2024年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フォト
無料ブログはココログ

« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »

2007年6月

2007.06.30

生涯随一の本番

水面下では冬頃からずーっと動いていた件が、やっと本格的に動き出した。

この8月の、第13回日本フルートコンヴェンション2007 TOKYO &第1回ワールドフルートコングレスという、日本フルート協会主催による世界規模の催しに、私たちのアンサンブルが参加させていただくことになりました。
4日間の会期初日の、「ピッコロの世界」というコーナーに、昨年の私たちの定期演奏会でお世話になった渡辺泰先生(新日本フィル)が出演されることになり、その際に是非その時のネタ(ヴィヴァルディのC-dur)を、ということで依頼を受けたのです。

Written request, 070625
正式な出演依頼書(クリック拡大)

客層:日本国内、および世界各国から集まったプロのフルート奏者たち
会場:東京藝術大学第1ホール
という、私たちとしてはおそらく、後にも先にもあり得ないパブリックな演奏機会となります。
なんたって「芸大」ですよ。私たちのようなアマチュアプレイヤーが芸大のホールで演奏する機会というのは、なんといっても稀少でありましょう。(しまっぷー先生は在学中の実技試験会場だったそうですが(^^;)

フルート協会員限定の催しらしいのがなんとも残念なのですが、一世一代の本番のつもりで、楽しんできます。

2007.06.28

【告知】コンサートいくつか(再掲)

フランスの若手サクソフォン奏者、ジェローム・ララン氏がこの夏来日される話は以前にも少し触れたが、そうこうしているうちにご本人から案内と宣伝の依頼を受けました。
という訳で、再掲。

●原博巳&ジェローム・ララン&大石将紀 JOINT RECITAL(2007年7月14日、ノナカ・アンナホール)

これの告知はここでは初めてかと。詳細はこちらをご覧ください。
なかなか興味深い(というか、結果が予測がつかない)組み合わせの3人による、ジョイントコンサート。
…実はこの日は私、練習が被っていて、行けるかどうかは微妙なんだけど。

ちなみに大石さんは、来年3月の、オペラシティのリサイタルシリーズB→C:バッハからコンテンポラリーへの第100回めに登場されるようだ。
この「B→C」、どなたがプロデュースなさっているのかは知らないけれど、出演者の選び方に非常に独自の見識が感じられて、以前から注目してきた。
サクソフォン界からはたしか、彦坂さんに続く2人めだと思う。(追記:平野さんも出たことがあって3人めでした)

ヌオヴォ・ヴィルトゥオーゾ vol.3 声とサクソフォーン、ピアノ 「息の横断」(2007年7月20日、大田区民ホールアプリコ・小ホール)

「サクソフォーン旋風」と題した、同じシリーズの前回リサイタルの観戦記は、こちら
今回もまた、いったい何が飛び出すか、期待が高まる。

当公演のフライヤー(チラシ)のデータもいただきました。→こちら(PDF)。
…これ、そっくりそのまま印刷屋さんに回せます(トンボ付き)。

2007.06.27

【小ネタ】脳内祭り

ここ数日、周囲のブログ界でブレイク中の「脳内メーカー」。
私もやってみました。

Brain image

…これって、ひどくね?(^^;

本名でやってみたらもうちょっとマシだった。

2007.06.25

新しいストラップ

お出かけ帰りに寄った新宿のドルチェ楽器で、ブレステイキング breathtakingという新しいストラップを買った。
今般新発売、しかもちょうど目の前で入荷してきたものだったから、たぶんアマチュアプレイヤーとしては第一号の購入者だと思う。

発想としてはBGのハーネス(俗称「緊縛ストラップ」(^^;)のように、首にかかる重量を肩に分散させようというもののようだが、ハーネスみたいに両脇から締め付けられる感じがないところがいい。
お値段はそれなりにするけれども、慢性肩凝りと背筋力低下によって、正しい姿勢でサクソフォンを保持することが最近とみに辛くなってきた(2~3年前には、頸椎の椎間板がずれて2ヶ月くらい整形外科に通ったこともある)中高年サックス吹き(^^;としては、有難いものかもしれない。

開発者のサクソフォン奏者小村由美子さん(むかし、毎年のサクソフォン発表会でご一緒したことがあるような気がする)のサイトは、こちら

2007.06.24

【連載】マルセル・ミュールの生徒たち 21

この連載の趣旨、見方については連載第1回のエントリをご参照ください。

1962-1963

ARNOULT, Jean
CARRE, Jacques-Louis
DEFIVES, Marcel
DEMARLE, Guy
DEPUYDT, Jacques
DUCROCQ, Daniel
GAUDET, Daniel
JUILLOT, Michel
MAGNAC, Jean-Pierre
MEYER, Robert (U.S.)
PRATI, Hubert
ROGGE, Richard (U.S.)
SURGET, Michel
TROUSSELET, Michel
VIATGE, Gilbert
DINH DANG, Dac (Vietnam) Auditeur.

試験曲:Allegro, arioso et final (Pierre Lantier)

本日2007年6月24日は、マルセル・ミュール師の106回めの誕生日でもあります。

Michel Surgetは、Iwan Rothらと共にSwiss Saxophone Quartettを結成、のちには自身の名を冠した四重奏団で活躍されていた模様。ローザンヌ音楽院でも教えていたようだ。
Richard Rogge、Marcel Defivesについては、探しきれず。

Guy Demarleの名前に、おっ、と反応される方もいらっしゃると思いますが、こちらは次回に詳しく書きます。

高校生たちと Part2

昼から、都立K高にお邪魔する。(以前の関連エントリはこちら
今日はフルート奏者のW先生がいらっしゃって合奏を振ってくださるとのことで、私としても楽しみにしていたところ。

合奏開始前、1時間だけパート練習をみる。
きゃつら本当に真面目。Saxパートは、特に。別にオレが口から出まかせで言うことメモなんか取らなくていいからさー、とも言いたくなるが(^^;、逆にコッチとしてもそれに値することを言わなきゃ、と思うし、生徒に要求する以上は自分でも出来なきゃ(全24調のスケールを出来るようになれ、とか)いけないし、励みになることは確か。

W先生の合奏は、実に面白かった!ためになる。全員四つん這いになっての腹式呼吸の実習、などというところから始まって、自分も生徒になったつもりで聞き耳を立てていた。
曲の合奏中にメモしたW先生のコメントを後から読み返してみると、実に「当り前」のことしか言ってないんだけどね。
特に自由曲など、まだまだ合奏を始めたばかり、ということもあるけれど。
それでも、当り前のことを当り前に、確実に出来るのがプロのプロたる所以な訳で。

今日は別室で部活の保護者会が開かれていたので、途中呼び出されてW先生と行って挨拶してきた。
居並ぶお母さま方の多くが自分と同世代、というのは、なんか不思議な感じ。

部活終了後の帰りの会で(この「帰りの会」っていう語感もやたらと懐かしいんですけど(^^;)、集まった生徒と保護者たちの前で、W先生がリクエストに応えて1曲披露して下さった。
無伴奏ピッコロのための「ヴェニスの謝肉祭」変奏曲(!!)。

070623

す、凄すぎ。…

こんなものを自分たちが普段通っている学校で普通に聴けてしまう生徒たちが、うらやましいぞ。
とはいえ、こういう人も羨むような環境をお膳立てするにあたって、自分が力になれた、ということが、ちょっとだけ誇らしい。
真面目で頭が良くて自発性に富んだ彼女たちのこと、次までに、今日あったいろいろをどれだけ吸収して伸びてくれているか、楽しみ。

書きたいことはいっぱいあるけれど、さすがにもう遅いので、このへんで…

2007.06.22

A Midsummer Night

今日は夏至。
いまいち天気はよろしくないが。

1年に一度しかない夏至、ということで、本日は我が家の「真夏の夜の夢」(原題のmidsummerは、ご存じの方には常識でしょうが、「真夏」ではなく「夏至」のこと)のCDお蔵出し、という、何も考えなくても出来るお気楽企画にてお送りします。
折に触れて書いているように、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」は私の偏愛する曲なので、両手の指でも足りない程度のCDをこれまで聴いてきたけれど、手元に残っているのは以下のようなものとなった。

A midsummer night's dream, Dutoit
シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団(Decca)

「間奏曲」を含む組曲版。
この曲の良さを知るきっかけになった演奏。いろいろなCDを聴いても、結局これに戻ってくる。
少々フランス趣味に傾き過ぎな気配はあるけれど、スマートでカッコ良くて鮮やかであることにかけては、比類がない。
「真夏の夜の夢」は私たちのアンサンブルでも今年演奏することになっているけれど、メンバーに配る参考音源集のCDにはこの演奏を入れた。

A midsummer night's dream, Nelson
ジョン・ネルソン指揮 パリ室内管弦楽団、ほか(Virgin Classics)

最近のお気に入りはこれ。The Oxford and Cambridge Shakespeare Companyの俳優たちによる語り(英語)入りという、珍しい盤。
刷り込みがデュトワだからか、自然とフランス趣味な音色と演奏にシンパシーを感じることになるようだ。
少しピリオド的なアプローチも感じる。

A midsummer night's dream, Herbig
ギュンター・ヘルビッヒ指揮 シュターツカペレ・ベルリン、ほか(Deutsche Schallplatten)

純朴ドイツ系だったら、やはりこれでしょう。ドレスデンと並ぶ旧東ドイツのオペラ・オーケストラの雄。
といっても、重々しくてもっさりした音を予想していると、見事に裏切られる。ある意味とても明るく、シンプルな音が素敵。
最近リマスター盤も出たようだ。

A midsummer night's dream, Ormandy
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団、ほか(BMG)

アメリカン・ゴージャスを代表して、こちらの全曲盤。
ちょっと嘘臭いまでに豪華なサウンドだけれど、それが軽薄さに結び付かないのはやはりオーマンディ氏の人徳か。
これに慣れてしまうと普通の演奏はショボくて聴けなくなるかも(^^;

A midsummer night's dream, Maag
ペーター・マーク指揮 東京都交響楽団、ほか(DENON)

メンデルスゾーンのスペシャリストだった、今は亡き名匠ペーター・マークと、われらが都響による1984年の録音。
この機会に数年ぶりに聴き返してみて、すごく良い演奏であることに改めてびっくりした。オーケストラのトータルな響きの練度は一歩譲るけれど、指揮者の意図を実によく汲んだ、一体感にみちた音を出していると思った。
テンポはぶっ速いけれど、驚くほど見事について行っている。ただし、あちこちに大胆なアゴーギグの変化が仕掛けてあって、聴いてて椅子から転げ落ちそうになるが(^^;。

ヘンツェ、シューマン、ベト7

TMSO, 070621東京都交響楽団 第646回定期演奏会(東京文化会館)

ヘンツェ/室内協奏曲05(日本初演)~15人の奏者のための交響曲第1番改訂版
シューマン/チェロ協奏曲(Vc:ダニエル=ミュラー・ショット)
ベートーヴェン/交響曲第7番
 指揮:ベルンハルト・クレー

都響の6月定期。
指揮のベルンハルト・クレー、私が都響の会員になった15年くらい前の頃にはよく客演していた人だ。懐かしい。そもそも、都響に純粋ドイツ人の指揮者が来るのは意外と珍しいかも。
舞台の上には、コンマス山本さん(今日は矢部達哉さんと豪華2トップ体制)、えん香奈さん、チェロ古川展生さん(シューマンで独奏チェロと美しい二重奏を聴かせる場面があった)、コントラバス首席の山本さん、トランペット高橋敦さん等、昨日も紀尾井ホールの舞台で姿を見た方がたくさん。
この定期演奏会のための練習をしながら、昨日のリハーサルと本番をこなしていたって事か。…プロってすごいなあ、と改めて感嘆。

ヘンツェは、現代音楽とは言っても、ウェーベルンくらいまで後退したような印象があった。ヘンツェにしては聴きやすい音楽。
シューマンは、所々にいかにもシューマン、なメロディが現れるけれど、全体にはなんだかとりとめのない曲だ。何度も聴いているしCDも持っているのだから知らない曲ではない筈だけれど、いまだにどういう曲だか覚えられずにいる。…今日の曲並びで聴くと、冒頭の響きがベートーヴェンの7番の2楽章と同じだ、ってことに気がついたが。
ソリストは1976年生まれだそうだ。かなり若く見える。92年チャイコフスキー・コンクールの覇者とのこと。大きな音で情感たっぷりに弾いていて、なかなか良かった。
休憩後はベートーヴェン7番。定番中の定番。…やはり、名曲です。
細部が、聴き慣れたものと微妙に違うような気がしたけれど(楽器の音量バランス、装飾音符の入れ方、アーティキュレーション、など)、気のせいかな。


ベートーヴェンの7番は、クラシックをちゃんと聴き始めたばかりの中学生の頃、ドビュッシーやラヴェルといったフランス印象派、近代の音楽を知る以前は、私の最も好きな曲だった。
親に買ってもらったカセットレコーダーに、自分で作った6石のトランジスタ・ラジオを繋げて、NHKの第2放送(AM)でたまたま流れたN響のベートーヴェンの7番を録音し、しょっちゅう聴いていたものだった。
今でもそれが自分の中ではスタンダードになっている。1974-5年頃のこと。

ずっと後になって、それが(故)ロヴロ=フォン・マタチッチの指揮による、N響の伝説的な名演だったことを知った。

2007.06.21

すごかった…

Buffet Crampon KK. 40th anniversaryビュッフェ・クランポン株式会社開設40周年記念~フランス管楽器の“華”(紀尾井ホール)

A.オネゲル/夏の牧歌
J.イベール/コンチェルティーノ・ダ・カメラ~アルトサクソフォンと11の楽器のための(Sax:ファブリス・モレッティ)
T.カサッティ/キノ小協奏曲 Kino Concertino~ユーフォニアムと弦楽オーケストラのための(Euph:スティーヴン・ミード)*日本初演
J.=M.ルクレール/協奏曲ハ長調~オーボエ、クラヴサンと弦楽のための(Ob:ジャン=ルイ・カペザリ)
J.フランセ/クラリネット協奏曲(Cl:亀井良信)
 ジャパン・チェンバー・オーケストラ(コンサートマスター:山本友重)

いろいろあった真夏のような暑い1日の終わりに、とんでもなくすばらしい演奏会を聴いた。
ビュッフェ・クランポンKK(日本法人)の40周年記念演奏会。
素晴らしいソリスト陣、素晴らしい演奏、バックをつとめたオーケストラの見事さ、そしてこれらの曲とこの紀尾井ホールという場所の、音響と環境の理想的な似つかわしさ、という点で。

私はサックス吹きなのでまずは「イベール」だけれど、今日の演奏は私がかつて生で聴いたことのある、この曲の間違いなく最高の演奏だった。
モレティ氏のぶっ速いテンポと鮮やかなテクニック、金属の光沢のような不思議な独自の輝きを低音域から高音域まで備えた音色、ホールの大気を直接揺らすかのような響き。音1個1個のすみずみまで音楽的メッセージに満たされていて、小賢しい「表現」とはなんと無縁なことか。
それらのすべてが、20世紀のフランス音楽、という過ぎ去ったものへの奥深い讃歌のように聞こえてくる。
モレティ恐るべし。
バックのオーケストラも、楽譜どおり11人の(弦増量なし)編成だったが、水1滴漏らさないような完璧な連繋。極彩色のジェットコースターのように煌きを振りまきながら、澱みなく快活に進んでゆく。しかも、指揮者なしで!
この曲(難曲である)を指揮者なしで聴いたのは、5~6年前のオルフェウス室内管(ソロはブランフォード・マルサリス!)以来2度めだが、その時は今日ほどテンポは速くなかったし、こんなに隅々まで生き生きした演奏では絶対なかった。

いや、すごかった。
私は、今日のこの演奏を聴けたことを、おそらくこの先一生自慢するだろうと思う。(^^)

モレティ氏だけでなく、ソリストは他の3人ともエクセレントの極み。
特にクラの亀井さんという方は初めて聴いたが、間違いなく今までの日本人クラリネット吹きには無かった感性の持ち主だ。サックスでいう須川さんのように、10年か20年にひとり現れて、あるジャンルの全体を次のステージに押し上げるような存在たり得ると思う。
これだけの顔ぶれのコンサートのトリを飾るにふさわしい、まさに一時代を画する才能(1988年のワールド・サクソフォンコングレスの「協奏曲の夕」で、ロンデックス、デファイエ、ヘムケ、ルソーが順に登場した最後に、当時27歳の須川さんが大トリを務めたときのことを久々に思い出した)。

オーケストラは、コンマス山本さんをはじめ、2ndVnの双紙さん、えん香奈さん、チェロ古川展生氏(ルクレールの2楽章で、ノンヴィブラート奏法を絶妙に採り入れた見事な通奏低音を披露されていた)など、弦は要所を都響の首席クラスで固めたメンバー。…上手い訳だ。管は都響、新日本フィル、他フリーランサーによる布陣。
冒頭の「夏の牧歌」1曲のみ、その後と全然違う超豪華メンバー(Fl佐久間由美子、Ob青山聖樹、Cl山本正治、Bn岡本正之、Hn吉永雅人)での演奏だったけれど、何だったのだろうか。
日頃から一緒のオーケストラで活動し、また指揮者なしの本番も多くこなしているであろう、信頼感に裏打ちされた素晴らしいアンサンブルを聴くことができた。

客席はほぼ満員。サクソフォンの方もそれなりに見かけたものの、場内の多勢を占めるのはやはりクラ業界の方々、という感じだった(サックス吹きとしては、セルマーのこの類のイヴェントに紛れ込んだクラ吹きのような気分というか(^^;)。
スカイブルーの上下スーツを着込んだひょろひょろしたオッサンがなんか知らん目立っていたけれど、よく見たらなんと、御大浜中浩一氏(元N響首席)ではあーりませんか、とか。

2007.06.18

リード博士の遺言

ひとつ大きな本番が終わる度に、(故)アルフレッド・リード博士がいつも仰っていたことを思い出す。

「今日の本番がどんなに素晴らしいものであったとしても、次の本番はよりもっと素晴らしいものになるように、努力をしてください」

日本に来て指揮をされる時には、昭和の最後の春に初めてお目にかかった時から、最後にお会いした一昨年の音の輪コンサートまで、いつでも、どこの楽団でも(打ち上げの席上であれ、これから本番という最後のリハーサルが終わった時のコメントであれ)、一貫して同じことを仰っていた。
やはり、リハーサルの度に必ず口にされていた「音楽は聴衆に届いてこそ意味がある、どんなに素晴らしい演奏であっても、聴く人に届かなければそれは単なるリハーサルにすぎない」、というフレーズと並んで、私たちなじみのプレイヤーの間では「リード先生の二大耳タコ」、と呼んでいたものだ。

…そのことを仰ってくれた先生は、もういない。

ある意味、あまりにも当たり前なことなので、正面きって言うのは少々気恥ずかしいことでもある。
リード先生のように、自身に説得力と貫祿が備わった人物が言うのならともかく。
だけどそれは、時代や場所を超えた確たる真実であり、誰かが伝承しなければならない言葉だと思う。

…しょうがない、オレが言うぞ。

明日は今日より、もっと素晴らしい演奏が出来るように!
明日は今日より、もっと素晴らしい日であるように!

practice.

2007.06.17

昨日のこと

リサーチの本番が終了、まる1日経過。
今年もたくさんのお客様にご来場いただき、とても嬉しく、また有難く思っております。

昨日も今日も、真夏のような強い日射し。梅雨はどこに行った?
今日は青梅まで父に面会に行ってきた。
もはや会いに行くくらいしか私に出来ることはないので、行ける限りは行こうと思っているけれど、それにしても今日みたいに落ち着いて余裕のある気分で行くことができたのは、久しぶり。

昨日のこと。

hall

会場のモーツァルトホール(開場前の舞台上より)。綺麗なホールだ。
シューボックス型のホールは両側の壁が近いためか、お客さんの姿がよく見え、またホール全体が小ぶりに見える。
これでも1318席あるそうだ。

Harp and Celesta

ピアノ、ハープ2台(!)、チェレスタ(借り物)。
吹奏楽の演奏会とは思えません。

コンサートの出来は最終的に聴かれた方に判断していただくしかないけれども、演っている側としては、出来るだけのことはやった、という満足と、毎年異なる課題に取り組んで少しずつ成長を果たしていることを感じつつも、素晴らしいっ!と叫ぶには何か一歩足りないもどかしさのようなものも、いつも感じている。
来年もまた、似たような課題に一から取り組み直すことになるんだろう。…

with Mr.Akasaka

打ち上げは例年どおりの炸裂モードの中、進行。

ゲストの赤坂達三さんと2ショット(^_^)v。
なんか背後に亡霊みたいのがいっぱい写ってますが(笑)

2007.06.16

今日はリサーチ本番

Tirasi070616明けて本日16日は、リサーチ演奏会本番。

平成の始まりとともにご一緒させていただくようになって、はや19回め。
形の上では「吹奏楽の本番」なんだけれど、私にとってここは単なる「吹奏楽団」ではなく、根源的な意味でそのときどきの自分自身の音楽、というものを実践する場所だったからこそ、こんなに長続きしているんだろうとは思う。
団員一同、および大勢の強力なる助っ人の方々と共に、皆様のご来場をお待ちしております。

東京リサーチ合奏団 第33回定期演奏会
2007年6月16日(土)18:30開演
かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホール
入場料:1500円
曲目:
ベネット/古いアメリカ舞踊による組曲
ウェーバー/クラリネット協奏曲第2番変ホ長調op.74
 Cl独奏.:赤坂達三
シャブリエ/狂詩曲「スペイン」
ファリャ/バレエ音楽「三角帽子」第1組曲・第2組曲

2007.06.15

読売日響の不可解

読売日響から手紙が届いていた。
7月に聴きに行く予定の演奏会の客演指揮者、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(読響名誉指揮者)が病気のためキャンセル、別の人に交代になったとのこと。
同じ文面が読響サイトにもupされているので、そのまま引用。

>(引用開始)
―指揮者交代のお知らせ―
 7月の読売日響公演に出演を予定していました当団の名誉指揮者ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス氏が病気療養のため来日できなくなりました。
 同氏に代わり、7月7日(土)《第91回東京芸術劇場マチネーシリーズ》はミハイル・アグレスト(Mikhail Agrest)氏が、また11日(水)《第141回東京芸術劇場名曲シリーズ》、12日(木)《第492回名曲シリーズ》、および17日(火)《第462 回定期演奏会》、19日(木)《名曲シリーズ・名古屋公演》はパオロ・カリニャーニ(Paolo Carignani)氏がそれぞれ指揮することが決まりましたので、ここに謹んでお知らせいたします。
 なお、曲目、ソリストについて変更はありません。
2007年6月6日
財団法人 読売日本交響楽団
>(引用終了)

ふーむ。それは残念。
フリューベック・デ・ブルゴスといえば、スペインではそれこそ人間国宝級の巨匠ではないか。
60年代にEMIに録音したファリャの「三角帽子」や「恋は魔術師」、ソリアーノのピアノで入れた「スペインの庭の夜」などの演奏には昔から親しんでいたし、今でもそれらの曲の録音の決定版のひとつだろうと思う。
私としてははじめて実演を聴くのを楽しみにしていたところだが。

…ところで、上の告知の文章だが、1行抜けてません?

「楽しみにされていたお客様におかれましては、事情をご拝察の上、なにとぞご了承下さいますようお願い申し上げます」とかなんとか、普通は一言あるだろうと思うんですが。
また、このように公演内容に重大な変更があった場合、チケットの払戻しがあるのか無いのか、ということは客としての関心事のひとつなのだから、それについても書いておいて然るべきだと思う。…まあ、何も書いてないということは、無いんでしょうけど(多分、払い戻すという発想そのものが無いんでしょうね(^^;)。

そもそも上に引用の文面、フリューベック・デ・ブルゴスの指揮を楽しみにチケットを買ったお客さんへの心配りが全然感じられない、というか、「指揮者が交代したのは私たちのせいじゃないもんねー」、みたいな他人事じみた感覚を感じてしまうのは、ワタシの見方がひねくれているんだろうか?
これが例えば、スペイン産の最高級食材を使っていることを売りにしているレストランで、調達にトラブルがあってそのへんのスーパーで売っているような材料を使わざるを得なくなったような場合を考えてみるといい。
上のようなおことわりの言葉で、客は納得するだろうか?

…読売日響というオーケストラ、技量的には東京のプロオーケストラの中でもトップクラスだし、曲目も出演者もなかなか面白いし意欲的だし、聴けば聴いたで悪くない演奏をするんだけど、私としてはどうもいまひとつ好きになれないというのはそういう、客を何だと思っているんだ、みたいな(主に運営側の)態度が往々にしてこういう場面で典型的に見えてしまうことによる。
別に、「読売」と名のつくものが嫌いだから、という単純な理由ではない(と思う(^^;)。
楽員さんには責任はないことなので、申し訳ないんだけれど。

そういえば読響って、主催のコンサート会場(定期演奏会とか)でチケットを販売していないんだよね。
自前のコンサートの会場のロビーにブースを出して、翌日以降の自分たちの公演チケットを売るというのは、他のオーケストラだったらどこでもやっている。
そういう機会にチケットを買うことは、私の場合多い。チケットはやはりプレイガイド(ぴあ等)で探すより主催者から入手するほうがよい席が取れるし(ぴあで売り切れていても主催者のところにはいっぱい残っている場合も多い)、座席表を見ながらそのオケの職員の方から直接買う、というのは確実だし安心感がある。
そもそも、理屈でなく、コンサートでよい演奏を聴いて、もっと聴いてみたいと思ってそういう行動に出るというのは、自然なことではないか。

どうしてそういうことをしないのかな?いったい何の理由があってのことだろう?
全く判らない。

2007.06.13

江村哲二さんが亡くなった

作曲家の江村哲二さん死去、47歳

…あまりにショックだったので、予定を変更して急遽upする。

ほぼ同世代、面識は無かったけれど、ブログはいつも読ませていただいていたので、とても身近な人のような錯覚があった。
現代音楽のコンサート会場のロビーで、池辺晋一郎、一柳慧と3人で談笑されているところを遠巻きに見たこともある。
昨年の新春の、大野和士指揮新日本フィルによる「地平線のクオリア」(朝日新聞では「代表作」という扱いになっている)の初演は、とても印象的だった。ドビュッシーみたいな美しくたゆとう響き。
このうえないほどの聡明さを持ちながら、頭でっかちでなくむしろ強烈な「意志力」を感じる音楽は、その文章から受ける印象そのままだった。

最後の投稿となった5月31日付のブログの文章を、頭を垂れつつ読む。
…すごい文章だ。
もうこれ以上、この人の書いたものを読むことはできない。

無念だ。

2007.06.12

課題曲のDVD

しかし、まさかワタシがこの歳になって、吹奏楽コンクールの課題曲の参考音源と映像をスコアと睨めっこしながら聴く(観る)ことになろうとは、思わなかったな。

参考演奏は、秋山和慶指揮(!!)大阪市音楽団による。
全日吹連もまた大物を担ぎ出してきましたなあ。秋山さんといえば、斎藤メソードの最も正統なる継承者として、そのテクニシャンぶりは世界的に認められた指揮者ではないか。アメリカあたりでは故ユージン・オーマンディと並ぶ協奏曲伴奏指揮の名手として、評価が確立しているそうだ。(そういえば私が初めて秋山さんの指揮を見たのは、田中靖人さんが1位だった1987年の管打楽器コンクールの入賞者演奏会だった。日比谷公会堂でオケは東響。デュボワのコンチェルトを振っていたんだけれど、あまりにも見事な指揮ぶりに演奏そっちのけで見とれていた記憶がある(^^;)
そんな秋山さんが、いかにもコンクール課題曲という典型的なつまらないマーチばっかり5曲(今年のマーチは、また一段とどれも似通った雰囲気なことだ)も振るというのは、なんだか鶏を割くに牛刀を以てす、みたいなところもある。
ご本人も、なんだかテキトーに振ってます、って趣なんだけれど、たまにリタルダンドやリテヌートがあると、いきなり本領発揮って感じでなにげに物凄いことをやってくれている。微妙にリテヌートをかけながら、次の瞬間にはいつのまにか次のテンポの予備拍の位置に指揮棒が移動していたりとか、ほとんど手品の世界。絶対真似できない。
大阪市音はなかなかよい演奏を繰り広げている。木管・金管それぞれのサウンドが、パッと聴いてそれと分かる個性として確立されていることには、感心。

課題曲の楽譜は4曲セット15000円、参考演奏DVDは2500円だそうだ。
これを日本全国津々浦々の吹奏楽部のある中学校、高校、大学、あとコンクールに参加する一般バンドがみーんな買う訳でしょ。…全日吹連もボロい商売してるよなあ。
吹奏楽コンクールの課題曲がつまらないのは今に始まったことではなくて、心ある方の中には、課題曲なんて任意のスーザのマーチを選ばせればいい、とか、團伊玖磨の「祝典行進曲」1曲でいいじゃないか、とか、正論を仰る方もいらっしゃるんですが、吹連としてはこんなボロい商売、今更止められないんでしょうなあ。いやはや。

2007.06.11

最終練習

一夜明けて日曜日、リサーチ定期演奏会前の、実質的な最終練習。
本番はこんどの土曜。早いものだ。
出かけようと思ったら、豪雨、雷鳴。家の目の前の坂道が川のようになっていたので、しばし小降りになるのを待って出発したら、合奏が1曲終わってしまっていた。はやっ。

細部に対する執拗なチェックと、にもかかわらず悟りにも似た不思議な平静さが同居する練習内容は、いかにも「大人のバンド」の最終練習という感じだ。
若い楽団だとこうはいかないだろうな。

最後のコマは、ソリスト赤坂達三氏との合わせ。
赤坂さんとのウェーバーの2番は、9年前にもやはりリサーチでお手合わせしている。その時は本当に、あっけらかんとした音色で、あっけらかんと演奏していたものだった。3楽章のコーダなんか、いくら煽っても平気、という勢いで、聴いていて唖然とするような超絶技巧を開陳されていた。
今回は当時とはちょっと違って、テンポも遅く落ち着いていて、音色も深みを増したような気がする。我々がつい「走る」と、「9年前のようにはいきませんから、」と笑っておられたし。
当時は狭いスタジオマルタでの合奏で、今日は小学校の体育館、というアコースティックの違いはあるかもしれないが。
本番が楽しみ。

バリトンサックスは楽譜上にほとんど休みがないので、写真を撮っている暇がなかったのが残念。

2007.06.10

高校生たちと

久々に(今年からトレーナーとしてお邪魔している)都立K高へ。
体育祭とか、中間試験とかいろいろあって、かなり間が空いてしまった。
そうこうしているうちに、新入生も入り、コンクールの課題曲と自由曲も決定。次なる熱い季節へと向けて、着々と準備が整いつつある。

午前、パート練習指導。
2年生3人(A2、T)に加えて、初対面の1年生2人(A、B)。悪くないバランスで勢力が確定したようだ。
午後は合奏。生徒の振る基礎合奏と課題曲を、顧問の先生と一緒に脇で聞かせてもらいながら、要請に応じてコメントを出す、というスタイル。

この学校の生徒は、ある意味自発性のかたまりだ。放っておいても自分たちでどんどん何でもやってしまうところが、楽でもあり、また(立場的に)気を遣うところでもある。どのタイミングで何を言ってどの方向に導くか、微妙なさじ加減が必要。こちらのペースで仕切って進めていける午前のパート指導の方が、(体力的にはともかく)気分的には楽だ。
それでも、何考えてんだか分かんないようなきょうび普通の中高生に比べたら、はるかに面白いことは確か。みな頭がいいからか(偏差値的には結構高いレベルの高校)、こっちが何か言うとちゃんとそれなりに理解して演奏が変わって行くし。チューニング-基礎合奏-曲練と、入れ替わりで指揮台に立っていろいろなことを言うコンミスや生徒指揮者たち(みんな女の子)も、勿論私の立場からすればもどかしい部分はあっても、少なくとも間違ったことは言っていないのは、率直にすごいと思う。

もうしばらく、コンクール本番に向けて実際に演奏を作っていかなければならない時期が来るまで、生徒たちの自主性に任せておこうと考えている。

午前、パート指導の前に、思うところあって自分で作った「サクソフォンの奏法と演奏の要点」と題するプリント(という言い方がいかにも学校的)を、生徒たちに配った。
【アンブシュアについて】【呼吸について】【タンギングについて】【ロングトーンについて】【音階(スケール)練習について】【音色について】…などという項目を、自分なりにまとめて覚書として作ってみたもの。
少なくとも、人を教えようという以上は、そういった事項は自分の中で自分の言葉として確実に理解出来ている必要があると思っていたので、やってみた。(これを作ったことは)とても良い経験だったと思う。
読み返してみると、自分がいかにいろいろな先生(サクソフォン奏者に限らない)や先輩、尊敬する友人知人、様々な形で教えを受けた複数のプロ演奏家の方々から影響を受けているかが、はっきりと判る。
…それら、すべての皆様に、感謝。

プリントに書いた最後のパラグラフを、以下に転載してみます。
演奏と奏法の要点、という趣旨からすると、若干外れる感じも無くはないが、私が若い人に何か言う以上は絶対に書きたい内容だと思っていたし、幸い顧問の先生にも賛同をいただくことができた。
高校生たちには、すぐに理解されることはないかもしれないけれど、たとえ何年、何十年か後だとしても判ってもらえたとしたら嬉しい。


【最後に(重要!)】
・音楽というものの本質は、「メッセージ」である。
・自分の(自分たちの)演奏を聴いてくれる人に、言葉によらないメッセージを届けることが、音楽を演奏することの最終的な目的である。
・「美しい音色」「正しい音程」「正確なリズム」「鮮やかなテクニック」…などは、すべてそのメッセージをよりよい状態で届けるために必要な条件、あるいは方法であって、決してそれ自体が「目的」ではない。
・音楽に向かう時には、いつもその音楽はどのようなメッセージを携えているのかということを、分かっておくこと。
・そして、あなたが伝えたいと思っているメッセージは、「あなた」しか伝えることはできない。
・その一点で、「あなた」の代わりになる人間は、いない。
・演奏において私たちに、そして、あなたに求められているものは、役割ではなく、「私たち」「あなた」という人間そのもの、なのである。

2007.06.08

人気記事ランキング

今日は軽ネタ。

最近ココログで、アクセス解析結果をブログ上に表示できるようになったようで、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、私のところでも「人気記事ランキング」をサイドバーに置いてみました。
閲覧の前日より過去1ヶ月間で、1記事毎個別のアクセス数の多い順に挙がっています。

…こうして見るとここの読者層というのは、おおよそサクソフォン派とオーケストラ派に二分されるらしい、ということがなんとなく分かる。
一昨年のエントリである「サックス消音器」が思いの外健闘している。ちょうどe-Saxのテナー用が発売されたところで、検索されている方が多いのか。

2007.06.06

ミベモル最新盤

久々に渋谷タワレコへ。
ほとんどがサクソフォンのCDばっかり、1万5千円近く買い込んでしまった。
一気に聴ける訳ではないので、聴いて気が向いたら少しずつ覚書を書いておこうと思う。

まずは、ミ・ベモル・サクソフォンアンサンブルの、昨年11月の定期公演のライブCD。
ミベモルのCDは、佼成出版社から1枚出ている他、ミベモルの楽譜のレンタルも取り扱っている滋賀のウィンドミュージックというお店から、既に8タイトルがCD-Rでリリースされている。
今回のものはウィンドミュージック版久々の新譜で、ちゃんとプレスCD。
メジャーな販路にも乗せて、全国展開を図ろうということか。

Mi-bemol

ミ・ベモルサクソフォンアンサンブル「シェヘラザード」

G.ホルスト/第1組曲
B.ブリテン/シンプル・シンフォニー
リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」

ミベモルの演奏は、私たちのような指揮者なしサクソフォンアンサンブルにとって、ひとつの驚異である。
まさに「驚異」だ。「目標」、になんか、とてもじゃないがなりはしない。
純粋に演奏のメカニックな精度だけをとっても、普通に考えられる水準の練習や訓練では(たとえプロフェッショナルなレベルのそれであっても)、そうそう到達できるものではない。
彼らのすごいところは、単にメカニック的に優れているだけでなく、その上で音楽が隅々まで自分たちのものになっているところだ。原曲の音楽そのものの持つ真正さと尊厳が、そのままメンバーひとりひとりの血肉になっている。
むしろ、単純に聴く側としては、これだったらわざわざサクソフォン版ではなく最初から原曲を聴けばいいじゃないか、とすら思えてしまうほどだ。サクソフォンによる演奏に不満を持つのではなく、「サクソフォンであること」そのものに物足りなさを覚えてしまう、というか。これって「編曲もの」の持つ根源的なジレンマですな。
少なくとも、そこまで感じさせてしまうほどの水準の合奏音楽というものは、世の中の音楽全てを見回してもそれほど例はない、ということだ。

10年ほど前、私が湯沢でのセルマーのサクソフォンキャンプに参加していた最後の頃、ミベモルがゲストアンサンブルとして大挙して参加したことがあった(リーダーの前田先生は以前から単身で講師として参加されていた)。昼間は一番大きな部屋でずっと練習をしていて、夜のコンサートでは素晴らしい演奏を披露してくれたものだ。
たまたま、ミベモルが練習をしている最中の部屋に、ちょっとだけ物を取りに入ったことがあった。
ちょうどチューニングをしていたところで、まるでそれ自体が音楽のような美しい、全員のAの音が鳴っていたのだが、一歩部屋に入ったら、そのあまりに緊張の張りつめた雰囲気にほとんど恐怖感すら感じて、目的の物を取ると一散に部屋の外に逃れ出たことを思い出す。
今回のCDのメンバー表を見ると、当時とはかなり入れ替わっている。10年も経てば仕方はないのだろうけれど、このようなアンサンブルで演奏し続けるというのは、相当に厳しいことなのだろうな、と想像する。

…まあ、とにかくひとつ聴いてみてくださいな。ご存じない方は特に。

2007.06.05

羽田健太郎さん死去

この土日も、プレイヤーモード全開で過ごす。
楽器を担いで(土曜ソプラノ、日曜バリトン)、電車を乗り継いでそれぞれの練習場所へ行き、合奏に参加し、練習の合間や終わった後には、毎週会っている方や久々に会う方やはじめて会う方と話もする。
こうやって過ごす時間が、この先の自分自身の一部になっていくといいと思う。…

書くネタは無い訳ではなく、むしろあり過ぎて困るほどだけれど、今日はもう遅いのでやめておこうと思ったが、やはりこれだけは書いておく。

ピアニストの羽田健太郎さん死去

58歳は若すぎる。(私事だが、私の母が亡くなったのも58だった。もう17年も前のことだけれど。)

ああいう存在の仕方をしている人だったから、色物かと思ったら全然そんなことはない。半端じゃなくピアノ上手かった。スクリャービンのピアノ協奏曲(東響の定期で聴いたんだったかな?)が忘れられない。
ご冥福をお祈りします。

2007.06.01

この秋のコンサート(外来オケ編)

この秋の、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団、パリ管弦楽団、フランス国立リヨン管弦楽団の来日公演のチケットを、無事確保。
東京が外来オケラッシュなのはいつものことだけど、今年は特にワタシの守備範囲に偏っているので(フランス系の団体はなぜか集中する傾向がある)、チケット代が怖かったのだが…

ギャルドは11月3日の東京国際フォーラム・ホールA。5000席のホールだが、席を考えさえすれば聴くに堪えないほど音が悪いわけでもないし、何よりチケットが安い(S席でも5000円)。2階の中央2列め。
11月6日のオペラシティのプログラムにも惹かれたけれど(ナカリャコフがソリストとして出演するし、曲目がよりマニアック。なんといってもブートリーの楽長就任以来封印されてきた「ディオニュソスの祭り」が46年ぶりにとり上げられるというのは、ひとつの事件)、この日は熟考の末、リヨン管(サントリーホール)へ。
リヨン管はネームバリューという点では、パリ管との競合で埋没しそうな感じはあるけれど、実は素晴らしいオーケストラだ。過去何度か聴いた印象からは、古き良き時代のフランスのオケのローカルな雰囲気と繊細さを今に残すという点で、ワタシ的にはパリ管よりもずっと好きなオケ。一般発売は6/2からだが、カジモト・イープラス会員の優先予約で既に2階ステージ脇の最低ランク席を押さえてしまった。なんと4000円(国内オケ並み)。この曲目でこの値段だったら、文句ないでしょ。サントリーの2階ステージ脇というのはまた意外と良い音がする、ということは知っているし。

パリ管はNHK音楽祭の公演で、11月5日NHKホール。サントリーホールでの公演はもう少し先の発売のようだ。
3階右翼席、5500円。3階のサイド前方というのは、見晴らしが良くて音も意外と良く、この紅白歌合戦ホールの中ではお気に入りのブロックで、チケット代も安いのがありがたい。昔からN響を指定席で聴く時には必ずこのブロックを選んでいたものだ。
曲目に「ボレロ」が入ってますね。今回はサックス吹きは誰が来るんだろうか。

という訳で、3つ合わせて14500円。
パリ管の前回(2005年)来日公演は、サントリーホールのB席(上から3番目のランク)でも一公演だけで16000円払った記憶があるので、今回はかなり安く上がったことになる。

NHK音楽祭のサイトで、音楽祭の他の公演とセットで申し込むと5%オフ、というスーパーの割引みたいなことをやっていたので、思わず11月14日のシュターツカペレ・ドレスデンを一緒に申し込んでしまった。6000円。
この秋はゼンパーオパーが日本公演をするので、そのついでにオーケストラだけのコンサートを開催するということのようだ。
シュターツカペレ・ドレスデンは昔から好きなオーケストラだったけれど、いつもあまりにチケットが高くて一度も生で聴いたことがなかったので、今回はからずも初めて聴けるのが嬉しい。

その他、まだ発売は先だが、チェコフィルが11月27日にマーラーの3番をやるという噂なので、これも是非聴きたいところ。

あとは当日早く帰れるかどうかだ(切実)

« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »