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2006.10.16

栃尾克樹リサイタル

Tirasi061016栃尾克樹 バリトンサクソフォン・リサイタル(浜離宮朝日ホール)

J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番
G.フォーレ/エレジー
R.シューマン/アダージョとアレグロ
高橋悠治/影の庭(委嘱作品・初演)
高橋悠治/民衆に訴える
O.ヌッシオ/ペルゴレージのアリエッタによる変奏曲
 Pf:高橋悠治

栃尾さんのバリトンは、人の声のようだ。世に聞くバリトンサックスの音は、低音域はもっとゴーッと図太いし、高音域はもっと刺激的だし、中音域はどっちつかずの没個性な音がするけれど、栃尾さんの音はその点、質感における一貫性が人間の声を思わせるのだ(フラジオ音域はウラ声ということか)。こういう言い方は実はあまり好きじゃないが、「癒される音」だ。あまりに快い音で、聴いていて時々意識を失った(^^;。

だけど考えてみたら、そもそもバリトンサックスというのは昔からそういう音だったような。ミュールのカルテットや、昔(1950年代)のビッグバンドを聴いても、バリトンサックスは今よりもっと細身でコンパクトな音に聞こえる。1970年代にレコードで入ってきたデファイエ・カルテットのバリトン(神様ジャン・ルデュー)の音は、ものすごくブリブリと吹いているように聞こえ、日本ではそういうイメージのバリトンが一世を風靡したけれど、長じて実際に聴いたルデューさんの音は全然そんなことはなかったし、そう思って当時のレコードを聴き返すと、あら不思議、あの頃はいったい何を聞いてそんなふうに思ったのだろう、というくらい軽い音で、拍子抜けするのだ。

聞こえてくる音をこうやって言葉に書きとめる行為が、いかにその時代の感性や耳に左右されることか、と考え始めると、客観性などというものが信じられなくなる。
私たちに出来ることと言ったら、「その時に」聞いた、感じたことを、できる限り素直に表しておくことくらいだ。
良い演奏会だった。

しっかし高橋悠治のピアノ面白かったなあ(「高橋悠治」というのは私にとって、一人の人間・音楽家というより、とても観念的・抽象的な存在なので、どうしても「高橋さん」とは書けない)。
ある意味、「作曲家の弾くピアノ」の極北だな。楽譜を前にしてさらう、ってことをほとんどやっていないような感じ。決して間違った音符を弾いている訳ではないのに、聞こえてくるものがあまりにいつもと違うので、もしかしたらこれ全部即興で弾いてるのかしらん、という錯覚に時々陥る。
その高橋悠治の新作の、見覚えのあるような、ないような景色の街の中を、超簡単な地図1枚を頼りに宝探しをするような、不思議な音楽風景も、なかなかをかし。
2曲めに演奏された「民衆に訴える」は、上記リンク先ホームページで楽譜が公開されている。

アンコールに、マーラー「子供の魔法の角笛」より『美しいトランペットの鳴り渡るところ』(高橋悠治作品の元ネタのひとつ)、サティ「ジュ・トゥ・ヴ」、サン=サーンス「白鳥」。

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コンサート(2006年)」カテゴリの記事

コメント

10年ほど昔、2度ほど藤井一興氏と高橋悠治氏のピアノデュオを聞いた記憶があります。
一度は高橋氏の曲を中心としたプログラム、もう一度はメシアンの曲ばかりのプログラム。
メシアンの時も、時に藤井氏と聴衆をピアノで挑発し、時に藤井氏の音楽を鼓舞するようなリズムを弾いておられました。
悠治のサックス曲なんて、驚きです。そういう委嘱をする栃尾氏のセンスも流石ですね。

 某サクソフォンカルテットで、栃尾さんの演奏を聴く機会が無かった私、昨日初体験だったのですが、あまりに既存のBariのイメージとは対極な質感に感動しました。高音楽器でも、あのように吹ける方はそういないのでは?

 高橋さんのPiano、作曲家らしく「音や響きをを捕まえる」ような演奏が面白かったです。

>あまりに快い音で、聴いていて時々意 識を失った(^^;。

 そうでした、隣でアレレレと思ってま したが。。(^^ まあ本番直後で、  色々お疲れかなーと思いまして。

>KEIさま
高橋悠治、すごいカリスマ(死語だ)的というか、ただものでない雰囲気でしたね。見てくれはただのおっさんなんですが。
共演者に誰を選ぶかというのもセンスのうちなんだな、とつくづく思います。

>京青さま
なにしろ日曜も朝からお出かけで、全然休めていないもので…新作を追いかけ終わった時点で電池が切れました。今も眠いっす(じゃ早く寝ろよ、って)

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