2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
フォト
無料ブログはココログ

« RVWの9番 | トップページ | 今日の小ネタ(新宿駅) »

2008.09.14

ある英雄の生涯

TMSO, 080913東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズVol.69
作曲家の肖像「R.シュトラウス」

4つの最後の歌(Sp:佐々木典子)
クラリネット、ファゴットと弦楽のための二重コンチェルティーノ(Cl:三界秀実、Bn:岡本正之)
交響詩「英雄の生涯」(Vn独奏:矢部達哉)
 指揮:大野和士

今年もまた、かの大野和士が、日本の舞台に帰ってきた。
一般発売のその日のうちに完売してしまったという、話題の演奏会。

都響の芸劇シリーズは、毎回ひとりの作曲家の「個展」である。
ある作曲家の人気作品を単に並べただけというプログラムも時にあるけれど、今回の組み合わせはまさに、19世紀の後半から20世紀の前半という激動の時代を生きたひとりの「英雄」--作曲家としても、指揮者としても、実務家としても超一流だった、R.シュトラウスという巨大な才能の生きざまを考えさせられるものだった。

「英雄の生涯」は、作曲者34歳の、1898年の作曲。
前半の2曲は、その半世紀後、1947-48年という、最晩年の作品である。
「英雄の生涯」の最後、作曲者自らを表す「英雄」が、自らの業績を回顧しつつ引退してゆく、という場面を聴いていて、休憩前に聴いたばかりの、R.シュトラウス自身の本当の晩年の姿というものが蘇ってきたように感じた。
戦争で破壊し尽くされた祖国と、滅んでいった「ドイツ・ロマン派」という時代を目の前に見ながら、特に感傷的にもならず、まるで悟りを開いたかのように粛々と書かれた、率直で清明な音楽が。

R.シュトラウスという人は、なんだってまた、30そこそこの歳で、自分が引退してゆく場面を含むなどという音楽を書いたんだろう?というのは、長い間不思議に思っていたことだった。
おそらくそれは、自分の人生を自分でプロデュースするための、作曲者なりの「実験」だったのだろうな、と、今日の演奏会を聴きおわった後となっては、思う。

演奏は素晴らしかった。多分。
ただ、どこが良いの悪いのと言う前に、あまりにも当り前に、そこにあるべき音があるべき在り様で置かれていたために、じゃあ具体的に何が良かったのか、と考え始めるとよく判らない。
はっきり言えることは、今日ほどR.シュトラウスという作曲家が偉大であると感じられたことは、今までに無かった、ということだ。


今日のプログラム冊子の中の大野さんのメッセージでも言及されていたけれど、大野さんが日本のオーケストラで最初に就いたポストは、都響の「指揮者」(1990-92)だった。
地味なポスト名なので、現在の大野さんのプロフィールでは省略されることも多いけれど、当時は私が都響の会員になったばかりの頃で、音楽監督だった若杉さん、名誉指揮者のフルネ翁と3人での意欲的なプログラムの数々は、今でも印象は強烈に記憶に残っている。

(これもメッセージ中で言及されていたが)東京フィルの常任指揮者に就任するために都響指揮者を辞した、最後の演奏会のメインプロが、やはり「英雄の生涯」だった。

TMSO, 19920204

Vnソロはなんと、古澤巌。この人がオケのコンマスをしていたというのは、今となってはなんだか意外に思える。
オブラスツォワが「亡き子をしのぶ歌」を歌ったっけな。これももう一回聴きたい演奏だ。
あれから16年も経ったのか。

« RVWの9番 | トップページ | 今日の小ネタ(新宿駅) »

コンサート(2008年)」カテゴリの記事

都響」カテゴリの記事

コメント

しまったー。こんな重要なコンサートを見逃すとはbearing
英雄の生涯ってかなり好きな曲です。いつかうちのバンドでもやりたいって思ってますが、たぶんムリでしょう。
私が大学のオケにいたとき、当時桐朋の4年生だった古澤巌をソリストに迎えて、九州の演奏旅行に行きました。すでにプロとしての風格を持っていて、後ろで吹いていて鳥肌が立ちました。しかし、それ以上に驚いたのが最後の夜の宴会での芸coldsweats01
持ってきたスーツケースの半分くらいは宴会芸用の衣装だったのか?と思わせるようなすごい衣装のパフォーマンスであった。そのこともあって、都響のコンマスになったときはホントに驚いた。

えーと、あまりにスゴ過ぎて、何を聴いたのかほとんど覚えていません。インバル師匠の千人を聴いた時とほぼ同じ状態です。sun

>ken師
英雄の生涯、是非やってください。
Vnソロは崔さんか豊嶋さんをお呼びしましょう(笑)

古澤さんの話、面白いです…
現在の活動ぶりが伺われる感じがします。

>よねやま様
そうなんですよ、とりたててどこかが突出してスゴイという訳じゃなくて、全体がものすごく自然で普通で、それでいて別世界だったというか。

以前に、一度書き込みをした者です。
偶然、上京して同じ演奏会を聴いておりました。
Thunderさんの感想を拝見して、成る程と思いました。
良い演奏だと感じたのですが、何が良いかと聞かれると困っていたのです。
演奏を聴いている間、ただただ圧倒されていましたので…。

最近、好調の都響。
月末の定期も聴きに行くので、どのような演奏が聴けるか楽しみです。

山の人さま

先日に続いて、コメント有難うございました。
いろいろあって、遅くなりました。

稀少な機会に、あの場の空気を共有できたことを、嬉しく思います。
月末も楽しみです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74078/42468913

この記事へのトラックバック一覧です: ある英雄の生涯:

« RVWの9番 | トップページ | 今日の小ネタ(新宿駅) »