夏の音楽
発表会の余韻冷めない中、週末へ。
今週は仕事を3日しかしていないのに、妙に疲れました。
久々に、つれづれCDご紹介の、お気楽編にてお送りします。
さてタイトル。バーバーの木管五重奏曲のことではありません。
夏になると、この曲が聴きたくなる。ダンディ(Vivcent d'Indy、1851-1931)作曲、『フランスの山人の歌による交響曲』。
ダンディの生まれ故郷、セヴェンヌ地方(フランス中央高地の南部)の山々の情景と民謡からインスピレーションを得た、フランスの「田園交響曲」。
あっけらかんと明るく分かりやすいメロディと、壮麗なハーモニー、ピアノソロを伴う清冽にして優美なオーケストレーションが、昔から大のお気に入りです。
もう30年近くも、夏が来るとやれ合宿だ、講習会だ、と、楽器を提げて山々の間の地に向かう生活を送ってきた。
東京生まれの東京育ち、「帰省」という習慣のない人間にとって、それはほとんど、日常の仕事や生活を置いて「故郷」に帰るようなものに近かったのかもしれない。
中央本線の特急とかに乗っていて、緑の山々が聳えているのが目の前に迫ってくると、なんだかとても高揚した気分になってくる。「今年もまた!」と。
そんな時に、昔だったらウォークマン、今だったらiPodに入れて、必ず持ち歩いていた1曲。
ダンディ氏はこの曲について、こう語っている(1887年)。
「…この曲に、私はアルプスの山々の雪を頂いた峰を、近くの山々を、ローヌ平野を、松の森を、未だ刈入れの済んでいない豊かな緑の収穫物を見る。冬の苦しみと労働の後でここにあるのは喜びである。パリで『芸術的世界』として求めるものはこれらに比べたらはるかにつまらないものだ。ここには真の憩いがあり、全ての芸術の真の源を感じる。」
たくさんの演奏を聴いてきたけれど(しかし演奏会場で聴いたことは一度しかない)、数年前に亡くなった名匠ペーター・マーク(都響に何度も客演した、思い出深い指揮者)がスイスのベルン交響楽団を振ったCDを取り出して聴くことが、一番多い。
ジャケットのルドンの絵も、曲の感じとはちょっと違うけれど、とても印象的(クリック拡大)。
残念ながら、版元(Conifer)が潰れてしまって、現在では入手至難なCD。
いま手に入りやすいところでは、例えばデュトワ=モントリオール響あたりが、わりといい演奏をしている。
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» ペーター・マーク指揮のダンディの「フランス山人の歌による交響曲」 [yurikamomeの『妄想的音楽鑑賞とお天気写真』]
今日も蒸し暑い梅雨の中休みになりそう。Schweizer_Musik 先生のところで企画「夏の音楽、ヨーロッパ旅行」というのをやっていて、それを読みながら。
ディーリアス、いいなぁ、そうそう。クーラーのない部屋で学生の頃よく聴いたっけ、「河の上の夏の夜」も定番でしたよ。トーマス卿の指揮でした。なんて想いながらダンディの「フランス山人の歌による交響曲」を聴きながら思いをはせるのです。
このダンディのたまらなく山の中にいるような、河原のキャンプの早朝。ちょっとジメジメした爽やかな風の中、朝食の... [続きを読む]
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