インバル月間~ベートーヴェン
一気に桜が咲いてきましたね。
2009コンサートシーズンも開幕。
トップは、前年度から引き続く、都響インバル月間最後の演奏会。
東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズVol.72
作曲家の肖像「ベートーヴェン」
序曲「コリオラン」
ピアノ協奏曲第2番(Pf:ゲルハルト・オピッツ)
交響曲第3番「英雄」
指揮:エリアフ・インバル
音が違う。
都響のこのシリーズはもう十数年同じ席で聴いているけれど、冒頭の「コリオラン」から、この会場でああいう響きが返ってきたのを聞いたのは、初めてに近いかも。
まさに巨匠の演奏だった。
壮大にして雄渾。ピリオド・アプローチなんかどこ吹く風。
木管なんか倍管ですよ。倍管で「エロイカ」を聴くなんて、朝比奈さん以来かも。
マーラーやロマン派(先日のチャイコフスキーも含む)では、肺腑を抉るような痛切で強烈なアプローチをするインバルさんだけど、ベートーヴェンではある意味、安心して「巨匠」として振る舞っているように感じる。
都響でいえば、故ベルティーニ(インバルより年上)のほうが余程、ピリオドぽい尖ったベートーヴェンを演奏していた記憶があるが。
先日の「皇帝」に続くオピッツのピアノも、とても安心して、おおらかな気持ちで聴ける。
こんなに幸せそうにピアノを弾く人は貴重な存在だ。
この人が1953年生まれだということを今日初めて知って(見た目よりずっと若いということは知っていたけれど、それにしてももう少し年上だと思っていた)、びっくり仰天。
しかし、都響でエロイカといえば最近も、小泉さんの指揮で聴いたばかりだけれど、勿論いい演奏だったとはいえ、今日のと比べてしまうとあれでもやはり「日常」の世界だったなあ。
インバルという人は、やはり「別格」の指揮者だと思う。
役付きの指揮者とはいいながら都響への登場回数が少ないので、そこをつかまえていろいろ言う人は(素人さんでもプロの音楽批評家でも)多いけれど、仕方ないじゃん、ギャラが桁違いなんだから。(よく知らないけど)
指揮者というのはある種の絶対的な存在なのだから、来る回数よりも、その人がそもそもどんな人間で、来た時に何ができて、オーケストラに何を残すか、ということで評価されるべきだと思う。
とはいえ、ファンとしては、たくさん聴きたいのは人情なんですけどね。
本日のスターティングメンバー覚書き。
Flエキストラ(なんと高木綾子さんだった!)、Ob本間、Cl三界、Bn岡本、Hn有馬(「エロイカ」のホルントリオは3rd野見山、2nd日フィルの丸山氏とおぼしきエキストラ)、Tp高橋、Timp久一。
都響の新しいVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)が決まったということで(デザイン・ディレクション担当は佐藤可士和氏だそうだ)、ニュースがこちらで配信されているけれど、インバルの任期が2013年まで延長とか、今年は海外公演(ソウル、シンガポール)があるとか、知らなかったこと多し。
よそのニュースより先に、自前のホームページとかでちゃんと広報してくださいな。>都響さん
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