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2008.12.06

クローバー2008

APIのA山社長経由で毎年この時期に依頼を受けている、川崎の中高生合同バンドのパート練指導で、朝から宮前平中学校へ。
自分の娘のような年齢のサクソフォンの生徒12人を相手に1日、大声張り上げたり歌ったりしてたら、すっかり声が出なくなった(今週は風邪引き)。
何人かいるここの中学校の在校生は、日頃の指導が余程しっかりしているのだろう、行動が積極的だし、何か言っても返事がハッキリしていて、気持ちがいい。
アルフレッド・リード博士の「第6組曲」はさすがに中学生には難物で(それでもかなり頑張って吹いてはいたが)、ひたすら譜読みの手伝いに徹する。


CloverSaxQ_2008時間のあるうちに、一昨日(4日)の演奏会のレポート。

クローバー・サクソフォンクヮルテット CDデビューコンサートツアー東京公演(紀尾井ホール)

ラヴェル(石毛里佳編)/道化師の朝の歌
同 /「クープランの墓」より プレリュード、リゴードン、メヌエット、トッカータ
ロベール/テトラフォーン
ピエルネ/民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
ドビュッシー/弦楽四重奏曲ト長調Op.10
 林田祐和(S.Sax)、田村真寛(A.Sax)、貝沼拓実(T.Sax)、坂口大介(B.Sax)

クローバーは、あんまりサックスくさくないサクソフォンカルテットだというのが美点ですね。
と簡単に書いたけれど、たったそれだけの内実にどれほどの技術的な裏付けと隔絶した努力というものが必要か、ということは私にも少しは判る。
冒頭「道化師の朝の歌」の出だしから、まるでオーケストラ版のCDを聴いているみたいで、全然違和感がない。
開始後少し経って、強弱表示がff(フォルティシモ)になる部分で、打楽器が入ってこないもので「あれ?」と肩すかしを喰らう、みたいな気分。
ドビュッシーも、あまりにも繊細なイントネーションとダイナミクスは、まるでサクソフォンらしくない。
自分の耳と脳の中で、サクソフォンではなく、弦楽四重奏を聴くのと全く同じ感覚で聴いて楽しむことができる。
2-3年前、まだメンバー全員が学生だった頃、音大生のサクソフォン四重奏の夕べでやはりドビュッシーを聴いた時も、弱音のコントロールの見事さに驚嘆した記憶があるけれど(当時は、固定メンバーで既に活動を続けているカルテットとは知らず、単なる学生チームだと思っていたので、余計驚いた)、そこから比べても更に深化している。
逆に、「民謡風ロンド」みたいな曲では、軽すぎて物足りない(なんだかあっという間に終わってしまった感じ)、という贅沢な不満も。
ただ、その「軽さ」も、曲自体が持っているひとつの面には違いない。

ロベールがとても「客観的な」演奏だったのが、印象に残った。
勿論ロベールなので、充分に激烈でシツコイ音楽であり演奏ではあったが。
この曲、普通はもっとヒステリックに演奏されるけれど、ヒステリックな音楽だからといってヒステリックな演奏になる必要は、必ずしもないということだ。
20年前の川崎でのサクソフォン・コングレスで、作曲者のロベール女史本人が来日された時のことを思い出した。
コンサートの客席や、ロビーで人とにこやかに談笑する姿は、本当にどこにでもいそうなフツーのフランス人のおばちゃんで、この人があんな攻撃的な音楽を書くとはちょっと信じられなかった。
会期中、たまたまロベール女史がピアノを弾く演奏のリハーサルを覗き見する機会があった。
サクソフォンを吹いていたのは、伝説の名手、ミシェル・ヌオーである。
そこでのロベール女史の、ピアノを止めて喧嘩みたいな大声のフランス語で共演者を怒鳴りつける、昼間の温和な顔とは全然違う姿に、またびっくりしたものだ。
おそらくロベール女史の場合、ヒステリーや激烈な部分というものを、その音楽や作品に投影し、封印してしまっているので、その人本人がヒステリックになる必要はないんだな、と思ったのだった。
なんだか、寓意的な話である。

アンコールに、CD収録曲より林田さんの自作と、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲。

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コメント

のどは大丈夫ですか?
クローバー・サクソフォンクヮルテットは私も是非聴いてみたいと思っていましたが仕事と重なり残念ながら聴けそうにありません。
CDを手に入れようと思っています。

L.ロベールの話が記されていて思わずコメントします。
実は私はパリ音楽院でソルフェージュをロベール先生に師事しました。確かにヒステリックな面もあり大変でした。当時はまだ独身で私が卒業する年1982年にご結婚なさいました。それからというもの全くと言っていいほど別人になられたのを思い出します。とても温厚な先生に変身です。女性ってすごいって思ったのを思い出します。その年にニュールンベルグでコングレスガ行われ、ロベール先生に委嘱してソプラノ・バリトン・ピアノのための「トリノム」を初演しました。
80年頃そのソルフェージュの単位が取れず退学になりかけたとき、「頑張らないで、よろこびをもって練習しなさい」と言われ、苦痛だったソルフェージュから解放され、その後すぐに単位を取得出来たのを思い出します。授業が終わるとクラスのみんなでフォーレのレクイエムを階名でで歌ったりして楽しみました。私にとって最も大事な恩人の一人です。毎年頂くクリスマスカードが楽しみです。
斎藤広樹

なんと… 毎度ながらたいへん貴重なお話、ありがとうございます。
私の場合はもう20年も前、遠くから一瞬見ただけで、こんなところで偉そうに書けるほどのことでは本当はないのですが…

音楽と人間、について、考えさせられることであるのは確かです。

相変わらず声はうまく出ませんが、咳が出ないので無事音楽会にも行けます。
このまま炎症が気管の奥まで行かずに治ってくれるといいのですが。

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