これがいいんです。
つくづく思うんだけど、仕事がいくら大変だと言っても、イベールを舞台の上でちゃんと吹くというストレスとプレッシャーに比べたら、全然なんということはない。
毎年この時期は本業が忙しいのだけれど、おかげで今年はむしろ平静に、余裕を持って過ごしている気がする。
久々、お気楽に最近購入(orお気に入り)CD覚書きなど。
フランス・ブリュッヘンの「涙のパヴァーヌ」(Teldec)。
「リコーダー奏者」ブリュッヘンの名盤中の名盤。
今年の2月に、ブリュッヘン指揮の新日本フィルでハイドンを聴いたときに、昔持っていたこのLPレコードのジャケットをご紹介して、このジャケットがいいのに、なぜCDになっていないんだろう、などと書いたんだけれど(こちら)、なんと、テレフンケン・トレジャーズというテルデックのリマスター・シリーズでしっかり発売されていた(しかも、発売は2002年だったのに、つい最近再プレスされていた)ことが判明。
タイトル曲の「涙のパヴァーヌ」だけは既に持っているCDとダブるけれど、早速買ってきた次第。
LPレコード以来久々に聴くルイエのソナタが絶品でございます。
先日、探していた小澤=ボストン響のマーラー「巨人」の1977年録音(グラモフォン原盤)のCDをオークションで手に入れた話を書いたけれど(こちら)、それから2ヶ月も経たずにその同じ音源が正式に再発売されてしまった。
しかも、LP初出当時のオリジナルジャケットで!
このデザインでCD化されたのは初めてではないか。
私としてはやはり、十代のときに買って聴き込んだこのジャケットには思い入れがあるので(CDサイズはさすがにずいぶんちっちゃく見えるが)、結局買い直してしまった。
オザワ42歳。若いです。
買い直す前のCD(上のリンク先エントリで紹介してるやつ)は、どなたかご希望の方がいらっしゃいましたら差し上げます。
伝説の名手ギターラがトップを吹くトランペットセクションの音(2ndをスメドヴィグが吹いているというのがまたすごい)は素晴らしいですぞ。
上記小澤の「巨人」のレコードを買ったのは、1980年(大学1年生)の夏、ちょうど今頃の季節だった。
そのとき同時に買ったレコードというのが、このモールァルト/フルートとハープのための協奏曲・クラリネット協奏曲(ランパルFl、ラスキーヌHp、ランスロCl、パイヤール室内管、Erato原盤)。
1980年の夏は、ちょうど今年の夏のようにあまり暑くなくて、大学生になってはじめての短い夏を、これらのレコードと共に過ごしたのだった。
この演奏、とくに「フルートとハープのための協奏曲」は昔からこの曲の決定盤と言われていて、実際、ギャラントでかつ雅やかな演奏はあまりにも曲のイメージそのままで、他の演奏を受け付けさせないものがある。
私にとっては、曲を知ることと演奏を知ることとが不可分なまでに一体化した、数少ない例のひとつ。
同じ音源のCDは他にも出ているけれど、WPCS22109という番号のついた上のCDが良いです。
個人的に、LP時代に慣れ親しんだ音がCDだとどうしても出てこなくて、再発売のたびに何度か買い直した末に辿り着いた最終版なので。
先日聴いたフォーレ歌曲全曲演奏会で「優しき歌」を見事に歌った武田正雄さんというテノール歌手の方のサイトがものすごく面白いのだけれど、その中に、レジーヌ・クレスパン(ソプラノ)が歌うベルリオーズの「夏の夜」とラヴェル「シェエラザード」(アンセルメ指揮)の録音(Decca原盤)について、「これを聴いたことのない『フランス音楽ファン』はモグリだと断定したい」と書かれていた。
ひえー、すみません。私、モグリでした。
というわけで、アンセルメの没後40年を記念して最近たくさん再発売されたCDの中からとりあえず、クレスパンが歌う「夏の夜」と、ラヴェルのオペラ「子供と魔法」のカップリングのCDを早速買ってきたところ。
…なるほど、仰るとおりでございます。
「夏の夜」は意外と長い曲で、聴いていると退屈してくるときもあるんだけど、これはなぜか全くそういうことなく自然に聴き通せた。
アンセルメ指揮のスイス・ロマンド管弦楽団も、このオケの録音に時々ある変な崩れ方をしておらず、とても美しい音で鳴っている。
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私も、モーツァルト/パイヤール室内管版のCDは愛聴版です。これ、いいですよね。
それと、あのスメドヴィグが2ndという演奏。これはすごいですね。
投稿: タビビト | 2009.08.25 21:51
2ndがスメドヴィグだというのは、つい最近、とある(確かな情報筋の)方に教えていただいたのですが、仰天しました。
そりゃ、並みの演奏じゃ太刀打ちできないワケです。
CD感想文のエントリというのは不思議とアクセス数が伸びるんですが、どうしてなんでしょうね。
知っている人が多いからでしょうか。
投稿: Thunder | 2009.08.26 23:36
小澤・ボストンのこのCD、このオリジナルジャケットに気持ちが揺らいで、私も買い直しました。この演奏は、他では味わえない一つの名演ですね。ギターラが吹いていない、この後のボストンとの新盤より、はるかに好きです。金管の、激しいけれども暖かい響きがいいです。ギターラがいた頃のグラモフォンとの録音っていいのが多いような気がします。巨人、ブラ1、チャイ5、ローマ3部作など。小澤40代で、若さのエネルギーと、抑制のバランスが見事だと思います。
パイヤールの「フルートとハープ」のCDも一時期毎日聴いてました。懐かしい。
投稿: ken | 2009.08.28 15:00
ken師もこのジャケットに嵌められましたか(笑)
あと、三角帽子とか、ラヴェルの全集とかも結構好きです。
70年代のボストンは名手揃いでしたね。
投稿: Thunder | 2009.08.30 02:06