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2008.01.23

デクリュック、デル・トレディチ、ダンディ

ソプラノサックスの新しいマウスピースが、到着。
バンドレンのV15。
先週楽器を選定していただいた際に、時間切れでマウスピースの選定まで間に合わず、日を改めて選んでいただいたのだ。
実はバンドレンのMPは(サックスは33年吹いているけれど)初体験。選定者の先生からは「セルマーのマウスピースと交互に使うのは危険だと思うので、使うときは覚悟を決めるように」とのメッセージ付。ははーっ(平伏)。

Fernannde Decruck楽器を買って帰った時に、アクタスの店頭で売っているCDを1枚オマケで付けてくれる、とのことで、これにする。
フェルナンド・デクリュック(1896-1954)の、サクソフォン作品集(dapheneo)。
ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のサクソフォン現首席奏者のジャン=ピエール・バラリオーリ氏が、昨秋の来日時に置いていったCDだそうだ。アクタス店頭にはまだ2-3枚あった。

このCDについては、既にkuriさんが詳しい紹介をされている。
ラヴェルの初期や、「ピアノのために」から「版画」に移る頃のドビュッシーみたいな、典型的にフランスぽい和声の響きが、快い。
ポピュラー音楽みたいな雰囲気をもった小品もあるけれども、どれも節度と気品があって、20世紀前半、という古き良き時代の香り。

バラリオーリ氏はあまりに身体が大きくて、こちらでは「サックスがブローチに見える」と言われていたけれど…

Baraglioli

確かに。(れっきとしたアルト。カーブドソプラノではありません)

さて、アクタスの近くにはタワーレコードがある訳で、行くとつい寄ってしまう訳で、寄ると何かしら買ってしまう訳で。

FINAL ALICED.デル・トレディチ/ファイナル・アリス
 バーバラ・ヘンドリックス(Sp)
 サー=ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団(Decca原盤)

デル・トレディチ(1937-)の「ファイナル・アリス」の名は、サクソフォン奏者フレデリック・ヘムケの公式サイトの中の、シカゴ響の録音に参加している演奏、というリストで知ったのだった。
アメリカ建国200年の記念による委嘱で作曲された、「不思議の国のアリス」を題材とする、ソプラノ歌手一人による一種のモノ・オペラ。
ちょうど、タワーレコードのヴィンテージ・コレクションにて先頃、1枚1000円という値段(しかも日本語対訳付き!)で復刻されたところだったのを見つけ、おお、と叫んで買ってしまった。

とてもわかりやすく、痛切なまでにシンプルで、若く明るくロマンティックな音楽だ。
これを聴いていて、(曲の雰囲気はまるで違うけれど)マーラーの交響曲第3番のフィナーレを思い出した。
世界がこんなにも明るく、輝かしさに満ちている、などという感覚は、きっと錯覚のようにほんの一瞬のことに違いない、という作曲者の確信に近いような想いが、曲全体にせつなさの陰影を与えているように思う。
バーバラ・ヘンドリックスの、細身でリリックで可愛らしい声質が、この音楽の雰囲気にぴったり。

サクソフォン(ソプラノ2)は曲の冒頭からコンチェルトのように聞こえまくっている。奏者はヘムケ(CDではフレッド・ヘンクという表記になっている)と、ロバート・ブラックという2人がクレジットされている。
ロバート・ブラックという人もシカゴ響によくエキストラで乗っている方のようで、こちらのページによると、1972年にボルドー音楽院でプルミエプリを獲得しているとのこと。

もう1枚、新着CD。

Vincent d'IndyV.ダンディ/室内楽曲集(古風な様式による組曲Op.24、シャンソンとダンスOp.50、ピアノ五重奏曲Op.81、フルート、ハープ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための組曲Op.91)
 ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団のソリストたち(Timpani)

ヴァンサン・ダンディ(1855-1931)は私の偏愛する作曲家のひとりで、これまでにも当ブログ上にいくつか記事をupしてきた。
Timpaniレーベルからちょっと前に出た管弦楽曲集のCDに続き、今度は室内楽曲集。1曲めは2Fl、Tp、弦(そういえば昨秋水戸室内管で聴いた曲だ)、2曲めは管7本という具合に、編成も変化に富んでいる。

ダンディという作曲家、ドビュッシー以後のような新しさもそれほどなく、かといって明らかに古典的という訳でもなく、スタイル的には少々中途半端で、しかもあまりに格調が高すぎるせいか敬して遠ざけられるようなところがあって、いまいち人気はないけれど(サクソフォンのために「コラール・ヴァリエ」という曲を書いていて、確かに有名だしCDも何枚か出ているけれど、じゃあ吹いたことがあるとか生で聴いたことがあるという人は果たして何人いるだろうか)、その音楽の気品の高さはいつか理解される日が来るだろうと思っている。

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コメント

V5のS15かしら?プロでは流行っているかも。

アタリのツボは小さめです、セルマとは息の流れが違うかな。
慣れれば、コントロールしやすいですねぃ
今風の音が出るようになるでしょう

わたしも使っているけど、でもすごくはオススメはしないなぁー

私もヴァンドレンのマウスピースを買って試したことがあります。セルマーの時とアンブッシュアも響きの感じも全く違うので交互に使うのはやはり危険ですね。私のアンブッシュはぐっと噛んでいるので、ヴァンドレンには向かないようです。。。。リガチャーもいろいろ変えたけれども、安定しているのはやはりセルマーだった。ただ、フラジオが出にくいかも。

>sax-istさま
S15でした。
自分で立ち会わずにマウスピースを選んでもらう、というのは考えてみたらちょいと無謀でしたけれど、自分の世界を広げるためにはこれはこれでチャレンジかもしれません。
本格音出しは週末までお預けです。

>井伊さま
リガチャーはバンドレンのスタンダードタイプ(GP)が一緒に届きました。
現用のBG・トラディショナルとの比較が楽しみ。

あっ、リンクありがとうございます。

ダンディの作品集もタワレコで入手されたのですか?ちょっと興味があります。以前CalliopeのCD(サン=サーンスのソナタ集)にカップリングで入っていた室内楽を聴いて、ステキな曲を書く方だなあと思いました。

kuriさま

ライナーノートの翻訳、お疲れさまです。

Calliopeのサン=サーンス集に入っていたのは、「シャンソンとダンス」の片割れですね。
木管楽器のアンサンブルのために書かれた、近代の傑作だと思います。

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