N響のラヴェル
NHK交響楽団 東京文化会館公演
エネスコ/ルーマニア狂詩曲第2番
モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番K467(Pf:小菅優)
ラヴェル/スペイン狂詩曲
同 /亡き王女のためのパヴァーヌ
同 /道化師の朝の歌
同 /ボレロ
指揮:ローレンス・フォスター
と書いてはみたものの、実は間に合わず休憩後のラヴェルしか聴けなかった。
東京文化でN響を聴くのはたいへん珍しいので(工事休館中のサントリーホールでの定期公演の代替ということらしい)、じっくり聴いてみたかったが。
指揮者はアメリカ国籍ながらルーマニア出自とのことで、独特の粘着力のある音楽をする人だ。
ラヴェル4曲を、袖に引っ込まずに、続けて、あたかも一繋がりのシンフォニーのように聴かせてくれた。「亡き王女」は緩徐楽章で、「道化師の朝の歌」はスケルツォということか。そういえば4曲ともスペイン絡みの音楽である(パヴァーヌはスペイン起源の宮廷舞曲)。
演奏は、よくも悪くも「N響のラヴェル」で、上品だしカッチリとはしているけれど、あんまり「面白い」演奏とはいいがたい。管のソロも弦のテュッティも、高次の倍音があまり響いてこないので、音色的に地味な感じがする。ドイツのオーケストラが無理やりラヴェルを器用にこなしてます、みたいな雰囲気。ところどころで唖然とするような巧さを聞かせるけれど。例えば打楽器群。「スペイン狂詩曲」などほとんど打楽器コンチェルトのように聴いてしまった。ボレロのスネアドラムも、あんな超ピアニシモで正確に始まったというのは聴いたことがないほどだ。「ボレロ」といえばトロンボーンも見事!でした。
「亡き王女」のホルンは、ヴィブラートばりばりで印象的に始まったが、おおっ、と思ってよく見たら新日本フィルの吉永さん(エキストラ)ではありませんか。すごいなあ。
サックスのエキストラは小山さん(ソプラノ)と國末さん(テナー)。4階左サイドで聴いていたんだけど、國末さんの音が轟然と浮かびあがってきていたのが印象的。先日のリサイタルでも思ったのだが、國末さんの音というのは上に向かって鳴る傾向があるのかな。もしかしたら1階席には小山さんの音のほうが届いていたのかも。
しかし、N響のサックスのエキストラというと冨岡センセの専売特許、みたいなイメージが長いことあったけれど、すっかり世代交代してしまったようですね…
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>新日本フィルの吉永さん(エキストラ)ではありませんか。
ほう、そうだったですか。なんか見たことあるなぁ、と思いました(目が悪いもんで。オペラグラスが要るかな?)。
しかし、TV放映の時もちゃんと映すんでしょうねぇ。ソロですからねぇ。だけど新日本フィルの人だから、ビミョー。まさかCGで顔だけ松崎さんと入れ替えることは... するワケないよね。
>「ボレロ」といえばトロンボーンも見事!
話がずれるんですが、Thunderさんに薦められて聴いた、日本フィルの“ボレラー”・箱山師匠のソロはホントーにウマかったです(昨年10月、サントリーホール)。
投稿: よねやま | 2007.05.18 01:16
吉永さんは、高校生のときに日本管打楽器コンクールの1位を受賞しています。日本のデイヴィッド・パイアットと言っては誉めすぎでしょうか。
投稿: Thunder | 2007.05.20 23:56