夏の終
という題の伊東静雄の名詩があるのだが、別にその話ではなく。
なかなかブログを書いている暇がない。
私たちのアンサンブルの合宿先の奥志賀高原での演奏会(9月22日)のプログラム原稿を今週中に書かなければいけないのだが、そもそもホームページで未だ告知すらしてないじゃないか。早くどうにかしなきゃ。つうかHTMLの書き方忘れた(苦笑)。
楽譜書きのミッションもいくつか抱えているし、本業の方もしばらくは忙しいので、当分の間こんな状況が続くだろう。
今年の夏はあんまり暑くなくて、その代わり雨ばっかりたくさん降った。
なんだか、ちょうど20年前、川崎でサクソフォン・コングレスが開かれた昭和の最後の夏がちょうどこんな感じだったなという、遠い記憶が浮かぶ。会場の麻生文化センターの近くで、急な豪雨に見舞われて皆で右往左往したとか。
麻生から「コンチェルトの夕べ」会場の県立音楽堂までバスツアーが催されて、途中で生田の日本民家園に寄ったけれど、そこでもにわか雨に降られたっけな…
日曜日はみなとみらいにて強化練習の続き。
合奏レッスンの最後は、しまっぷー先生ソロの「ヴァカンス」(J.M.ダマーズ)の伴奏を皆で吹く。
ああ、夏が終わっていく。
楽しく充実したヴァカンスの終わり、というイメージが眼前する。
夏の終わりの昼下がり、避暑地のロッジの庭先で、「お疲れさん」、と言い合いながらみんなで車に荷物を詰め込んで帰り支度をしているような、そんな一時の感覚。
「ヴァカンス」は取っつきやすい曲なので、いろいろな方がいろいろな機会に吹くのを聴くけれど、この感覚は他の人の演奏ではあまり感じないのだ。
だから去年の演奏会で、しまっぷー先生にグラズノフのコンチェルトをお願いした時、アンコールに「ヴァカンス」をお願いします!と熱烈リクエストを出したのだった。
今年もまた、奥志賀でこれが体験できるのは嬉しい。
解散後は、モーツァルトの五重奏を演奏するメンバーで居残って、3回めのレッスン。
練習の最後がモーツァルトというのは、いいな。とても充実した気分で終わることができる。
全て終了後は、知り合いがソロで出場するという発表会を聴きに、ティアラこうとうの小ホールへと向かう。
どういう趣旨の発表会なのか実はよく知らないまま行ったのだが、どうやらピアノの原田さんの生徒のおさらい会に、田村・貝沼・江川・田名部・東(敬称略)といった芸大系若手サクソフォニストの生徒さんの合同発表会が乗っかったということらしく、行ってみたら顔見知りばっかりでした(笑)
音大受験生らしき高校生たちの演奏は皆とても上手だし、これに出ていることを知らなかった意外な知人たちの演奏もはからずも聴くことができて、楽しかったけれど(驚いたのは、ついこないだまでK高で私がパート指導の面倒をみていた生徒が、江川門下として出場していたことかな。お互いびっくりしました)、一番感動したのは、初心者のような初老のおじさんが、つっかえたりやり直したりしながらも立派に吹き通した(ちょっとひねったアルペッジョを多用した、洒落てはいるが難しそうな編曲だった)「早春賦」だろう。
いやー、素晴らしいっ、ブラヴォー、と叫びたくなりました(^o^)
会場でやはり芸大出身サクソフォニストの林田Hさんにお会いして、そんな訳で別に不思議にも思わず挨拶をしたのだが、あれ、今回の発表会の講師陣には入っていないけれど…?と思っていたら、なんとご自身が発表会の出場者としてヴァイオリンソロ(!)を演奏されたのだった。
曲はヴィヴァルディのG-Durコンチェルトという、子供のヴァイオリン発表会の定番曲。あの貫祿のある風貌で(笑)、こういう曲をとても端正に丁寧に弾いている姿が、なんか知らん妙に楽しかった。
ご本人に伺ったところ、2年前からヴァイオリンを始めて、発表会で弾くのは二度めだそうだ。そうだったのか、大したもんだなあ、子供の頃から弾いていたって、もっと音程のとれない演奏をするヴァイオリン弾きなんかいっぱいいるぞ(笑)。
何より、管打楽器コンクールで1位を取ったほどの方が、こうして全く新しいことにチャレンジしてアマチュアの生徒に交じって発表会にも出場するという、その謙虚な姿勢と清新さが素晴らしいというものだ。
終演は閉館時間ぎりぎり。
さすがに、午後6時半開演で26人が演奏するというのはスケジュール的にかなりキツキツだった様子。
たった2人で全員分の伴奏を弾いたピアニストの方々も、お疲れさまでした、としか言いようがない。
帰りはやっぱり雨だった。
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