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2009.01.29

グリーンドアのマルセル・ミュール第3弾

昨年暮れに発売された、マルセル・ミュールの新たな復刻盤について書いてみる。

Marcel Mule
マルセル・ミュール Saxophone with Piano and Qurtet(グリーンドア音楽出版/GD2023)

グリーンドア音楽出版からのミュール復刻シリーズとしては、「ヒストリカル・レコーディングズ」「コンプリメンタリー」に続く3タイトルめとなる。
このCDの紹介(企画制作元のWebページ)はこちら

1953-56年録音のLPレコードからの板起こし。
私たちの世代にとっては、セルマー印のLPで親しんでいたクレストンの「ソナタ」、モーリス「プロヴァンスの風景」を含む曲目。これらとランティエのEuskaldunak、フロラン・シュミットの四重奏曲は、10年くらい前にLa Legendeというフランス盤2枚組CDでも復刻されていて、比較的最近まで(もしかしたら今でも?)タワーレコードとかで入手できたものだ。
最後の「民謡風ロンド」は、ディスク大賞を受賞した30年代の有名な録音ではなく、再録音。

それにしても、久しぶりにマルセル・ミュールを聴いて、その凄さに改めて圧倒させられる思いがする。
意味のない音がひとつとしてない。ものすごい集中力の連続。現代の奏者みたいに外見をきっちり吹いている訳ではないけれど、すべての音のつながりに意思と色気が漲っている。
あまりにも美しいスラー。これを聴いていて、ミュールの凄さのキモというか勘どころのようなものをいくつか掴んだような気がしたけれど、たぶん「気がした」だけ。盲者が象を触るようなもので、本質的なものからはぜんぜん遠いんだろう、という確信も同時にあって、まさに降参、という気分であります。

復刻の状態はかなり良いと思う。
何かつまらない音のLa Legendeよりもリアルで奥行きのある音質で集中して聴けるし、それにしてはノイズもそれほど目立たない。

マルセル・ミュールの復刻CDは、1992年の「サクソフォーンの芸術」(東芝EMI)に始まって、今までも数多くのタイトルが発売されたけれど、長年にわたって容易に入手可能なものが意外とない(「サクソフォーンの芸術」にしろ、「栄光のギャルド」にしろ、CD店の店頭から消えて久しい)ので、このグリーンドアの3枚はとても貴重だと思う。
何度も繰り返し発売されてはそのまま市場から消えて行く、ということの内実について考えてみるに、たぶんワタシみたいなマニアが(発売されるたびに)せっせと追っかけては買って、でもそれ以上の広がりがないのでそれっきり後が続かない、ということなんだろうなあ。

マルセル・ミュールの音楽が普遍性を獲得し得ないのは、ある意味私たち「マニア」の責任である。
私のように実際にサクソフォンを演奏する者だったら尚更、いったい何をすれば良いのだろう、という気分にとらわれることだ。

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コメント

サクソフォーンという世界自体がそういう感じがしませんか。
限定された少数の人数が、きわめて熱心で閉鎖的な客層を形作っているという。

その中にあっては、Thunderさんは充分にその世界を広げる役割を果たしていると思いますけど。

そうだとしたらいいのですが。

で、皆の好みというのも閉鎖的なんですよね。
いつだったかも話題にした、「良いとされる奏法が十年単位でコロコロと変わる」というサックス界ならではの現象も、その所以でしょうね。
要は、その依ってきたる本質を見ずに、自分の周囲だけを見ているんです。

つべこべ言わずに「これを良いと思わないなんてモグリの言うことだから、ちゃんと聴きなさい」と、半ば無理やりに私にミュールを聴かせたO先生は、思えば偉かったなあ。

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