ベニー・グッドマンの「クラシック」
「スウィング王」ベニー・グッドマンの演奏する、ウェーバーのクラリネット協奏曲を聴く。
ウェーバー/クラリネット協奏曲第1番、第2番
メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」組曲
ベニー・グッドマン(Cl)
ジャン・マルティノン指揮 シカゴ交響楽団
ベニー・グッドマンといえば、クラシックもジャズも共に演奏する両刀遣いの演奏家の元祖のような存在だった。
サックスなんぞという楽器でクラシックをやっている我々には完全には実感できないことかもしれないけれど、「正統的」なクラシック・ジャズ両ジャンルの演奏家・愛好家の間には、埋めがたい断絶のようなものが長いことあったし、今でもそれは解消された訳ではないだろう。
ベニー・グッドマンはそんな時代にあって、「クラシック、」「ジャズ、」とかしこまること無く、自然体のままで、両方のジャンルの最高レベルの演奏を為し得た、パイオニアのような「音楽家」だった。
映画「ベニー・グッドマン物語」の中でも、モーツァルト?の本番をやらなければならなくなった際に、周囲の心配をよそに見事な演奏を披露して、喝采を浴びる、という場面があったような記憶がある。(昔テレビで1回見ただけなので不確か)
グッドマンのモーツァルトは長年の愛聴盤だったけれど、最近タワーレコードのオリジナル企画で、ウェーバーの2つの録音が世界で初めてCD化されたのだ。めでたし。
マルティノン=シカゴ響のバックも、ゴージャスの極み。
フィルアップの『真夏の夜の夢』もなかなか聴き物。さすが天下のシカゴ響、大抵の演奏ではモタモタする難曲の「スケルツォ」も、全く危なげなく見事なものだ。これに対抗できる精度の演奏のCDはデュトワ=モントリオール響くらいのものでは? 4曲だけの組曲なのが残念…
…
ついでに、グッドマンのモーツァルトのCDもご紹介しちゃいましょう。
モーツァルト/クラリネット協奏曲、クラリネット五重奏曲
ベニー・グッドマン(Cl)
シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団
ボストン・シンフォニー弦楽四重奏団
このジャケット、いいでしょ。1997年にアメリカBMGで「タングルウッドのモーツァルト」と題してCD化された時のもの。いま手に入るのは違うデザインだと思う。
1970年代には日本国内でも廉価盤レコード(1300円とか1500円とか)で何度も発売されていたので、私としてもお馴染みの演奏だった。モーツァルトのクラリネット五重奏曲は、この演奏が「刷り込み」。いま改めて聴いても、たいへん開放的な幸福感にみちた、素敵な演奏だと思う。
ただ、「協奏曲」のほうは少々好き放題にやり過ぎな感じもあって、その点、五重奏曲のほうが「らしく」聞こえる。ミュンシュ指揮のモーツァルト、というのは貴重ではあるけれど。
« シーズン開幕、都響&デプリースト | トップページ | 新日本フィル400回定期 »
「CDを聴く」カテゴリの記事
- なつかしい風景(2022.06.25)
- ラモー(2020.09.25)
- ラヴェルの誕生日に(2020.03.07)
- クリスマスにはフォーレのレクイエム(2018.12.24)
- 10月の終わりに(2017.10.31)
奇遇ですね。私も近々ウェーバーの協奏曲のCDについて書こうと思っていたところです。
ベニー・グッドマン物語のDVDも持ってまして、そうですね、確かにモーツァルト(だったと思う)のクラシック演奏のシーンがありました。脚色かもしれませんが、もともと両親はクラシックに向かわせたかったようですね。
投稿: mcken | 2006.04.14 12:13
ウェーバー、結構好きです。
一般的な演奏でしたら、カルボナーレの吹くArts盤がお気に入りです。
グッドマンのクラシック録音では、あとニールセンの協奏曲なんてのもあるそうで、これは一度聴いてみたい。
投稿: Thunder | 2006.04.15 11:11
自己レスです。
当ブログの読者の方からご教示をいただいたのですが、今回「世界初CD化」と銘打って発売された(CDの帯にそう書いてある)グッドマンのウェーバーですが、1986年になんとRVCの国内盤でCD化されていました。
しかも、カップリングがまさに、ニールセンの協奏曲。驚きました。こちらのバックはモートン・グールド指揮(!)のシカゴ交響楽団。
貴重な情報をありがとうございました。
投稿: Thunder | 2006.05.02 23:17