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2008.11.06

フルネ追悼/ショーソン

Chausson, Symphonie

ショーソン/交響曲変ロ長調、フォーレ/「ペレアスとメリザンド」組曲
 ジャン・フルネ指揮 オランダ放送フィルハーモニー(DENON)

3日に亡くなったジャン・フルネの追悼に、いろいろとCDを聴き返している。
20年以上フルネの音楽に接してきて、フルネ師の演奏なればこそその音楽の真価が判った、という例が何曲かあるけれど、そんな中でもまず一番に挙げなくてはならないのが、このエルネスト・ショーソン(1855-1899)の「交響曲」だろうと思う。

都響でも何度も繰り返し演奏したのをはじめ、国内の他のどのオーケストラに客演する際にも必ず一度はとりあげた(私が実際に聴いただけで、都響で3回、他にN響、日本フィル、新日本フィル、群響で聴いた)、フルネ得意中の得意、自家薬籠中のレパートリー。
晩年、視力の衰えによってスコアを読むことに支障をきたし、指揮可能な曲目を大幅に絞り込むことを余儀なくされた際にも、最後までレパートリーに残っていた。
ここにご紹介するCDで指揮をしているオランダ放送フィル(1961年から78年までフルネが首席指揮者を務めていた)との最後の共演(2004年5月28日)に際しても、この曲がプログラムに入っていたそうだ。

ショーソンといえば、一般的にはヴァイオリンとオーケストラのための「詩曲」がかろうじて知られている程度だろうけれど、おかげで私たちフルネ・ファンにとっては、この「交響曲」こそを他の何よりも熟知する結果となった。
1990年に発売されたこのCDは(それまでにも、古くはミュンシュやアンセルメ、新しくはプラッソンやジョルダンの録音が存在したが)、そんなわけでまさにこの曲の「決定盤」となったのである。

全3楽章、なんともメランコリックな雰囲気と詩的で美しい旋律美が印象的であり、同時にこの時代のフランス音楽ならではのソルフェージュ的に細かに入り組んだ難しさがあるが、フルネの手にかかるとそれぞれの要素が突出しない、きれいな中間色の色彩で実にバランス良く整理された上品な演奏となる。
ある意味、地味な演奏と言えないこともない。メロディをもっと熱く歌い上げたり、全曲を締めくくるグラーヴェのコーダの部分など、もっと映画音楽のようにドラマティックに演出することだって可能だろうに、フルネはそうしない。楽譜通り演奏すればそれだけで充分ドラマティックだ、と言わんばかりに、淡々とクレッシェンドを重ねて、心の内面から絞り出すような痛切なクライマックスに辿り着く。

まさに、フルネ師の芸術の真骨頂である。

Chausson, Symphonie

私Thunderの所有する、ショーソン「交響曲」ポケットスコアの扉。
フルネ師のサイン入り(1998年の12月、フルネと都響がショーソンの作品のみによる演奏会を開催した際の終演後に、戴いた)。

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