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2009.09.02

グルッペン観戦記

SummerFes2009サントリー音楽財団創設40周年記念 サマーフェスティバル2009
特別演奏会「グルッペン」(サントリーホール)

リゲティ/12人の女声とオーケストラのための「時計と雲」
シュトックハウゼン/3群のオーケストラのための「グルッペン」(※2回演奏)
 指揮:スザンナ・マルッキ(リゲティ、グルッペン:オーケストラ2)
 指揮:パブロ・ヘラス=カサド(グルッペン:オーケストラ1)
 指揮:クレメント・パワー(グルッペン:オーケストラ3)
 女声合唱:東京混声合唱団(合唱指揮:松原千振)
 NHK交響楽団

やー面白かった。
8月最後の日、台風の通りすぎる中、サントリーホールにて破天荒な演奏会を聴いた。
かの前衛の大家シュトックハウゼンの大作「グルッペン」、35年ぶりの日本での再演。

かなりの話題になっていたようで、後から聞いた話ではチケットは完売だったそうだ。
実際、この手の演奏会にしては異例なほど客が入っていたが、ということは空席は招待客だな。
はいはい、台風に恐れをなして来ないような軟弱な招待客は、最初から居なくてよろしい。
わざわざ嵐の中サントリーホールまで出向いて「グルッペン」を聴きたい、と思うようなおバカな(勿論誉め言葉)聴衆だけが集まった、ある意味幸福な演奏会だった、ということだ。

いろいろな意味で異例づくめの演奏会だった。
「グルッペン」は、3つのオーケストラと3人の指揮者のための作品。
という訳で、サントリーホールの1階両サイドに巨大な仮設ステージを設置して、コの字型の舞台上で3人の指揮者がお互い向かい合うように立ち、結果3つのオーケストラはそれぞれ壁に向かって並ぶことになる。

Gruppen
この演奏会の告知パンフレットに載っていた、演奏の概念図。

そして、聴衆は席を移動して異なる角度から音響を聞きとることが望ましい、という作曲者の言葉を尊重し、サントリーホールとしては異例の全席自由席の上で、これまた異例なことに休憩をはさんで2回、演奏された。
実際、休憩時間の客席はまさに「大移動」状態。
私も、前半はLCブロック(2階左翼)、後半はRAブロック(ステージ上手脇後方)で聴いた。
第2オーケストラにいるサクソフォンがよく見えた(アルトは細川さん、バリトンは栃尾さんでした)。

3つのオーケストラは、それぞれが時には全く違うテンポで、時には一緒に、時には同じことを少しずつ違うタイミングで、断片的な響きをサントリーホールの美しいアコースティックの中に撒き散らしてゆく。
息を呑みつつ聴く。
これは実際にその場で体験しなければ絶対に判らない世界だ。
録音では決してこの全貌を捉えることはできない。
この日はNHK技研のテスト収録として、96chマルチトラックでの録音が行われていたそうで、ステージ上と天井はそれこそマイクの林だったけれど、それでもおそらく実演のアコースティックを再現することは不可能だろう。
これだけの規模と壮大さを以てして、唯一無二の、絶対的な音響世界というものを現出すること。
シュトックハウゼンって、要するに「そういうこと」、がやりたかったんだな、と思った。
私にとっては今まで、シュトックハウゼンというとどうも、「紙一重を越えかかっている、誇大妄想癖の人」というイメージから脱しきれなかったんだけど、そうではなくて、単に「オーケストラ」とか「室内楽」とか「○○独奏」とか「○重奏」とか、あるいは「コンサートホール」とか「演奏会」とか「録音物」とかそういう既存のメディアやソリューションが、「シュトックハウゼン」という存在に追いつくことができていなかっただけなのかもしれない、とも思わされた。

ということは、YouTubeにアップされたシュトックハウゼンの演奏の映像とかを観て、シュトックハウゼンを聴いた気になる、なんてのは、全くもって馬鹿らしいというかとんでもないことだな。

それにしても、これはまさに、末代までの語り草になるであろう演奏会(そもそもこうなってくると「演奏会」という言葉すら似つかわしくない)だった。
この場に居合わせることのできた幸運に、感謝。
この「一期一会」的な印象は、14年前(1995年)、ブーレーズの70歳を記念して東京で開催された「ブーレーズ・フェスティバル」のメインコンサート、ブーレーズの「二重の影の対話」(クラリネット独奏)と「レポン」(作曲者指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン)の日本初演を聴いた時の記憶と重なる。
会場は幕張のベイNKホールだった。
至近のディズニーランドでの花火の打ち上げを、この演奏会の開演時間に合わせて遠慮してもらったという、いわく付きのコンサートだ。
すべて終演して外に出たら、花火がポンポン上がり始めたのが見えたっけ。
ベイNKホールの寒々しく空しい音響に比べると、サントリーホールはさすが、格別に豊饒で素晴らしい響きだ。

オマケみたいになっちゃったけど、リゲティはいい曲だった。
指揮はスザンナ・マルッキ(「グルッペン」では第2オケを指揮)。ちょっと年齢不詳な雰囲気ながら、見るからに「才媛」、という趣の女性である。
泣く子も黙る「アンテルコンタンポラン」現音楽監督。ものすごく素早く身体が動く人だ。

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