2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォト
無料ブログはココログ

« 音楽的日常 | トップページ | 春のデュオ&トリオ »

2008.04.09

トレヴァー・ワイを聴く

先週の木曜日(3日)のこと。

発表会に向けての、二度めのレッスン。
結局のところ自分は、サクソフォンを演奏する上で本当に必要な基礎技術を、かなり忘れてしまっているのだな、ということを実感する(理屈では覚えているんだろうけど)。
律儀に週1回のレッスンに通っていたのは、私の場合もう20年以上も前のことなのだから、埃だって積もる訳だ。
今日はじめて吹いた5楽章はお話にならないほど酷かったけれど、「ちゃんと」思い出しさえすればたぶん大丈夫だと楽観している。現に、3週間前の1回めのレッスンではあれだけ悲惨だった1楽章は、あのあと3-4時間程度しか楽器(アルト)には触っていないにもかかわらず、だいぶまともになってきたもの。

ちゃんと定期的にレッスンに通えばもっと上手くなるだろうということは判っちゃいるし、実を言うとラクールの1番からやり直してみたい欲求は今の自分の中にもあるんだけど、たった2-3回の曲レッスンのためだけにも仕事休まなきゃ対応できない現状では、それもままならず。ううむ。

レッスン終了後は、神楽坂の音楽の友ホールへ。

Trevor Wye, 080403トレヴァー・ワイのフルート・ファンタスティック!(音楽の友ホール)

クープラン/組曲「クープランの恋人たち」(トレヴァー・ワイ撰)
 修道女モニカ~バンドリン~フォルラーヌ
シベリウス/ロンディーノ
シャミナード/秋
ゴッチョーク/死にゆく詩人の瞑想曲
ゴーベール/マドリガル
トゥルー/カラファの主題による変奏曲
(休憩)
58のフルート(笛)によるヴェニスの謝肉祭変奏曲
 Fl:トレヴァー・ワイ、Pf:鈴木華重子

レッスン日が4月3日と決まって、さてこの日、夜は空くし、何か面白いコンサートがあるかな、と思って探したら奇しくもこれがあった訳で。

トレヴァー・ワイが書いたフルート教本の第1巻「音づくり」は、フルートに限らず、木管楽器におけるよい「音」を開発する基本原則を自分自身で理解し実践するための得難いメソードで、私が一番長いこと習った師匠は、サクソフォンのレッスンにも必ずこの教本を使わせる人だった。
と書けば、この「師匠」が誰のことか、判る人には判るだろう。
トレヴァーの実演は1996年に一度聴いて以来久しぶり。はからずも聴くことができて嬉しい。

前半はフルート・ダモーレ(A管のフルート)による、アンコールピースの数々。
シンプルでメロウな響きが快い。
後半はお待たせ、トレヴァーの十八番(96年のときも聴いた)、ステージ幅いっぱいに置かれたテーブル上に所狭しと並んだ、ありとあらゆる笛(Flutes)を駆使しての、「ヴェニスの謝肉祭」によるパフォーマンス。
ピッコロからバスに至る各種フルート、ブロックフレーテやリコーダーは勿論だが、その多くはオカリナやインド、中国の笛、動物の角笛、あるいは人骨笛といったエスニックなもので、また博物館にしかないような昔の楽器(同時に両手で3声部が演奏可能な、オーロクロームも真っ青のトリプル・フラジョレットが圧巻。世界に12本しか現存せず、これ以外の11本は皆博物館収蔵品なんだとか)、自転車ポンプや鳥や蛙のおもちゃ、単なる紙筒に至るまで、あるいは1本の人参にその場で包丁を入れて笛に仕立てたり、なんでもある。
演奏前にざっと全部の楽器の説明をするのだが、そこからもうジョークの連発で客席は笑いが止まらない。「バスフルートが曲がっているのは、電話ボックスの中でも練習できるためです。公衆トイレとか」ってのは96年にも聞いたな。人骨笛の紹介では「これはさる貴婦人の脚だった骨です。彼女は脚を失い、私はフルートを得ました」なんて、かなりブラックなジョークも。
演奏が始まっても同様な雰囲気が続く。トレヴァーの自作になる、LEDで電飾を施し、楽器の角度によって色が変わる笛では、オーバーアクションな若い演奏家の身振りのパロディ(楽器を構え直すたびに色が変わる)に、場内大笑い。電飾といえばメガネやスーツにも仕掛けてあって、最後のバリエーションでは楽器本体の電飾と共に一斉にキラキラと光るのである。いやー笑った。

最高のエンターテイナーだ。勿論、演奏も素晴らしいからこそ、笑えるのだ。大真面目な顔でジョークに付き合って見事に演奏してのけた、若い女性ピアニストにも、拍手。
この面白さは文章じゃ判らないな。実際に見ないことには。
会場でDVD(ニューメキシコ大学での同様なコンサートのライブ)を売っていたので、購入。残念ながら流通には乗っていなさそうだが。

Flute Spectacular

終演後、使われた笛の並んだテーブルを囲んで見入るお客さん。
人骨笛が一番手前に見える。

« 音楽的日常 | トップページ | 春のデュオ&トリオ »

コンサート(2008年)」カテゴリの記事

コメント

あぁ、トレヴァーは1巻だけで挫折してしまいました。
Thundurさんの仰る師とは多少ご縁がある?ものの、今は別の師についております。

よい「音」って、永遠の課題でしょうね、精進せねば。

おお、大腿骨ですね。骨頭の頸部がだいぶ削り込んでありますが右側の骨でしょうか?。大腿骨は200以上ある人間の骨の中でも最も長い長骨ですが、それにしても随分と体格の良い貴婦人だったのですね。人骨というのは原始の時代には最も身近にあった楽器素材だったのではないでしょうかね。打楽器にはテンプル・ブロックなんてのもあるし。テンプルを打てなくなってしまったボクサー矢吹丈はテンプル・ブロックも叩けないのであった・・(失礼)。骨の話についつい反応してしまいました。

ほんとにおいそがしいなか、ご来場ありがとうございました。招聘元でございます。楽しんでいただけて、何より嬉しいです。さすがにお年だな、と心配になる面もあったのですが、やっぱり思い切って開催して良かった!

「世界で一番素晴らしいショップ」とトレヴァーセンセイのこよなく愛する場所は、(ムラ*ツとかヤ*ノではなく)東急ハンズであります。だからまた東京へ来たいとおっしゃっていられます。自作の光るフルートやらヘビやらは、前回私が見たときよりもはるかに凝っていて、センセイのたゆまぬ努力に頭が下がる思い・・・。

>わんこ様

ええ、私も2巻から先は見たことがありません(笑)

この教本はある意味、自分自身との対話の仕方を教えるような本なので、師匠になりかわって自分が他人にこの本の使い方を教えることができるかというと、ちょっと微妙なものがあります。
つまり、技術ではなくて、それを言う本人に説得力が備わっていないといけない訳で。…

>とめ様
う、意外なところから「専門家」の突っ込みが…(笑)
自分が死んだら、骨を笛にして誰か吹いてくれないかなあとヘンなことを夢想しました。これこそ究極の「生きている証し」(死んでるけど)、ではないかと。

>K子さま
お疲れさまです。
本当に面白かった。いま、聴けてよかったです。

教本の1巻の訳者まえがきに、「週末のたびに1本ずつ試作している頭部管を木の箱一杯に詰めて持ち歩いている」ワイ氏の姿が書かれていますけれど、まさに「匠の音楽家」とでも言うべき方ですね…
また来日されますように。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74078/40782113

この記事へのトラックバック一覧です: トレヴァー・ワイを聴く:

« 音楽的日常 | トップページ | 春のデュオ&トリオ »