先日Amazon.comをふらふらしていた際に偶然見つけて注文した本が、アメリカから届いた。
開けてみて、「ぎゃーっ、」と叫んでしまった。
James C. Umble著、Jean-Marie Londeix, Master of the Modern Saxophone(Roncorp Publications)。
マルセル・ミュールの高弟にして、つい最近までボルドー音楽院の教授の職にあった、フランスの高名なサクソフォン奏者、かのジャン=マリー・ロンデックス(1932.9.20-)の評伝であります。
著者James Umbleは、現在オハイオ州ヤングスタウン州立大学の助教授であるアメリカのサクソフォン奏者。ミシガン州立大学のドナルド・シンタの下で博士号を得、1978-79年にはボルドーでロンデックスに学んだとのこと。
さて、何が「ぎゃーっ、」て、本が分厚いのにびっくりしたのだ。ほぼB5判、総ページ数660ページ、タイトル金文字、丸背のハードカバー上製本(思わず定規で厚みを測ってしまった。4.5cmありました)。なんと本文は英語・仏語併記。いやー、まさかこんな百科事典みたいな本だとは思ってもいなかったもので。
考えてみたら、購入価格は49ドルということは、1冊5000円以上。この豪華さももっともか。
しかし、普通の本屋さんで1冊5000円の本を買うとなったらかなり迷うと思うんだけど、ネット上だと結構気軽にポチッと買ってしまうわけで、ちょっと怖いかも。
内容は、Biography(おいたち)、Pedadogy(音楽について、奏法や練習法、テクニック、レパートリーについてのインタビュー)、Essays(サンジュレーからドビュッシー、デザンクロ、イベール、グラズノフ等を経てデニゾフ、ベッツィー・ジョラス、フランソワ・ロセ、クリスチャン・ロバに至る、サクソフォンのために書かれた44曲の作品についてのロンデックス自身によるノート)、資料集、と、おおよそ以上。
でもって、日付をはじめとするディテールの記録が滅多やたらと詳しいのが、一種、壮観である。例えば1981年の来日時には、何月何日にどこでリサイタル、曲は何、何月何日にNHKで何の曲を放送用に収録し、ピアノは誰、などということまで全部書いてある。どうやら原資料として、ロンデックス自身が60年近く前から克明につけている日記が使われたようだ。すごい… ロンデックスという人は、こういう本が書かれることを予測でもしていて、自分の人生を自らプロデュースするために日記をつけていたんだろうか?としか思えない用意周到さ。呆気にとられます。
たくさん載っている写真の中から、日本関連のものを2枚ばかりご紹介しましょう。(クリック拡大)

"Tokyo, 1983"と一言だけ説明された1枚の写真。
見ての通り、普門館だ。
おそらく、この年の6月の来日時に、普門バンドフェスティバル(というイヴェントが昔あった)にて佼成woと共演(R.ビンジのコンチェルト)した際の写真でしょう(左端にクラリネットの関口仁さんとおぼしき顔が写っている)。
ちなみに指揮は、当時25歳だった大友直人氏。
(ワタシ、この時客席にいたような気が。)

同じ頃の撮影と思われるが、日本人の生徒(東京サクソフォンアンサンブルの4名+1)に囲まれたスナップ。
皆若いですね。下地先生はしかし、この頃から貫祿があったようで(笑)
市川先生懐かしい。もう何年お会いしてないだろうか。
真ん中に写っている大山(旧姓田畑)先生に、私は22歳のときから初めて「ちゃんと」サックスを習いました。
とても美しい方でしたが、物凄く厳しい先生でした。…
というような、本です。
いやはや。
読み終わるのはいったいいつのことになるのか、見当もつかないが、少しずつ読んで行こうとは思う。
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