2024年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フォト
無料ブログはココログ

« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »

2007年2月

2007.02.27

アフィニス・サウンドレポートNo.33、など

Cd136アフィニス文化財団から、CD「アフィニス・サウンド・レポートNo.33」が届く。
上記ホームページから、無料(希望者多数の場合は抽選)で頒布されているもの。前号(No.32)は当たらなかったが、今回は無事届いた。今号は希望者が少なかったのか、まだ在庫があるようだ。

ブラームス/弦楽五重奏曲第1番より 第1楽章
モーツァルト/セレナード第10番「グラン・パルティータ」より 第1、2、3、4、7楽章
リゲティ/6つのバガテル
シューベルト/交響曲第3番(指揮:下野竜也)

今号は、アフィニス文化財団が日本のオーケストラ支援の一環として長野県飯田市で毎年開催している「アフィニス夏の音楽祭」の、ライブ録音。
国内のプロオーケストラの若手団員を公募して、内外のベテラン演奏家や音大教授陣とともにレッスン、室内楽やオーケストラの演奏会をするというもので(音楽監督は京都芸大助教授にしてケルン放送響元コンミスの四方恭子)、無料で貰うのが勿体ないほど丁寧に作られたCDからは、ひと夏の輝かしい日々を音楽に集中して過ごした若きプロ演奏家たちの一期一会の記録が、聞こえてくる。

私も昔、セルマーやヤマハのサクソフォンキャンプで、夏の何日間かを、先生・生徒入り乱れて浮世のことを忘れて音楽漬けで過ごしたことを、思い出した。
あれからもう何年経つだろうか。懐かしい。

下野さんの指揮によるシューベルトが、実に清新な気分に満ちた、素敵な演奏だ。大きなメジャー・オーケストラによる録音では全然ないけれど、聴いていると、音楽にはいったい、これ以上の何が必要だというんだろう?という気分になってくる。
サックス吹き的には、ハバネラQ.のSaxバージョンで知られる、リゲティの木管五重奏のための「6つのバガテル」が、興味深し。

Cd137ちょっと前のことだが、行きつけのCD屋さんに、ジャック・ランスロ エラート録音集成が唐突に1セット入荷していたので、衝動的に買ってしまった。
収録内容はこちらを参照(Amazonのページですが、アフィリエイトではありません)。

ランスロって、今となってはもう「昔の人」、ということになっちゃうのかな?
私にとっては、サクソフォンのデファイエ、フルートのランパル、トランペットのアンドレなどと共に、もうデフォルトで「世界一の○○○奏者」、ってことになっちゃっているんだけど。
私が高校1年生のとき(1977年)、来日してNHKで録音された演奏をFMで聴いたときの衝撃は、忘れられない(当時は外国からいろいろな楽器のソリストが来日すると、よくNHKがリサイタル・プログラムをスタジオ収録して放送してくれたものだった。今では考えられない)。
脳味噌をビロードの布で撫でられているような、あんなクラリネットの音は、聴いたことがなかった。

この7枚組のCD、発売当時から気にはなっていたのだが、収録されている音源の中には単品で持っているCDも多かったので(モーツァルトの協奏曲は30年来の愛聴盤。あとブラームスの五重奏とか、モーツァルトの木管三重奏のディヴェルティメントとか、ロッシーニの木管四重奏とか)、買うのをためらっていたのだ。
しかしこの手のCD、いざ欲しくなった時にはもはや入手不可能、ということも多いからなあ。
やっぱり買ってしまいました。

2007.02.26

練習場で演奏会

アンサンブル練習日。
とりあえず書き上がった「真夏の夜の夢」のノットゥルノを、音出し。
昨夜1時にはスコアが完成していたのだが、Sibelius2の挙動不審によりなかなかパート譜が出来上がらず、実際の完成は朝5時半。うぅ眠い。
冒頭のファゴット2本+ホルン独奏のアンサンブルを、せっかくテナー三重奏に書いたのに、今日は3人揃わなかったので実際の出来はまだ判らないが、今日鳴らした限りではそれほどヘンな音はしていないので、安心した。
まあ、そもそもが名曲なので、元々のスコアが良く書けているのだから、そのまま写せば自然に良い響きが出るというものだ。

夏に大きな本番がひとつ入った。
私たちにとって、もしかしたら楽団結成以来最大の晴れ舞台となるかも。
詳細はまだ明らかにできないけれど、楽しみだ。


練習室のあるみなとみらいホールの同じ建物内の小ホールで、サクソフォンアンサンブルSaxofono Rossoが演奏会をやっていたので、練習を早めに切り上げて(皆で楽器持ってぞろぞろと)客席にお邪魔する。

G.ピエルネ/民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
高橋伸哉/パッション:サクソフォーン三重奏
B.ウィーラン/リバーダンスより
C.ドビュッシー/ラプソディ
F.プーランク/三重奏曲
E.エルガー/序奏とアレグロ(八重奏)
チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割人形」(ラージアンサンブル、客演指揮:西尾貴浩)
同 /スラブ行進曲(同)

遠藤朱実さんの門下のアンサンブルチーム。
ウチのアンサンブルの卒業生が在籍していたり、逆にこちらの元団員がウチの現団員だったり、それ以外でもなにげに各方面での知り合いが乗っていたり、まあ、狭い世界ではある。
第1回の演奏会には、私のソプラニーノが出演したこともあります(^_^)
プーランクから聴けた。いい曲だ。エルガーも然り(もうちょっと易しければもっと演奏されるだろうと思うんだけれど)。それにしてもこのホール、8人くらいまでの編成だと本当に美しい響きがする。
30人近い人数が乗った最後のステージでは、いろいろな意味で限界も感じたが。
西尾さんの指揮ぶりは、相変わらず絶妙な濃さで、良かった。

お互い頑張りましょう。

2007.02.23

編曲ということ

17日の練習のあとも、深夜は相変わらず編曲作業続行中。
「真夏の夜の夢」の序曲に続き、「夜想曲」が既に8割方出来ているので、次の日曜の練習に間に合いそうだ。
月曜日から書き始めたのだから、自分で言うのも何だが驚異的なペースだと思う。

PCに向かってサクソフォンアンサンブルの音符を並べていると、幾らでも時間を費やすことができる(ちなみに、Sibelius2を使っている)。
晩ごはんを食べ終わってから作業を始め、全く休憩なしで気が付くと3時だ3時半だとなっていて、さすがに明日の仕事のことを考えると打ち切って寝ざるを得ないけれど、疲れている訳では全然ないので、その気があればまだまだ続けることだって出来る(こないだはそうやって朝の8時になってしまった訳だ)。仕事だったら絶対こうはいかないな。「寝食を忘れる」、とはこのことだ。

編曲という作業は、演奏という行為に似ている。人前でする演奏ではなくて、仕込み作業のほうに近いが。
私は管楽器吹きなので、大編成の合奏の中の一つの声部しか演奏できないけれど、楽譜を書いているとその制約を離れて、あたかもピアニストのようにすべての音符を自分の統率の下に演奏しているような気分になれる。
むかし東京でサクソフォンカルテットのチームを組んで活動していた頃、練習時によくピアノの小品を四重奏に書いて持参し、余り時間に初見で音出ししてみたりしたことがあった。三善晃の小品などが結構評判良かったようなおぼろな記憶が。
ただ自分としては、楽譜を書いた時点で満足してしまうので、実際の音にしたいという欲求はそんなに無かったように思う。

ラヴェルが自分のピアノ曲をたくさんオーケストラに編曲したというのも、絶対同じような動機だろうと思っている。
自分が作曲した作品といえども、書き上がれば自分の手を離れてしまう訳で、そういった作品を再び自分の下に呼び戻すために、「オーケストラ」という自分の最も得意とする楽器を使って、それらを再び自ら演奏(=編曲)しようとしたのではないか。
あ、勿論、ワタシ自身をラヴェルと比較しようなんて思っちゃおりませんが(^^;

それにしても「真夏の夜の夢」の夜想曲、なんといういい曲だろうか。
楽譜を読んで音を思い浮かべながら、あまりの美しさに泣けてきてしまうこともある。
魔法のように魅力的な旋律。音程の跳躍なんかほとんどない、順次進行だけで出来てるようなシンプルなメロディなんだけど。

ハンパな演奏は出来ませんぜ。

2007.02.21

都民芸術フェスティバル(その2)

Tirasi070220都民芸術フェスティバル オーケストラ・シリーズ/新日本フィルハーモニー交響楽団(東京芸術劇場)

シベリウス/交響詩「フィンランディア」
同 /ヴァイオリン協奏曲(Vn:佐藤俊介)
同 /交響曲第2番
 指揮:小泉和裕

1月20日(日本フィル)に引き続いて、都民芸術フェスティバル公演へ。
今日は、最近少々ご無沙汰(今年になって初めて)の新日本フィルによる、シベリウス特集(「フィンランディア」は残念ながら間に合わず)。

思ったけれど、小泉さんの指揮はやはり都響でこそ本領が発揮されるようだ。
いつもながらオーケストラをたいへんに巧くまとめていたけれど、これが都響だったらおそらく、音楽そのものの形がもっと鮮やかに立ち上がってくるだろうと感じた。
また、小泉さんの大振りにオケが幻惑されたのか、なんとなくいつもの新日本フィルらしくない(良くも悪くも)音が出ていたような。今の都響だったら、そういう不自然さは絶対ないんだけど。

とはいえ、うるさいことを言わなければ充分楽しめる公演ではあった。チケットも安いし。今日もほぼ満席。
シベリウスの2番は最近別のオケでも聴いたけれど、木管とホルン、ティンパニの音色は、今日のほうが断然好み。
ソリストも、若々しく技巧も確かで、なかなかよございました。

2007.02.18

saxophone day

Tirasi070218管打楽器シリーズ~Saxophone Day(東京藝術大学奏楽堂)

例年この時期に芸大サクソフォン科の演奏会があるのだけれど、今年は学校主催の公演として、芸大学内の奏楽堂を会場に、学生・教官総出演の豪華かつたいへん大規模なコンサートとなった。
これは、私Thunderとしては行かない訳にはいかんでしょう。

芸大の奏楽堂には、開館間もない頃に一度入ったきりで、どんなだったかすっかり忘れていた。キャパ1140、開館してもう9年くらい経っているはずだが、いまだ真新しい印象の本格コンサートホールだ。
それでも天井の照明が蛍光灯というところがなんとなく「学校の施設」というイメージを残している(^^;。
舞台正面のオルガンは芸劇のバロック面にそっくり(同じビルダーらしい。某教授の趣味なのかな)。

開演3時、終演は6時半近く。
1曲1曲についてコメントしている余裕がないので総体的な感想だけれど、長いコンサートながら、19世紀のショーピース・ミュージックから野平一郎のような最前衛に至るまで、その長い時間を無駄にしないだけの内容を聴くことができた。…と簡単に書いたけれど、それって大変なことですよ。改めて、芸大というのは空恐ろしい学校だと思った。ひとつの学校の先生と生徒だけで、これだけのことが出来ちゃうんだから。
冨岡・須川・平野という3世代の先生が、それぞれの持ち味をきちんと(生徒の演奏にも)反映させていることにも、言ってみれば当り前のことなんだけど、驚嘆。

当り前のことが当り前に出来る、というのは、「プロ」であることの第一条件だ。
「芸大」というのはプロを養成する学校である、という、前世紀から変わらない矜持を聴いたような気がした。

曲目・出演者は以下(少し変更があったようだが、とりあえずプログラム冊子の通り)。

F.ボルヌ/カルメンファンタジー
 石橋梓(A.Sax)、羽石道代(Pf)
石毛里佳/Trio(初演)
 田村哲(B.Sax)、下地亜依(Pf)、中山航介(Perc)
F.シュミット/伝説 Op.66
 作田聖美(A.Sax)、原田恭子(Pf)
J.M.ダマーズ/トリオ
 鳥井綾子(S.Sax)、杉田久子(B.Sax)、羽石道代(Pf)
E.ボザ/アンダンテとスケルツォ
 寺田麗美(S.Sax)、佐藤琴美(A.Sax)、荒木絵美(T.Sax)、角口圭都(B.Sax)
E.ショーソン/ピアノ四重奏曲Op.30より第1楽章
 高橋陽香(S.Sax)、鈴木崇弘(T.Sax)、大石俊太郎(B.Sax)、羽石道代(Pf)
林田祐和/4本のソプラノ、3本のバリトン・サクソフォンのためのラプソディ「記憶の欠片」(初演)
 林田祐和、伊藤あさぎ、荒木絵美、依藤大樹(S.Sax)
 細川紘希、須永和宏、坂口大介(B.Sax)
平野公崇/2本のサクソフォンのための練習曲(初演)
 平野公崇(A.Sax)、須川展也(S. & A.Sax)
野平一郎/サクソフォン四重奏曲
 須川展也(S.Sax)、石橋梓(A.Sax)、細川紘希(T.Sax)、坂口大介(B.Sax)
C.ドビュッシー(伊藤康英編)/ラプソディ
 冨岡和男(A.Sax)、平野公崇(指揮)、サクソフォンオーケストラ
山内雅弘/ 3 Movements for Saxophone Orchestra(初演)
 須川展也(指揮)

徹夜明け

アンサンブル練習日。

ここのところずっと就寝が遅かったのは何をやってたのかというと、今日の練習のための編曲と譜面作成だった。
今年の演奏会のラージアンサンブルのメインプロになる予定の、メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」の、序曲。
PCを駆使して、11パートのアンサンブルのために書いた。オーケストラスコアからの編曲は初めてだったので、なかなか思うようなペースで進まず、それでもどうしても今日の練習に間に合わせたかったので、昨夜も佼成の演奏会から帰ってからずっと頑張っていたけれど、仕上がったのは朝の8時過ぎでした。
パート譜をプリントしてから昼まで仮眠をとり、午後からの練習へ。「昨夜寝たのは8時でした」、って、そもそも夜じゃないじゃん(^^;

自分の好きなこと(やりたいこと)を本気でやろうと思ったら、結局のところ睡眠時間を削るしかない、というのは、本業を持つ社会人の悲しさで。
それでも、初見で音出ししてみたら、ほぼ自分の思っていたとおりの音が出てきたので、嬉しい。
あと、同じく「真夏の夜の夢」から夜想曲と結婚行進曲、あとアンコールの楽譜を書けば、今年の編曲任務は終了。

練習終了後は、(先週9日に続いて)波多江さん関連の呑み会に顔を出す。
新宿コマ劇場前のお店。土曜夕方の歌舞伎町はすごい数の人・人・人でした。楽器持ってこんな場所をうろうろしていると、はるか昔、学生だった頃を思い出す(小田急沿線の大学だったので、新宿にはよく飲みに出た)。
なにげに若手プロサクソフォン奏者の終結した濃い顔ぶれだった。私のほうは疲れていたのでおとなしくしておりました。

2007.02.17

ダッパーサクセーバーズさん

香川(最初「高知」と書きましたが間違いでした。失礼しました)のアマチュアサクソフォンアンサンブル、ダッパーサクセーバーズさんのブログから、われらが「なめら~か」のサイトへのリンクとご紹介をいただきました。→こちら
こちらの本家サイトも早いところお返しのリンク工事をしなければならないんですが、ちょっと間に合わないので、とりあえずこちら(ブログ上)でご紹介させていただきます。
たいへん活発で積極的な活動内容が伺われます。ブログの記載内容もサックス吹き的にかなり興味深いものですので、是非ご覧を。

TKWOのフランス音楽

Tirasi070216東京佼成ウインドオーケストラ 第92回定期演奏会(紀尾井ホール)

E.ボザ/子供の序曲
F.シュミット/リートとスケルツォ(Hn:上原宏)
B.ゴダール(仲田守編)/3つの小品(Fl:前田綾子)
P.M.デュボワ(仲田守編)/ディヴェルティスマン(A.Sax:田中靖人)
R.アーン/バレエ音楽「エステ家のベアトリーチェの舞踏会」
G.オーリック/ディヴェルティメント
 指揮:下野竜也

東京佼成wo.の定期は普段、もっと大きな会場で開催されるけれど、年に一度、ここ紀尾井ホールでの時は、日頃あまり演奏されない管楽器のための室内楽的作品の特集で、たいへん興味深い。
今宵は、見てのとおりフランス系の作品でまとめられた、挑戦的な、あまり使いたくはない言葉だけど「マニアック」な、と言っていいプログラムで、ワタシ的にはたいへん注目度高し。しかも指揮は下野さんだし。
とくにレイナルド・アーンの「エステ家のベアトリーチェの舞踏会」が聴けたのが嬉しかった。管楽合奏による近代の擬古趣味風音楽、というのは(プーランクのフランス組曲をはじめとして)いくつか例を挙げることができるけれど、そういった類の佳作のひとつだと思う(演奏もいちばん良かったのでは)。
曲はどれも「小品」なので、コンサート全体を通じた統一感や印象がいまひとつ定まりにくいのは、まあ仕方がない。フロラン・シュミットの10管楽器のための「リートとスケルツォ」は傑作だと思うけれど、かといってメインプロにできるような曲ではないしね。
ボザの「子供の序曲」は、ミヨーが作曲した「ローマの松」、という趣。
サックス吹き的に注目の田中さんのデュボワ。楽器をヤマハに替えてからの田中さんの音は初めて聴くけれど、あの独特の繊細さが素直に表れるようになって、良いんじゃないでしょうか。仲田さんの編曲も溢れんばかりに色彩的で、原曲を超えたかと思ってしまった位だ。BRAVO!

全部が良かったかというと、うーむ、あとは…金管が少々雑なところが目立つのが、不満。どうしちゃったんだろう。フェネルが振っていた時代の、あのぴたりと方向性の揃った、魂を揺さぶるかのごとき響きを、もう一度聴きたい。惜しい。

saxまあ、なんだかんだ言っても、綺麗なホールに珍しくも楽しい曲目、と、よい演奏会だったと思う。

チラシに使われていたサックスのオブジェ(古い楽器の上から塗りをかけたようだ)が、ロビーに展示されていた。

2007.02.15

午後8時のリサイタル

Tirasi070215平野公崇 サクソフォンリサイタル(浜離宮朝日ホール)

C.Ph.E.バッハ/シンフォニア ニ長調
J.C.バッハ/4つの四重奏曲Op.19より第1番 ハ長調
C.Ph.E.バッハ/ラ・フォリア
J.S.バッハ/ゴルトベルク変奏曲より変奏26、19、7、30(クォドリベット)
 平野公崇(Sax)、松本和将(Pf)

平野さんのリサイタルをちゃんと聴くのはとても久しぶり。
今回は午後8時開演、休憩なしで少々短め(9時15分終演)、チケットも若干安め(2500円)、という珍しい催しで、調子づいて7時40分まで職場に居残って仕事してました。それでも間に合うから有難い。
客層はホールの固定客とおぼしき一般の方が多く、中高生などの若い方が殆どいなかったのが独特の雰囲気だった。

見てのとおり基本的に最新CD「シンフォニア」の流れの選曲だけれども、そこは平野さんそれだけで済む訳はなくて、最後の「ゴルトベルク」からアンコールへは、ピアニストも巻き添えにしての大即興演奏の応酬と化した。「ゴルトベルク」ではまだ、さすが平野さん、どこまで即興でどこから楽譜に戻ってるのか全然判らないなあ(明らかに判る場合も勿論あるけど)、などと感心している余裕もあったけれど、最後なんかもうすごかったんだから。「平均律のプレリュード2番、」とアナウンスしてから始めたのに、聞こえてくる音楽はピアソラかチック・コリアか、ってな勢いで、曲名などはもはや、演奏を最低限成り立たせるためのかろうじての約束事、という、ジャズのコード進行と同じ程度の意味しかなくなっていた。

平野さんって、勇気あるよなあ…。即興というものは、ここまで来ると技術や能力ではなく、その瞬間に思ったり感じたことを、どこまで「勇気を持って」実行できるかという、その一点にかかっているのだ、と痛感。
平野さんという演奏家の資質は、まさに、そこにある。
即興でなくても、演奏というのは、いや、人前で何かをするというのは、本来的にそういうもんなんだけど。

本プロがなんだかおまけみたいになっちゃったのは、コンサート自体の時間が短いので仕方ないところもある。
私が生まれて人前で初めて吹いたサクソフォン四重奏は(16歳のとき)、J.C.バッハのシンフォニアだったので、そういう意味でとても懐かしいというか、近しく聴ける曲目ではあったのだが。
こちらもここしばらくずっと3時とか4時就寝の日々が続いているので、「ラ・フォリア」なんか完落ちしちゃったし(^^;。
やー、気持ちよかった(^^;;

やっぱり、これだけ幅広い芸風を持った演奏家は、ひと晩フルに時間をとってじっくりと聴きたいですね。

2007.02.11

アイル本番終了

Tirasi070211サクソフォン・ラージアンサンブル・アイル第12回演奏会本番。

第2部の「アイーダ」セレクションで、客席左右に5人ずつ計10人のソプラノ・サクソフォンによるバンダ隊の一員として、出演させていただきました。サックスで譜面灯付きのバンダを吹くというのがそもそも大変珍しい上に、吹き方は徹底的に金管的なまっすぐな音を要求され、しかも楽器を水平に構えるとか演奏中も微動だにせず吹くとか、かなり勝手の違う本番で、ちょっと失敗もしたけれど、お客さんの受けはたいへん良かった様子。

それにしても、首謀者宮崎さんの、自分にとって面白いことを本気で探して思いついて実現してしまうプロデュース能力と行動力は、すごいと思う。そういう発想と行動様式が浸透しているからこそ、これだけの面白いメンバーが集まるんだし、今日のお客さんの大入り満員にも繫がっているんだろうと思う(呼んだ覚えのない知り合い達も、噂を聞きつけたか他の出演者絡みとかで何人も来場されており、「Thunderさん何やってるんですかー」とか言われました(^^;)。
何かを本気になってやっている人間には、おのずと人はついて行くんですね。

アイルさんの演奏というのは、決して技術的にエクセレントに仕上がっている訳ではないけれど、音楽的な辻褄がとても良く合っている。そして、各人の個性を殺していない。結果、聞こえてくる「音楽」を率直に楽しむことができる。
自分自身の活動の上でも、様々な意味でとても参考になるというものだ。

あと、マルチェルロ。各川さんのソプラニーノ、似合いすぎ。
このじゃじゃ馬楽器を(ソプラニーノという楽器の難しさは、私も骨身にしみて知っております)、ちゃんとコントロールして吹ける人というのは他にもいるけれど、各川さんのようにここまで身体の一部のように素直に吹く奏者というのは、見たことがない。軽くファンになりました(^^)。

それにしても、普通の演奏会でソプラノサクソフォンが十数本揃うというのは本当に珍しい事態。色も赤・白・黄色・ピンクと様々。アルト以下も含めれば、黒い楽器(キャノンボール)やオールド楽器まで。
記念撮影がそのうち公式サイトにupされることを期待しましょう。
神様「あなたが池に落としたサックスは、金のサックスですか、銀のサックスですか、それともこのボロボロのサックスですか?」
サクソフォン奏者「あーっ、その、マーク6っ!」

出番はちょっとしか無かったけれど、たくさんの贈り物も頂いてしまいました。
ありがとうございます。

曲目:
山の音楽家(ドイツ民謡/宮崎真一編)
いるか(P.ヴェロンヌ)
序奏とスケルツォ(R.クレリス)
フォー・ブラザーズ(J.ジェフリー/市原宏祐編)
オーボエ協奏曲(A.マルチェッロ、Spni.Sax:各川芽)
 以下 指揮:宮崎真一
トッカータとフーガ(J.S.バッハ)
歌劇「アイーダ」より(G.ヴェルディ)
デューク・エリントンに捧ぐ
A列車で行こう(B.ストレイホーン)


笑い止まぬ打ち上げから、先程帰宅。
日本サクソフォン協会主催アンサンブル・コンクール、予選通過・本選出場決定、の吉報が入っておりました。(^o^)
これで3年連続の本選出場。期日は3月25日(日)。
ひとつの本番を終えて、明日から再び「次」へ向けて出発だ。

リハ進行中

リハ進行中
本日「アイル」演奏会本番です。14時開演、新宿文化センター小ホール。入場無料ですので、お暇のあるかたは是非お越しください。
ビッグバンドナンバーのゲネプロ中。「サックス、」「トランペット、」「ストリングス、」などと指示を出しているのが、なんかおかしいです。サックスしかいないんですけど。

2007.02.10

フランスの風

Tirasi0702099日のこと。

レ・ヴァン・フランセ(大田区民ホール・アプリコ)

J.ケージ/管楽器のための音楽
F.J.ハイドン/ロンドン・トリオ第2番、第3番
T.エスケシュ/MECANIC SONG(日本初演)
ベートーヴェン/ピアノと管楽器のための五重奏曲
プーランク/六重奏曲

Les vents français(フランスの風)。現代の世界管楽器界の最高の顔ぶれを、自宅すぐ近所の区営ホールで聴けるというのは、なんと贅沢なこと。
素晴らしい音楽だった。彼らの巧さ、プレーンでストレスのない振舞い、作ったり習ったりしたものという感じがなく自然に湧いて出てくる音楽的感興というのは、日本人の管楽器奏者がいくら巧くなったと言っても、越えることのできない彼我の差だという気がする。

彼らの音楽は基本的にフランス・ローカルではなく、インターナショナルなものを指向していると思うけれど(ハイドン、ベートーヴェンにジョン・ケージという曲目からして、そうだ)、これが最後プーランクとなると、待ってましたとばかりに正調フランス方向へ演奏がギア・チェンジされるのは、さすがだ。それまで比較的ファゴット的な音を出していたジルベール・オダンのバソンも、この曲になると俄然「そう、これだよこれ!」という音色が表れてくる。これはもう「血」のなせる業ですな。
このプーランクの六重奏という曲の、さまざまな相反する要素が同居する複雑なキャラクターを、手品のように解きほぐしていく。2楽章の最後、このような楽しさとやすらぎと、そして「儚さ」を同時に痛切に感じさせてくれたというのは、類例がない。
アンコールになんと、ルーセルのディヴェルティスマン。フランス産のピアノ+木五という編成のマスターピースのひとつであり、本プロ、またメインプロでも全く違和感ない傑作だ。これが聴けたのは良かったなあ。

070209

終演後はロビーでCD即売会&サイン会なんぞを開催していた。スゲェ人数。

そのまま東中野へ出て、お誘いを受けていた、波多江さんをゲストに迎えた呑み会に途中合流。
これがまた楽しすぎ。明日早いので顔だけ出して帰ろうかと思っていたのだが、昨夜寝る前にちょろっと書いたとおり、結局2時間も居座って終電帰りとなりました(^^;。いやはや。

これはすごい!

レ・ヴァン・フランセを蒲田で聴いたあと、東中野での呑み会に直行。
盛り上がって、終電帰り。
風呂入って上がってきたら、もうこんな時間。明日早いのに。

今日のことは後日改めて書くとして、全然関係ないけれどとりあえず以下の映像でもご覧ください。
よそのブログでupされていたものなんですが、あまりにも凄すぎるので、こちらでもご紹介。
音楽の、というか、「パフォーマンス」というものの本質だと思う。

http://www.youtube.com/watch?v=gsBC5C5ERho

2007.02.07

「幕間」

Dr.円海山さんのブログで知ったのだが、YouTubeにルネ・クレール監督の映画『幕間 Entr'acte』(1924)がそっくりそのままupされている。→こちら
エリック・サティ作曲のバレエ『本日休演』の幕間で上映される映画として、やはりサティの付けた音楽が有名なこの映画、実際の音楽と一緒に観ることのできる機会は極めて稀なので、見ておいて損はないと思う(著作権は大丈夫なのか?)。
時間にして20分ほどの、特に具体的な筋書きのないシュールでアヴァンギャルドな映像の連続だけれど、冒頭サティとフランシス・ピカビア(美術担当)が登場して大砲を撃つ場面をはじめ、当時ルネ・クレール監督の周囲にいたダダイストやシュールレアリスト達が生出演している(マルセル・デュシャンとマン=レイがチェスをする場面は有名)映画として、現代芸術史の上でたいへん注目されている作品である。
昨夜2時過ぎ、自分のブログのコメント付けやら何やらひととおり終わってそろそろ寝ようかな、ってところで見つけて、そのまま最後まで見入ってしまいました。うう、眠くてたまらん。

高校生のときに読んだ秋山邦晴のサティ本でその存在を知って、観てみたいものだと思っていたが、実際に観ることができたのは20年近く経ってからだった。ピアニストの柴野さつきさんがこの映画のフィルムに合わせて実際のサティの音楽をピアノで弾く、というコンサートを開催していて、そこで観た(聴いた)のだ。たいへん面白かった。その時からも既に10年以上が経つ。

Cd135なお、サティの音楽だけだったら、CDは比較的容易に入手可能。
ウチにあるのはErato(ワーナー)の、2枚組廉価盤。マリウス・コンスタン指揮ほか。

収録作品:
映画「幕間」のための音楽、猿の王様を目覚めさせるためのファンファーレ、家具の音楽、ヴェクサシオン(E.サティ)
「聖セバスチャンの殉教」交響的断章(C.ドビュッシー)
三声のミサ(A.カプレ)

ちなみに、これに収録されているヴェクサシオンは、840回の繰り返しが指定された史上最長の音楽作品として、いつぞやのTVのへぇ番組でも紹介されたことがあった(このCDでは10~11回ほど繰り返している)。

2007.02.06

コンチェルト5曲

Tirasi070206明日を担う音楽家による特別演奏会2007-文化庁芸術家在外研修の成果(東京オペラシティ・コンサートホール)

メンデルスゾーン/6つのオルガンソナタより 第2番Op.65-2(Org:長谷川美保)
サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ(Vn:高橋和貴)
トマジ/サクソフォン協奏曲(Sax:有村純親)
ラヴェル/ツィガーヌ(Vn:瀬﨑明日香)
イベール/フルート協奏曲(Fl:甲斐雅之)
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第2番(Pf:高田匡隆)
 円光寺雅彦指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

当日券で聴いてきた。文化庁の肝入りによる、留学帰りの若手演奏家たちの饗宴。最初の方はオルガンの独奏で(オペラシティのオルガンはなかなかそれらしい雰囲気で良かった)、あとの5名はオーケストラとのコンチェルト。たいへん聴き応えのあるコンサートだった。
とくに後半(休憩後)の3人はそれぞれに素晴らしく完成された音楽家で、サックスの印象をかき消してしまうものがあった(^^;。最後のピアノの方は、このドッカンな曲を、透明で艶やかな音色を最後の最後まで保ったまま弾きのけていたし、フルートの方はさすがN響の現役団員、ステージマナーも含めて余裕をかましている。バックのオケを思いやったかのごとき絶妙なテンポ運びも、もはやベテランの風格だし。
先日須川さんのイベールの時にも思ったけれど、サクソフォンという楽器はレパートリー上のハンデをなんとかするのが急務だと思った。有村さんの演奏が悪かった訳では決してないのだけど、次の「ツィガーヌ」がそうだったように、その楽器そのものの持つ魅力や特質を100%発揮できる名曲を持ってこないと、こういう無差別勝負の場では勝てないことを痛感。

サクソフォンのそういう曲って、例えば? イベール、ドビュッシーのラプソディ(これ、地味だけどたいへんな名曲だと思う)、吉松の「サイバーバード」、あと何があるだろう?
良いコンサートだったけれど、サックス吹きとしては少々複雑な心境。

バックのオケは、指揮者のせいかオケのせいか、なんか知らん(どの曲も)反応が悪く、「もっと先へ振れよ!」と心の中で指揮者をドヤシつけながら聴いてました(^^;。
須川さんのコンチェルト演奏会(昨年9月)の時と同じオーケストラとは思えなかった。

2007.02.05

京都で「アルルの女」原典版が!

ドルチェ楽器から届いた宣伝誌をなにげなく眺めていたら、2/14の京都フィルハーモニー室内合奏団演奏会のプログラムに、ビゼー/「アルルの女」原典版(劇音楽版)の文字が。
クラシックニュースにもとり上げられていた(こちら)。

うわー、聴きてえ!
だけどこの週、ただでさえ祝日で勤務日が1日少ないから、これ以上休むのは厳しそうだしなあ。

「アルルの女」劇音楽版については、こちらの過去エントリ(プラッソン=トゥールーズ管のCDのレビュー)も参考までにご覧くださいませ。

2007.02.04

ダブルヘッダー

バリトンサックスの他にもう1本楽器を持って、都内の練習会場を2つ回る(もちろん徒歩+電車)というのは、この歳になってすることじゃないなあ。
膝がガクガクしてます。

本家サイトのトップには以前から告知を載せているけれど、アイルさんの演奏会(2月11日)にお手伝いで出演させていただくことになって、夜、神田の練習会場に初合わせに行ってきた。
吹くのは「アイーダ」のバンダ(ソプラノ)。練習中、一度も椅子に座らず、ヴィブラートも一切かけず、楽器は極力水平に近く構えて、よく判らないままとりあえず吹きまくってきた。なんだかサックスを吹きに行ったという感じではない。
バンダ隊は多士済々。東京都内やその近郊から曲者アマチュアを一堂に集めました、という趣(^^;。
いやー、どうなるでしょうか。楽しみなような、怖いような。

とりあえず、よろしくお願いいたします。>みなさま

都響プロムナード#321

Tirasi070203東京都交響楽団 プロムナードコンサートNo.321(サントリーホール)

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲(Vn:岡崎慶輔)
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
 指揮:小泉和裕

昨日聴いたコンサート。

見てのとおりの名曲コンサートながら、お手軽な感じは皆無。満席(全席完売)のサントリーホールの華やぎの中、たいへん充実した時間が過ぎていった。
それにしてもこの数年、都響で指揮者に小泉さんの名前がある時の「外れ」の無さは素晴らしいものがある。単に技術的に安定しているだけでなく、演奏のスタイルの的確さが徹底しているので、どのようなプログラムであれ音楽に集中して楽しんで聴くことができる。
10年くらい前に小泉さんが都響の首席指揮者をしていた頃は、正直そんなにいいとは思っていなかったんだけど、小泉さん自身の円熟と都響のオーケストラとしての充実がリンクして進行しているように思う。

ソリストもなかなか良かった。最初ちょっと鳴りがいまいちかなとも思ったが、2楽章から先は全く文句なし。さすが、難関ミュンヘンコンクールで1位という経歴は伊達ではない。
ブラームス2楽章のオーボエソロは本間さん。ブラヴォー。

« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »