都響4月10日
日付が前後しちゃったけれど、先週の金曜日に聴いたコンサートの覚え書き。
東京都交響楽団 第678回定期演奏会(東京文化会館)
ラロ/歌劇「イスの王」序曲
同 /チェロ協奏曲(Vc:堤剛)
フランク/交響曲ニ短調
指揮:ドミトリー・リス
2009/2010楽季最初の定期公演。
ジャン・フルネ師の演奏会みたいな曲目だ。
「イスの王様」序曲なんて、フルネ師亡き今、この曲をわざわざとり上げる指揮者なんているんだろうかと思っていたので、率直に嬉しい。
極めてオーソドックスで堅実な演奏。
フランクの交響曲って、ちょっとでも音が濁ったりアンサンブルが崩れたりするとたちどころに分ってしまう怖い曲だけれど、ほぼ模範的に整った音が聞こえてくる。
指揮者は1960年生まれのロシア人。なかなかの実力者と見た。
フランス人指揮者の振るロシア音楽というのは、独特の洗練があって面白いけれど、ロシア人指揮者の振るフランス音楽というのも、同国人の演奏ではなかなか出てこない存在感が感じられて、これまた面白い。そういえばロジェストヴェンスキーなんかも盛んにフランス物を指揮するし。
かなりに派手に踊りまくる指揮姿で、出てくる音とのギャップがちょっと不思議だ。
奇矯なアクションが、その音楽の率直さを妨げていなければいいと思うけれど、まあ、それは余計なお世話なんでしょうな。
堤剛さんのチェロは実は初めて聴いたのだが、これまた実に立派。
抑制の効いた歌い方ながら、たいへん雄渾な表情で、テクニックも全く隙がない。この年代(「1950年に8歳で初リサイタルを開催」とプロフィールにあるので、今年67歳ということか)の方で、こんなに音程の正確なチェロを弾ける方は他にいるんだろうか。
桐朋学園の学長とサントリーホールの館長を兼職なんて、大変な激務だと思うんだけど、それでも研鑽怠りなくレベルの高い演奏活動を続ける姿勢に、最敬礼。
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