽の神様が舞い降りたような」、という表現をする時があるけれど、そんな感じ。
でも、ここに神様はいない。
いたのはデイヴィッド・マスランカ本人である。
このような経験をすることのできた僥倖を、今日いた百数十人のお客さんと共に感謝したいと思う。

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