年の暮れに、新着CDを聴く
2008年も残りわずか。
多忙のため紹介し損ねていた、今年のお気に入りの新譜CDについて、つれづれに3枚ばかり書いてみます。
こういうエントリは、さほど時間はかけずに書けるけれど、心にゆとりがないとなかなか書こうという気になれないもので。
女声合唱のためのフランス音楽1870-1940
レジーヌ・テオドレスコ指揮 カリオペ女声合唱団(Calliope)
リリー・ブーランジェ/シレーヌ
C.ドビュッシー/ようこそ春よ
P.ル=フレム/愛のたそがれ
ルイ・オーベール/思慮
G.フォーレ/小川
アルフレッド・ブリュノー/ノートル・アムール
クロード・アリュ/クレマン・マロの3つのロンドー
E.ショーソン/エレーヌ、夜
メル・ボニ/レジーナ・チェリ
A.カプレ/三声のミサ
もしかしたら今年いちばん聴き返したCDかもしれない。
19世紀末から20世紀前半にかけての、フランス音楽のハーモニーの精粋。
かなり珍しい作曲家も含むものの、この時代の音楽が好きな人にとっては、これ以上の美しさは望めないというものだ。
演奏も凄く良いと思う。たとえばアンドレ・カプレの「三声のミサ」は、フランス国立放送聖歌隊による60年代の録音のCD(Erato)が比較的知られているけれど(私もそれで親しんでいたのだけれど)、演奏の積極性といい声の質といいハーモニーの瑞々しさといい、こちらのほうが断然上。
プーランク/協奏曲集(ピアノ協奏曲、クラヴサン協奏曲、オルガン協奏曲、2台ピアノ協奏曲)、オーバード、シンフォニエッタ
リチャード・ヒコックス指揮 シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア(Virgin Classics)
英国の指揮者リチャード・ヒコックス(1948-2008)が11月に亡くなっていたという話はつい最近まで知らず、驚いていたところだった。
10年くらい前、新日本フィルの定期に客演した、ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」やエルガーのエニグマ変奏曲といった曲目の滋味あふれる演奏は、今でも覚えている。
英国音楽の録音は残念ながら持っていないけれど、1988-90年頃のプーランクのかなりまとまった録音が最近、2枚組廉価盤で出直したので、入手したところ。
英国風というのかな、すっきりとした抒情的なプーランクで、これはこれでなかなか良い。
デジタル録音のプーランクのCDとしては、いまいちやる気の感じられないデュトワの演奏より私はこっちの方が好き。
ジャケットがルドンの「アポロンの馬車」ですね。センスいいなあ。さすがVirgin。
雲井雅人サックス四重奏団「むかしの歌」(Cafua)
雲カルの最新盤。
「マウンテン・ロード」、「チェンバー・シンフォニー」、「レシテーション・ブック」と、今までの雲カルのCDのタイトル曲はどれも、耳と感受性を全開にして対峙するように聴かねばならないものだったけれど、今回は「愛奏曲集」というような、比較的軽いノリで作られたとのこと。
それでも、「精神性」という点で、やはり雲カルならではのアルバムに仕上がっていると思う。
「精神性」といっても、しかめっ面をして「ナントカ道」を語るような、日本人的なボキャブラリーの精神性のことではなくて、喜びとか楽しさとか感傷とか追憶とか、届かない憧れとか、失くしてしまったものへの透明な哀しみとか、そういう人間の心の直接的な動きの反映としての音楽のありよう、とでも言うか。
最初と途中に入っている、ミュール編曲の小品が、凄くいいです。
何かの曲を「サクソフォン四重奏へ編曲」、というのは、そもそもこういうことだったはず。
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