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2010.01.24

フェルリングのCD

今週は客先で連日1日12時間以上PC作業をしていたりして、すっかり生活のペースが狂ってしまった。
チケットを持っていたコンサートを3日連続で無駄にしてしまった。残念ながらよくあることで、そもそも自分の能力不足のためという面もあるので、諦めはついてるんだけど。…

W.Ferling

雲井さんと林田さんがレコーディングした、フェルリング(ミュール編)のサクソフォンのための「48のエチュード」のCD(Bitmap Music)を聴いた。
1週間くらい前に入手していたが、そんなわけで全く聴いている暇がなかった。

これは大変な仕事だと思う。
「上級者」と呼ばれる人なら誰もが手がけるこのエチュードの全曲の「模範演奏」を世に出すというのは、「プロ」の演奏家として最もチャレンジングな仕事といっていいだろう。
フェルリングの48曲の他に、ミュールが追加作曲した12曲もすべて収録(雲井さんが32曲、林田さんが28曲担当)。2枚組。
おふたりの音は、共通する美観に基づきながらも、こうして対峙するように聴くとはっきりと違いが分かる。
林田さんのトラックが、ときおりとてもテンションが高くて、おおっ、と思う。

この手の「模範演奏」の存在には、否定的な意見を言う人もいる。
耳で聴いて「真似をしてしまう」ことで、楽譜を読み込む力(要するに「ソルフェージュ力」だ)の発達が損なわれる、とか。
でも結局、私たちがレッスンを受けるというのは、「師匠」の真似をするところから始まるのだから、だったら導入段階を効率的にするツールとして考えたっていいんじゃないの、と思う。
こういう「ツール」がありながら、なお生徒の「ソルフェージュ力」を高めることができるとしたら、それこそが「師匠」の技量だ。
この世の中には、目的と使い方さえ誤らなければ、「間違った練習法」や「間違ったエチュード」というのは存在しない。
ヨットは追い風だろうが向かい風だろうが、操縦次第で意図する方向に進むことができるように。
ラヴェルは言っている。「独創性は真似することはできない。しかし、独創的であろうと思ったら、まずは真似するしかないのである」と。
ちょっと外しているかもしれないが。

…思うところはたくさんあるけれど、ワタシ的には20年近く前に、芋窪街道沿いのアパートの一室でレッスンを受けていた頃をまざまざと思い出させるものがあって、客観的に聴きづらいところもある。

ブックレットに書かれた、雲井さんによる全60曲ひとつひとつの31ページに及ぶ解説がまた、圧巻。
原稿用紙何十枚ぶんの分量になるのだろうか(いまどき原稿用紙で文章書く人もあんまりいないが)。
極言すれば、この文章だけでも5000円の価値はあると言ってもいい。

最後にボーナストラックとして、アドルフ・サックスの工房で作られた20世紀初頭の楽器による2曲(1番と21番)。
あっ、阪口先生の音に似てる、というのが第一印象だった。


ところでフェルリングのCDといえば、須川さんも抜粋でこんなのを作っている。

W.Ferling

オランダのde haske社の「須川展也presents」シリーズのひとつ、オランダ人作曲家A.Waigneinが新たに作曲したピアノ伴奏パートを伴う、33曲の抜粋。
私が持っているのは、楽譜(サクソフォンのみ)とCD(須川さんの演奏と、ピアノパートのみのカラオケ版の2枚)のセット。
ピアノパートの楽譜は別売となっている。
このCDを買おうというほどの人なら、フェルリングのエチュード(本)自体は既に持っている人がほとんどだと思うので、ピアノパートの楽譜+CDのセットだったら良かったのだが。

ちなみに楽譜の見てくれはこんな感じ(1番)。
なんだか別の曲みたいだ。

W.Ferling_No.1

須川さんの演奏は、やはりとても真面目なんだけれど、この商品の特長はなんといってもピアノパートの存在だろう(CDのピアノ演奏は小柳美奈子さん)。
10番のTempo di Polacca(ポロネーズ)なんか、なるほど、こういう音楽だったのか!という気分にさせられる。
A.Waignein(1942-)という作曲家はサクソフォンの作品も何曲かある方で、オーソドックスなように見えてよく聴くと結構過激なピアノパートを書いている。

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