ラザレフのプロコ第3弾
日本フィルハーモニー交響楽団 第614回定期演奏会(サントリーホール)
チャイコフスキー/幻想序曲「ハムレット」
モーツァルト/ピアノ協奏曲第27番(Pf:田村響)
プロコフィエフ/交響曲第3番~歌劇『炎の天使』による
指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィル首席指揮者ラザレフによる、プロコフィエフ全交響曲シリーズの第3回。
今回もますます面白く、好調。
1曲めのチャイコフスキー「ハムレット」が今日の白眉だったと思う。
あまり聴いたことのない曲だけど、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」みたいな主題の聞こえる、ドラマティックな序曲だった。同じチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」ほどには洗練されておらず、ロシア的野性味を残した音楽だと思ったのは、演奏のせいもあるかな。
高音から低音まですべて揃って塊になって押し寄せるかのような、本当にロシアのオーケストラみたいな怒濤のサウンドに痺れた。
ソロオーボエ(オケのメンバー表にはない、若い女性奏者だった)の泣きのソロがまた素晴らしく、演奏終了後のラザレフ氏、オーボエ奏者を立たせるだけでは物足りないか、オケの真ん中まで歩いて行って、手をとって一番前まで連れて行き、指揮台の上に上げて、喝采。
6月と同じパターンだ(笑)
モーツァルトは、ちょっと物足りなかった。
音の輪郭がはっきりしないし(ホールのせいだけではないと思う)、始めのうちテンポも微妙に定まらなくて、ちょっと眠くなりかけた。勿論、とっても細かなレベルの話だけれど。
昨日のモーツァルトはやっぱり特別だったんだな、と改めて思った。
でもピアノソロは綺麗だった。サントリーホールでこんなに粒立ちのよい美しいピアノの音を聴いたのは久しぶりだ。
今日座った席はRBブロックの3列め。ちょうどピアノ越しにソリストの顔を正面から見るくらいの位置だけど、別の機会にもういちどこのへんの席で別のピアノ協奏曲を聴いてみよう。
最後のプロコフィエフはさすが、素晴らしかった。
激烈な不協和音とかなんとか、曲目解説にはいろいろ脅し文句のようなことが書いてあるけれど、虚心に聴けばそれほど怖がるようなものではない。とても生き生きとした熱い演奏だったし、どうだい、素晴らしい音楽だろう、というメッセージが伝わってくるかのようだった。
またラザレフという人は、日本フィルの音色や美質をよく把握し、それをちゃんと保持した上でトレーニングに励んでいることがよく分かった。
実は今、ある超有名日本人指揮者がベルリンフィルを振った同じ曲のCDを聴きながらPCに向かっているんだけど、はっきり言って今日のほうがずーっと面白い演奏だったぞ。
残すは、あと4、5、6番。
ここまで来たら完走を目指すしかないか。
アンコールに、やはりプロコフィエフの「シンデレラ」のワルツ。
一番最後の音符を鳴らすと同時に客席のほうへ向き直るという、ラザレフ氏お得意のパターンで、大喝采のなか終演。
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