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2008.07.26

ミューザの夏

Festa Muza2008フェスタ・サマーミューザKAWASAKI 2008
東京都交響楽団

1.ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」
2.ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」
 ピアノ独奏(1)、指揮(2):迫昭嘉

フェスタ・サマーミューザ(ミューザ川崎シンフォニーホール)が今年も始まっている。
首都圏の9オケ(在京8オケに神奈川フィルを含む)総出演の夏の都市型音楽祭として、東京・神奈川エリアのクラシック音楽シーンにすっかり定着した感がある。
今年はいつになく面白そうなプログラムが多い。
まずは都響を聴く。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」を、コンサート前半は原曲のピアノ独奏版を、後半はラヴェル編曲のオーケストラ版を、一人のピアニストにして指揮者が両方を弾いて振るという、たいへん挑戦的な演奏会。
録音だったら、アシュケナージやフィリップ・アントルモンといった方が1枚のCDに両方を収録したものを出していたはずだが、実際の演奏会でやってしまったというのは寡聞にして(少なくとも私は)聴いたことがない。
両方のバージョンとも、ピアニストにとっても指揮者にとっても大変な曲で、いくら指揮者というものはピアノくらい弾けるのは当り前だとは言っても、一晩のコンサートで両方ともいっぺんにプロフェッショナルなレベルで聴かせることのできる方というのは少ないのだろう。

そんなわけで非常に貴重な機会であり、たいへん興味深い試みだった。
演奏自体は、迫さんはやはりピアニストだなあ、という思いを深くした。
後半のオーケストラのほうは、トランペットの高橋敦さんの見事なソロをはじめ(「古城」のサクソフォンは宗貞先生でした)、都響の名人芸が発揮された見事な演奏ではあったが、音楽の説得力という点では前半が圧倒的だったのですよ。

迫さん、こんなに凄いピアノが弾けるのに、なんでわざわざ指揮なんかしようというのだろう?
指揮者ってのはよほど魅力的な稼業なんだろうな。
私みたいに管楽器しかできなくて、基本的に誰かと一緒にやらない限り「音楽」をつくり出すことのできない(管楽器の無伴奏ソロというのはかなりに特殊な世界である)人間にとっては、一人ですべて完結した音楽を奏でることのできるピアノという世界は憧れだけれど、逆の立場の方にとっては、自分では音を出さずに何十人もの奏者を束ねて音楽をつくる「指揮者」という立場への憧れの度合は、また違うんだろうなと思う。

アンコールにラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
これまた、ピアニストが考えつきそうなアンコールだ。
「展覧会の絵」を吹いたあとにこれを吹かなければならないホルンのトップの方には、ちょっと同情。

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コメント

公開リハーサルで『展覧会の絵』を通した後、指揮者が「えーと、これからアンコールを練習します」とか言って、西條さんのソロが始まりました。わたくし、本番前にアンコールを聴いたのは初めてです。さすが、フェスタ・サマーミューザ、未体験ゾーン。

それはすごい話ですねえ。

いっそ、その日のプログラムと全然関係ない曲とかやってくれたら、もっと楽しいでしょうね。
(リハーサル・本番会場が同一の欧米ではよくあることらしいです)

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