グルーバーの不思議な田園
東京都交響楽団 プロムナードコンサート#331(サントリーホール)
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
同 /ピアノ協奏曲第26番K.537「戴冠式」(Pf:菊池洋子)
ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
指揮:HKグルーバー
先日のBシリーズ定期(日記は書いてないけど)から都響に来ている指揮者は、見るからに一癖ありそうな風貌のウィーン人のオッサン、HKグルーバー(1943-)。
作曲家、指揮者、歌手、コントラバス奏者(ORF響でコントラバスを弾いていたらしい)を兼ねる多芸な方。ハインツ・カール・グルーバーが本名らしいが、すべての公式記述が「HK Gruber」なので、「ハー・カー・グルーバー」と呼んじゃって良いということかな。
わかりやすい、テキパキと実務的な棒を振る人だ。今日は指揮棒は持っていなかったが(それはそうと最近指揮棒を持たない指揮者が増えてきたなあ)。
出てくる音は意外とオーソドックスで柔和な、ウィーン風味の音色。冒頭の「ドン・ジョヴァンニ」から見事にそういう音になっていた。
ピアノ協奏曲もその延長上だったが、この曲では最近の寝不足の影響で記憶が相当飛んでいる。
菊池洋子さんかわいいです。今日も含めモーツァルトの協奏曲しか聴いたことがないけれど、もっと似合う曲もありそうな気がするが。
後半は「田園」。
いきなりやたらと素っ気ない始まり方で驚く。速い、というより、素っ気ないという言い方が似合う。
テンポは速いと言っても、ピリオド系の方々の速さとは全然違う。その証拠に16型という大編成だ(コントラバスが8人もいる)。何か大きなものが一糸乱れずすごい勢いでズンズンと行進しているような音楽で、ちょっと田園風景がイメージできない。どんな田園なんだろう。
4楽章は、雷雨というより「集中豪雨」。ティンパニが入ってきた瞬間は(あまりの迫力に)ビクッとした。
フィナーレも迫力を失わないまま進行するのだが、最後の最後の部分は精妙なアゴーギグのコントロールで、印象深く終わらせてくれた。
アンコールにモーツァルトのディヴェルティメントK136の1楽章。16型の弦全員(計60人)でこれをやるというのは迫力ありますね。
終わってみればなかなか興味深い演奏だった。
オケの側にも戸惑いがあったような気もしたけれど、よく指揮の意図を汲んでそういう音を出すよなあと感心。
しかし「田園」というのは奥深い曲であることよ。
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