TKWO紀尾井定期
東京佼成ウィンドオーケストラ 第98回定期演奏会~Petit Fruit「小さな音の果実」(紀尾井ホール)
A.ジョリヴェ/『ブリタニキュス』より「ナルシス」のファンファーレ
J.フランセ/陽気なパリ(Tp独奏:安藤真美子)
M.ラヴェル(木村政巳編)/序奏とアレグロ(Hp独奏:竹松舞)
L.v.ベートーヴェン/交響曲第1番ハ長調Op.21(ハルモニームジーク版)
A.ゴーブ/交響曲第1番ハ長調
指揮:渡邊一正
たいへんに興味深い演奏会だった。
ワタシ的には、近年聴いたTKWOの演奏会の中でも、屈指の面白さだったかも。
どの曲も、管楽器を全面的に駆使した、室内楽というにはちょいと大きく、かといって吹奏楽未満、という、サイズ的になかなかとり上げるのが微妙なものばかり。
こういう曲を、考え抜かれたプログラミングで集中して聴ける、年1回のTKWOの紀尾井ホールでの定期は、たいへん貴重な機会だ。
「ナルシス」の鋭角的な響きで幕を開け(金管が好演)、「陽気なパリ」はホルン2本を含む木管合奏の伴奏によるトランペット独奏曲。この作曲家のオーボエのための『花時計』の金管版みたいな…と言っても判る人にしか判んないが、とにかくそういう愉しい曲。初耳。
ラヴェルは独奏ハープ、フルート、クラリネット、弦楽四重奏という原曲の弦部分を小編成の吹奏楽に編曲したもので、この編曲が実に見事だった。ある楽器同士を組み合わせた際の倍音構造までも手中に収めたかのような、繊細かつ大胆なスコアリングで、ただ音域表に従って適当に楽器を割り振るような「編曲」とは対極にあるものだと思った。
木村政巳という編曲者は知らない人だが、こういう楽譜が書けるというのは相当に耳の良い人に違いない。
舞ちゃんのソロもなかなか聴き応えがありました。これだけハープが弾けて、しかも美人で、しかも本業は医大(順天堂)出たての研修医だってんだから、才能というのは集まるべきところに集まるものらしい。
休憩後は、ハルモニームジーク編成(Fl、Ob、Cl、Fg、Hn各2本くらい、それにトランペットが入る)によるベートーヴェンの交響曲第1番。熱演。
そして、やはりハルモニームジークの編成で書かれ、そのベートーヴェンの1番の「本歌取り」(調性、楽章配置、各楽章の主題まで聴いてはっきりそうと判る)である、アダム・ゴーブの交響曲第1番。
とはいっても実際の印象は、ある種の典型的な20世紀の吹奏楽作品なのだが、こういう曲の演奏に関してはTKWO、さすがの貫祿。
渡邊一正という指揮者、演奏に呼吸感が感じられなくて実のところあんまり好きではないんだけど(ピアニスト出身の指揮者ってこういうタイプが多いなあ。偏見かもしれないが)、こういう曲のまとめ方はさすがに上手いと思った(ベートーヴェンは正直言って、ベートーヴェンに聞こえなかった(^^;)。
顔写真と実際がぜんぜん違うのにはびっくりしたぞ(^^;
というわけで、非常に充実した素晴らしい演奏会だったのだが、…こういう分野の音楽を愛好する客層というのは、ホントに無いんだなあ、と、空席の多い会場内を見晴らして、ちょっと嘆息。
聴いてみれば絶対面白いんだから、偏見を持たずに聴いてみてほしいとは思うのだが。
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