右手だけで吹けるサクソフォン
先日届いたSaxophone Journalの最新号(Jan/Feb 2006)に、興味深い記事が載っていた。
アメリカ・ネブラスカ州キアニー大学のサクソフォンの教授David Nabbと、Stelling Brass and Windsを主宰するJeff Stellingの共同開発になる、右手だけで全ての操作・演奏が可能なサクソフォン、というもの。
右に飛び出ているのは、何かのレバーではなく、単なる把手のようだ。(クリック拡大)
原理としては、右手主鍵列のキーを、双方向が各々に、或いは同時に動くシーソー型のキーとすることによって、左手側のトーンホールも操作可能とするという、アイディアとしては比較的単純なもので、記事によるとその昔Conn社で同様の製品が作られたことがあったらしい。ただその製品は、操作性の上ではかなりの制限があった、とのこと。想像するに、左手で操作するサイドキーの右手部分への集約化が完全ではなかったのだろう。
主キー拡大写真
今回紹介されているこの楽器では、オクターブキー、低音B、Bbキーを(バリトンのLowAキーのように)右手親指掛けの周りに、左手小指のC#、G#キーを右手小指に、左手サイドの高音パルムキーを右手サイドに配置することで、サクソフォンの全ての音域が右手だけで演奏可能となっている。
フィンガリング・チャート(部分)(クリック拡大)
運指も、見てのとおり普通の両手用のサクソフォンとかなり似た規則性があるため、その気になれば比較的容易に習得可能なのではないかと思われる。
記事中には、左腕のない東洋系の顔立ちの少年が実際にこの楽器を演奏している写真が載っていた。
ちょっと、感動した。
こういうものを発想し、実際に実用性あるものに作り上げるということこそ、真に偉大なクラフトマンシップというものだ。
記事本文はまだそんなに詳しく読んでいないのだが(英語は気合入れて読まないとならないもので)、とりあえずご紹介させていただく次第。
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コメント
はじめまして、イカサマと申します。
いつもコソッと拝見させていただいています.
半年前の日経新聞で福岡のサウンド楽器さんが腕に障害を持った方がサックスを演奏したいとの依頼を受けて実際に片手で演奏できるサックスを作ったことがあるという記事を見ました。
片手でも演奏したいと願う依頼者・それに応える技術者、どちらにも尊敬の念を抱くとともに、実際どんな造りだったのか非常に興味がありました。
またお邪魔いたします。
投稿 イカサマ | 2006.01.15 08:18
コメント有難うございました。
そうですか、日本にも同じことを考えた方がいらっしゃったのですね。
片手用のサックスが存在するという話は、私も以前どこかで聞いたことがあって、興味を持っていたところでした。
(個人的な話ですが、私の亡母は最後の十数年、神経障害のため左手が動きませんでした。そういう状態を横目で見ながら自分はサックスを吹きまくっていた訳でして…)
考えてみれば、サックスで右手主鍵を操作する音というのは、左手は基本的に全部塞がっている訳ですから、判ってしまえば原理は意外と明快なのですが。
実際に製品化されるに当たっては、幾多の困難があったものと思います。実現に尽力された方々に心から敬意を表する次第です。
投稿 Thunder | 2006.01.16 01:12