2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
フォト
無料ブログはココログ

« 【お知らせ】今年もフェスティバル、とか | トップページ | 日比谷公会堂の記憶 »

2007.12.08

【連載】マルセル・ミュールの生徒たち 最終回

この連載の趣旨、見方については連載第1回のエントリをご参照ください。

1966-1967

BALLION, Jean
BOUSQUET, Jean-Louis
BREBBIA, Daniel
CATENNE, Daniel
COLLET, Jean-Claude
DEMANNEVILLE, Gervais
LOUVEL, Claude
MANCEAU, Régis
NET, Jacques
PODEVIN, Michel
PORTE, Georges
THYMEL, Christian
POTTS, Leo (U.S.) Auditeurs.

試験曲:Sonatine (Georges Dandelot)

Jean BALLIONは、タイユフェール作曲の2台のピアノ、サクソフォン(Saxophones)、合唱とオーケストラのためのコンチェルトという面白そうなCD(1998年リリース)のレコーディングに参加していて、このCDの情報をネット上ではたくさん見つけることができるが、詳しい経歴は不明。現在はL'Orchestre National A VENT'AGEというシニア吹奏楽団のバリトンサックス奏者、ということだ。

Régis MANCEAU(1949-)は翌年に一等賞で卒業することとなったようだが、リル・サクソフォン四重奏団、パリ空軍バンドなどに在籍した後、ヴェルサイユ音楽院でフルートを学び、ブレスト(Brest)の音楽院のフルートの教授、ポール・ケンツ室内管弦楽団(ユージン・ルソーの協奏曲集の録音で有名)のフルート奏者として活躍したとのこと。

Michel PODEVINはドール(Dole)の音楽院教授として名前を発見。

Georges PORTEはギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のメンバーだった。アンドレ・ブーン引退(1992)後の首席奏者として、1997年の日本公演までは在籍していた。次の2001年の日本公演では名前が消えているので、その間に定年退職したと思われる。クレテイユ(Creteil)、カシャン(Cachan)の音楽院教授という記録がある。
ちなみに最近、ギャルドの1995年の日本公演のライブ録音による「展覧会の絵」ほかのCDが新装再発売されたが(オクタヴィア/Sacrambow)、このCDには「サクソフォン:ジョルジュ・ポルト」というクレジットが入っている。

聴講生のLeo POTTSは、現在カリフォルニア州立大学(CSU)ロングビーチ校の教授。ソリストとして、またWest Coast Saxophone Quartetのメンバーとして何枚かのCDを出している。
CSUのウィンド・シンフォニーが1981年に来日した際のライブCDがかつてCBSソニーから発売されていて、1曲独奏を担当していた(M.Brunoのコンチェルト)。

Marcel Mule以上で、本連載「マルセル・ミュールの生徒たち」は終了となる。
初回に書いたとおり、この連載の元ネタは、たまたま手元にあった、ユージン・ルソーの著になるマルセル・ミュールの評伝本の巻末付録である。
年度と人名、別表で課題曲の曲名が一覧になっているだけのシンプルな情報で、こういう基本情報はweb上で気軽に閲覧できると便利だな、と思ったことがきっかけだった。
元の書籍自体がかなり特殊なものでなかなか手に入りにくいし、そもそも現代にあっては、ネットで検索できない情報は情報として片手落ち、と言ってもいい訳で。
とはいっても、単にブログ上に書き写すだけではだんだん物足りなくなってきて、付随していろいろな調べごとを始めてしまって、それが手間で結果的に連載終結までに1年以上かかってしまった。
なんとか年を越えないうちに完結することができて、ホッとしている。

左の「マルセル・ミュール Marcel Mule」というカテゴリリンクをクリックすると、本連載の全貌を一意に見ることができます。
(最初のほうのエントリには少し補筆もあります)


ミュールの独奏者としてのキャリアの最後を飾るイヴェントは、1958年のミュンシュ指揮ボストン交響楽団とのアメリカ公演だった。
この機会を最後に、ミュールはソリストとしての演奏を控え、自らの活動を四重奏での演奏とパリ音楽院の教授職のみに限定し、教授職をダニエル・デファイエに譲って後は、「楽器をクローゼットにしまい込み、その後二度と取り出すことなく」(フレデリック・ヘムケの追悼文より)、すべての演奏活動から引退した。
後の録音や演奏記録が一切残っていないのは残念ではあるけれど、これはこれで賢明な判断だったのだろうとは思う。

評伝本より、件のボストン交響楽団との演奏会のプログラム。

BSO_1957-58

ボストン交響楽団 第77楽季 1957-1958
音楽監督 シャルル・ミュンシュ

2月4日 火曜日 8時30分

ラヴェル/「マ・メール・ロワ」組曲
イベール/サクソフォンとオーケストラのための室内小協奏曲
休憩
トマジ/サクソフォンとオーケストラのためのバラード
メンデルスゾーン/交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア」

独奏 マルセル・ミュール

もしタイムマシンがあったら、是非行って聴いてみたい演奏会のひとつ。

« 【お知らせ】今年もフェスティバル、とか | トップページ | 日比谷公会堂の記憶 »

マルセル・ミュール Marcel Mule」カテゴリの記事

コメント

連載、いつも楽しみにしていました!

今から思えば、早い引退だったのですね。

もしタイムマシーンがあるなら、私も同行したいです!(^^)
ミュンシュが指揮なら、尚更。

もともとはシンプルであったリストに、Thunderさん的調査・考察を加えたもので、興味深く拝見いたしておりました。

イベールとトマジの、その時のライヴ録音は、時々引っ張り出してきては聴きますが、見事としか言いようがないです。我々の感覚ではまだ余裕だろうというところですが、そこでスパっと引退してしまうのが、ミュールなりの美学だったのでしょうね。

やっと連載が終わったので、これで私も引退できます。(^^;
というのは冗談ですが、まんざら冗談でもない気分。

へえ、その演奏会のライブ録音が存在するということですか>kuriさん
初耳ですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【連載】マルセル・ミュールの生徒たち 最終回:

« 【お知らせ】今年もフェスティバル、とか | トップページ | 日比谷公会堂の記憶 »