100年前のフォーレ
ここのところ忙しいので2日続けて早く帰るのは無理かと思っていたが、今日も帰れたので、ダッシュで日本フォーレ協会の例会へ。
日本フォーレ協会第XVII 回演奏会「100年前のフォーレとその周辺」(東京文化会館・小ホール)
フォーレ/アヴェ・マリアop.93
Sp:神谷明美、佐伯葉子、Pf伊藤明子
同 /小ミサ曲
アンサンブル・コンセールC
指揮:野平多美
同 /沈黙の贈物op.92
同 /シャンソンop.94
同 /ヴォカリーズ
Sp:石井恵子、Pf伊藤明子
同 /舟歌第8番op.96
ドビュッシー/映像第1集
Pf:江端津也子
ラヴェル/博物誌
Br:根岸一郎、Pf:林達也
デュカス/ヴィラネル
Hn:阿部麿、Pf:林達也
ルーセル/田舎風op.5
Pf:林達也
同 /ディヴェルティスマンop.6
Fl:三上明子、Ob:柴山洋、Cl:古澤裕治、Hn:阿部麿、Bn:田中成行、Pf:林達也
タイトルどおり、100年前、1906年前後に書かれた作品によるプログラム。毎年のことだけど、歌・ピアノ・器楽と何人もの演奏家が入れ替わりで、1曲長くてもせいぜい10数分程度の出番のために日頃鍛えた技を披露するという、なかなか盛り沢山な趣向で、よございました。
ワタシ的には後半の方が断然面白かったし演奏も良かったような気がする。『博物誌』を歌った根岸一郎という人は、見かけによらず(^^;繊細できれいな発音のバリトン・レジェの声の持ち主で、林達也氏の精緻なピアノともども今宵一番の聴きものだったのでは。
デュカスのヴィラネルを吹いているところを実際に見たのは初めてだけれど、ホルン吹きの方には常識なのかもしれないが、この曲って前半はロータリーを一切使わない(ナチュラルホルン状態)で吹くんですね。知らなかった。音階的なパッセージは右手のコントロールで吹くので、音色の全然違う音が並ぶのが楽しい。
最後ルーセルのディヴェルティスマンは、ホルン以外はかなりのベテラン揃いの木管五重奏で、これまた楽しかった。しかしピアノ+木五の曲って、なんかこうオチャラけた曲が多いのね。
1906年ですか。フォーレは61歳、パリ音楽院の院長に就任したばかり。ドビュッシーは今の私と同じ、44歳(ワタシはドビュッシーと100歳違いなのだ。別にエラかないけど)。『海』を初演した頃。ラヴェルは31歳の新進作曲家。かと思うとサン=サーンス71歳、マスネ64歳といった前世紀の大家も健在。モンマルトルには25歳のピカソが住み、マチスが野獣派の展覧会を開き、コクトー、ストラヴィンスキー、ディアギレフといった20世紀を彩る天才たちが「デビュー前夜」の時を過ごしていた。
まさに「時代の転回点」という、面白い時代だった訳だ。今の目から見れば。
百年後から今の2006年という時代を見ると、どうなるのだろう。そんなこと誰にも分からないけど。
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