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2008.04.12

フランス音楽の4月…(2)フロラン・シュミット

今日(11日)のこと。
ちゃんと遅れは取り戻したぞ。(別にエラかないが)

Futaba Inoue, 080411井上二葉 ピアノ独奏会2008(浜離宮朝日ホール)
-歿後50年のフロラン・シュミットをめぐって-

G.サマズイユ/3つの小さなインヴェンション
F.シュミット/2つの小品Op.57~クロマティック・ハープまたはピアノのための
 I 荒野、II 旋回
同 /『親密な音楽』より
 僧院Op.29-1
 葉っぱの唄Op.16-6
 弔鐘Op.29-6
 航跡Op.29-2
 そよ風Op.29-3
G.フォーレ/前奏曲集Op.103よりIII、IV
同 /夜想曲第12番Op.107
同 /舟歌第13番Op.116
F.シュミット/7人の乙女の舟歌Op.87-2
同 /ガブリエル・フォーレの名によりOp.72-2
C.ドビュッシー/エレジー
同 /赤々と燃える炭火に映える夕べ
F.シュミット/そして牧神は月に照らされた麦畑の奥で肘をつくOp.70-1~クロード・ドビュッシーの追憶に

今日は横浜では東京佼成woの定期で、須川さんと田中靖人さんがともどもソリストとして登場ということで、Thunderはそっちに行ったんじゃないかと思っている方も多かったようですが(笑)、今回は全く迷うことなくこちらへ。
言葉にならないような感動的なコンサートだった。
と書きつつ言葉にしちゃうけど。

フロラン・シュミット(1870-1958)というと、難曲・サクソフォン四重奏曲Op.102や吹奏楽曲『ディオニュソスの祭り』によって私たちは知っている訳だけれど、とてもそれだけではない、この独自の見識あるプログラムのように、師であるフォーレと同時代人のドビュッシーを架橋し、更に先へと進める音楽を書いた人だった、ということだ。
実際、先の2つの曲を連想させるような重厚な曲は、今日の中ではOp.72-2くらいのもので、中にはまるでシューマンみたいに簡素で古典的な曲もあり、この作曲家の多様性を改めて実感させられた思いがする。
休憩後のフォーレからは、最後までほとんど曲間をおかず続けて演奏されたけれど、まるで全体でひとつの曲のように聞こえたものだ。

井上二葉先生といえば、日本のピアノ界の最長老の一人。もう80近いご年齢のはずだが、背筋のぴんと伸びた気品のある姿も美しいタッチもコントロールも、全くそんなふうには思わせない。
そりゃ、衰えが皆無だと言ったら嘘になるけれど(フォーレのノクチュルヌみたいな込み入った曲では苦労されていたようだけれど)、そういうことが問題なのではない。
それどころか、例えば最後のドビュッシー追悼曲での、叩きつけるようなパッションが日没のように鎮まってゆき、エオリアン・ハープを思わせるひそやかな響きへと収斂していくあたりの持って行き方の巧みさたるや、普通の日本人ピアニストからはまず聴くことのできない類のものだったと思う。
今回の曲目、録音だってほとんど存在していないだろうし(私が1種類だけ持っているフロラン・シュミットのピアノ曲集のCDともほとんど曲目が被っておらず、予習はできなかった)、またドビュッシーの「赤々と燃える炭火に映える夕べ」というのも、2000年に存在が明らかとなり2003年に初めて出版された、ドビュッシーの最後のピアノ曲であり、当然ながらこれも録音はまだほとんどなされていない(曲自体は前奏曲集第1巻のような、ある種典型的なドビュッシーだったが)。
全部ご自分で一から楽譜を読んで仕上げて来られたということですよねえ。

別に私は、お年を召された方が相手だから敬老精神によって誉め称えているわけではない。
むしろ、井上先生が今もなお保持している若々しさ、ご自分が生きてきた最も実感ある時代の空気や精神を覚え続け、それを私たちに伝えてくださる(伝えることができる能力と気力を保ち続けている)ことに、感謝しているのだ。
井上先生自身によるプログラムノート(非常に貴重)の最後に、1958年の初夏、ストラスブールにて、シャルル・ミュンシュ指揮によるシュミットの交響曲第2番の初演に接し、壇上に上った作曲者(2ヶ月後に亡くなることになる)に熱い拍手を贈ったことが書かれていたけれど、そのように、その場にいた、その人を直接知っている、その空気と時間を共有した、ということは、何にも代えられない「絶対」なのだから。


プログラムノートを読み返していて気がついたけれど、今回のプログラム冊子、内容は曲目と曲目解説だけで、ご自分(演奏者)のプロフィールが一切載っていない(チラシにも)。
これまた、なんとも、潔いことだ。

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コメント

翼のはえた指に何回も登場されていますね<井上先生
以前、2台ピアノを聴かせて頂いた(プーランクでしたでしょうか)
のですが、ピアノに歩いていかれるまで、ゆっくりと
歩いてらっしゃいました。
座って弾き始めると、先ほどのゆったりさ加減がどこへやら…
の演奏でした。

高齢であっても、前向きにピアノを弾いてらっしゃる姿は、
Y先生も喜んでらっしゃるのではないでしょうか。

ぶらあぼ4月号でこのリサイタルを知って、Thunderさんはきっと
聴きに行かれるに違いないと思っていました。(^^

シュミット、今年没後50年なんですね。

>さき様

「独奏会」ってネーミングもいいですよね。
なんか、昭和の30年代って感じで。
ご自分の感性に忠実なところが素晴らしいと思います。

>京青さま
さすが、分かってらっしゃいますね。

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