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2008.07.07

均一先生

土曜日。
夕方、ほぼ全くの初心者の大人の方にサクソフォンの基礎の手ほどきをするという機会があった。
初心者を教えるというのは学生の頃以来の経験だったけれど、ある意味これほど恐いことってないです、正直な話。
分別を持った大人の人が、ある興味と決意の下にサクソフォンを手にするに当たって、最初の方向性と初速を与えようというのだから、失敗はできないというものだ。

高校生や大学生の頃は、よくこんなことを怖れ気もなく初心者の新入生相手にやってたよなあ、と思う。
知らないというのは恐ろしいことだ。

場所がドルチェ楽器のスタジオだったので、終了後はそのまま居残ってコンサートを聴く。

Kin_ichi Nakamura中村均一 サクソフォン・サロンコンサート(アーティストサロンDolce)

A.ヴィヴァルディ/ソナタハ短調より1、2(S.Sax)
L.ロベール/カデンツァ(A.Sax)
R.シューマン/アダージョとアレグロ(T.Sax)
F.マルタン/バラード(T.Sax)
E.モリコーネ/モリコーネ・パラダイス(A.Sax)
J.ノーレ/フリッソン(A.Sax)
西上和子/霧雨(委嘱作品・初演)(S.Sax)
D.ウィルソン/Liquid Gold より Dance of Not Pretending(S.Sax)
Ph.スパーク/パントマイム(S.Sax)
 Pf:佐藤友美(西上作品のみ作曲者)

中村均一さんのソロリサイタルをちゃんと聴くのは初めてかもしれない。
今は無くなってしまった、アルモSaxQ.のソプラノ奏者としては、20年近くにわたって聴いてきたというのに。
ということは、アルトもテナーも初めて聴くことになる。
ソプラノはヤナギサワのシルバーソニック、アルトはビュッフェのプレスティージュ、テナーはヤナギサワのPGP。
機材的にもかなり興味をそそられる。

きわめて高い水準で「完成された」音だと思った。
同世代の日本のサクソフォン奏者の中で、「完成」のされ方に関しては、ある種の究極、といっていい存在の方かもしれない。
こういう、雄渾で力強く、おおらかで、それでいて焦点がぴたりと合って、しかも大きなヴィブラートがものともせずかかる演奏を一晩聴くというのは、とても懐かしく、また逆に新鮮でもあった。
若い世代の方にはもうない音だと思う。

中村さんが芸大で、須川さんの一学年上だった、という事実は、とても象徴的なことに思える。
日本のサクソフォン界の「ポストモダン」(術語としてはちょいと意味が違うかもしれないが、まあ細かいことは置いといて)というのは、須川さんのデビューに始まったと言っていいのだから。

ちなみに私は、年齢的には須川さんと同学年になる。
日本のサクソフォン界の一番面白い時代を、リアルタイムでこの目で見ることができたのは、つくづく幸運なことだった。
それはさておき。

サロンコンサートというにはかなりに強力で盛り沢山な選曲。
飄々とした「語り」で曲間をつないでいく、という流儀は「サロン」だったけれど。
大きなホールならともかく、100人で満杯というような今日くらいのスペースで(客は大入り満員)、例えばロベールのカデンツァのような激烈な曲を目の前数メートルで聴くというのは、ちょっとない経験だった。
後半は曲自体は軽い感じのものばかりだったけれど(委嘱作品は、作曲者曰く「Ballade for 中村均一」という趣の楽しい作品だった)、5曲、そしてアンコールも3曲というのは、かなりにお腹いっぱい。
スパークはさすが、楽しい曲だ。ソプラノで演奏されると、サクソフォンのためのオリジナルみたいな雰囲気がいや増す。

その前にご一緒していた初心者の方も、一緒に残ってコンサートを聴いた。
勿論サクソフォンのコンサートは生まれて初めて聴くとのことで、いきなりこういう「濃い」コンサートというのもどうだろうとちょっと心配していたが、最後まで興味を持って聴いてもらえたようで、よかった。

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サクソフォンの演奏会(2008年)」カテゴリの記事

コメント

サンダーさん、初めまして。
中村均一と申します。
この度は私のコンサートを聴いて戴いてありがとうございます。その上身に余るようなお褒めのお言葉を戴きまして恐縮です。

曲数も多くなってしまってごめんなさい。初めての生徒さんは大丈夫だったでしょうか?サクソフォーンの事が嫌いにならないか心配です。
今回はドルチェの倉田さんに色々と助けて戴きまして、「ありきたりの曲目でないものを」とけしかけられたのを真に受けすぎてしまった面もありまして、本当にすみません。僕なりに現代曲のジャンルでも、映画音楽でも、オリジナルでもアレンジでも、見栄やはったりでは無く本当に自分の言葉で伝えられる、お客さまと共感できる力を持った曲を集めました。

今の学生達は国際コンクールでは無理な曲も沢山やらなくてはならないので本当に大変だと思います。ロンデックスの影響がもう少し薄くなってくれば、以前の様な自然で音楽的な表現を楽しめるスタイルの演奏は沢山帰ってくると思いますし、そう云うメッセージを込めたつもりなので、サンダーさんに「懐かしく、新鮮」と云っていただいたのは本当に嬉しいです。
また、サクソフォーンの世界以外ではもうずっと前から「現代曲はもう古い」とおかしな事を云われている、その現代曲への取り組み方を考えて欲しいなあと思っているのですが、その考えも古いのかも知れませんね。

今僕は毎日お客さまにも仲間にも家族にも感謝して暮らしているので、演奏することで皆さんに少しでも喜んで戴ける事が何よりです。
また、サンダーさんの様に直球で素直なご意見を聞かせて戴くのは本当に嬉しいです。
まずは一言お礼を云いたくて書かせて戴きました。
ありがとうございます。
失礼致します。

コメントありがとうございました。

感想を書いた当のお相手からメッセージをいただくのは珍しいことで、驚いています。

いつも言葉足りない中、はたして真意を汲みとってもらえるだろうかと思いながらも好き勝手に文章を書いているもので、演奏者本人のかたにそのように仰っていただいて、とてもホッとしました。

たしかにボリュームはありましたが、変化に富んでいて面白かったし、件の初心者の方も楽しんで聴けたということですから、どうかご安心ください。

現代のサクソフォン音楽(サクソフォンに限りませんが)のスタイルについては、思うところも色々あるのですが、音楽はやはり、人間から発して、人間の心から心へと伝わるものですから、そういう原点をいつも忘れないようにしたいなあと考えているところです。

今後のご活躍をお祈りしております。

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