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2007.05.08

雲カル2007

Tirasi070507雲井雅人サックス四重奏団 第6回定期演奏会(東京文化会館・小ホール)

C.フローリオ/四重奏曲(演奏会用アレグロ)
A.グラズノフ/サクソフォン四重奏曲op.109
J.S.バッハ(北方寛丈編)/パルティータ第3番
D.マスランカ/レシテーション・ブック(委嘱作品・日本初演)

雲カルの音楽の印象を言葉で表現しようとするのは、困難が伴う。
彼らの仕掛けてくる音楽的メッセージが、今までも常にそうだったように、言葉のレベルを超えたものだからだ。
とは言っても、音楽をするということの究極の目的は、言葉ではあり得ないコミュニケーションを聴く人と共有することなのだから(プロの演奏家だろうと、我々のような趣味で楽器を吹いている素人だろうと、それは同じはず)、それはそれで楽しむべき困難なんだけれど。

雲カルアメリカツアーでの、向こうの多くの聴衆に衝撃を与えたという初演の模様を、公式サイト内の記述で垣間見ていて、いったいどんな曲なのだろうと楽しみにしていた、マスランカの新作「レシテーション・ブック(読誦集)」。
まさに、ひとつの「驚異」だった。
ああいうふうに始まった曲が、ああいう音楽的思考を辿って、ああいうふうに終わるとは、予測だにできなかった。
独り言を言いながらそのへんを歩き回っていた人が、どんどん速度を上げて、最終的に第二宇宙速度に達して引力圏を飛び出してしまいました、みたいな。
唖然。

日頃はそんなこと考えもしないけれど、もしかしたら、神様というのはいるのかもしれない、と思った。
会田綱雄の「訓戒」という詩の中に、神さまを食べるきつね、というのが出てくるけれど、この曲のありようについて考えるときに、それを思い出す。
ここでの「神さま」とは、求められながらもあり得ないもの(例えば、演奏を聴く人と完全なコミュニケーションを共有すること)、の表象。
それを食べるきつね、というのは即ち、不可能や絶望を糧として人の前に立ち現れる存在、到達することのできない「彼岸」とのメッセンジャー。…

そもそも音楽家とは皆、根源的に、「神さまを食べるきつね」であるはずなんだ。

今日も出遅れ(間に合うように仕事終わらそうと頑張っていたのだが、どうやっても間に合わないと判ったところで急にダレてしまい、大遅刻)、グラズノフの2楽章の変奏の合間に会場のドアをすり抜ける。
見ため9割という感じの、大入り。
グラズノフは、骨太のがっしりとした建築を造ろうとしていた演奏だと思った。細かいところではいろいろあったようだけれど、最終的な音楽の大きさの前には吹き飛んだ。
バッハのパルティータは、たいへん楽しい編曲。ヴァイオリン1丁の原曲が、見事にそれらしい、バロックスタイルの「サクソフォン四重奏曲」に変身していた。
これはいつ出版されるのだ、という質問を(アメリカで演奏した際に)たくさん受けたそうだが、私も訊きたいものだ。

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コンサート(2007年)」カテゴリの記事

コメント

昨日は終演後、雲井さんにあいさつされているTunderさんをお見かけしました。

グラズノフ、スコアがはっきり見えるような演奏・・・!と思いました。多少なりともTunderさんが感じていたことと通じていることがあるでしょうか・・・。

実は熱狂の日のコルボ指揮レクイエムはTunderさんのレポ見て、聴かなきゃ!!!と思って入ったのでした。昨日もですが、ほんとに聴けてよかったです。

雲カルの演奏会、よかったみたいですね!用事があり、聴きに行けなかったのが残念です。

それにしても、Thunderさんのレビューはイメージがよく伝わってきて読んでいて楽しいですね。これからも演奏会報告、楽しみにしています。

本当は、こんな文章には何の意味もないのかもしれません。
ウェブ上で拝見する、この演奏会を聴かれたいろいろな方々の日記の、「感動したーっ」というたった一言のほうが、よほど価値があるような気がします。

それでも、「面白い」とか役に立った、と仰ってくださる方がいればこそ、性懲りもなく書き続けることになるのでしょうけれど。

レスになっているかどうか判りませんが、とりあえず。

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