異才たちの名演
最近入手してハマっているCDについて、2枚ばかりレビューを書いてみます。
リヒテル・プレイズ・ドビュッシー(Melodiya)
ドビュッシー/ベルガマスク組曲、前奏曲第1巻より4曲、前奏曲集第2巻(全曲)
メロディアというのはその昔のソ連国営レコード会社で、ソビエト国内で制作されるレコードのマネジメントを一手に仕切っていたけれど、ソ連崩壊後のゴタゴタのあおりを食っていまやほぼ消滅状態だったはずだが、ここに来て昔日と同じ懐かしいロゴマークとともに復活を果たしたようだ。
で、これはつい最近リリースされた、巨人スヴャトスラフ・リヒテルの弾くドビュッシーのライブ録音。
「ベルガマスク組曲」が、おそるべき名演なのですよ。
音色は透明でしかも暖かで、音そのものが「快感」だし、「プレリュード」や「月の光」では、ものすごい集中力とともに一歩一歩しずしずと歩いて行くような演奏を聴かせるかと思うと(「月の光」は6分30秒も費やしている)、「メヌエット」では、数々聴いたこの曲の演奏の中でもフランソワの録音でしか感じとれなかった軽々としたファンタジーの飛翔がある。
ライブ録音なのでノイズはあるし(かなり遠慮のない咳とか^^;)、ほんの少しミスタッチもあるけれど、フランソワ、児玉桃、ブーニンなどを抜いて、私の「ベルガマスク組曲」お気に入りNo.1に決定。
前奏曲集第2巻も、やはり強烈な集中力で弾かれた演奏(あまりに集中力が強すぎて12曲持たず、6曲めでいったん拍手が来る)だけれど、この曲をこういうふうに弾く人は他にもいそうだが「ベルガマスク」はやはり、リヒテルならではの世界でしょう。
そういえば思い出したが、私が最初に親しんだドビュッシーのピアノ曲は、高校生の時(1977-78年頃)FMでエアチェック(死語)した、やはりリヒテルの「ベルガマスク組曲」と「版画」のライブだった。
ばかでかいモノラルのラジカセで、飽きもせず繰り返し聴きましたよ。(それからしばらく経って、フランソワのレコードを買った。)
このCDは1979年のライブなので、FMで流れた演奏とは違うけれど、時期的にはかなり近い。
だからこんなにしっくり聴けるのかな。
ブラームス/クラリネットソナタ第1番、第2番(Harmonia mundi)
ミシェル・ポルタルCl、ジョルジュ・プリュデルマシェルPf
ミシェル・ポルタル(1935-)といえば、フランスを代表するクラリネット奏者にして、サックスも吹き、殆どフリージャズに近いジャズも演り、バンドネオンも弾くというマルチ・ミュージシャン。
この人の演奏するジャズはそれは凄いものだそうだが、未だ聴く機会に恵まれない。
こちらは最近、仏ハルモニア・ムンディのバジェット・シリーズで新装再発売された、1969年録音のブラームス。
あまり「クラリネット」臭くない演奏だ。
とても起伏が大きく、ヴィブラートもかなり派手にかかるし、かと思うと一転とてもシンプルな音で、リコーダーか何かみたいに聞こえる瞬間もある。
ブラームスのクラリネットソナタは、サクソフォンで編曲・演奏されることが時々あるけれど、そういう視点から見てとても共感度の高い演奏のように感じる。
クラリネット的にはどうなんでしょうね。
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