今年の「さよなら」…ベルティーニ
ガリー・ベルティーニ(指揮者、東京都交響楽団・前音楽監督、1927-2005)。
3月には、この人との永遠の「さよなら」もあった。
まさかこんなに早く亡くなるなんて思ってもいなかっただけに、ニュースを聞いた時は呆然としましたよ。
都響の音楽監督は辞めたものの、桂冠指揮者として引き続き客演が続くということだったので(実際、2006年の再来日は決まっていたらしい)、また聴ける日を楽しみにしていたところだった。
この人の指揮は、アクションは大きいのだが、無駄に大振りという感じは全然なく、しかも動き出しがものすごく鋭くてスピードが速かった。
あのスピードと瞬発力で、腕であれだけ大きな図形を宙に的確な形で描き出すというのは、並みの身体能力ではない(私にゃ出来ません)。音楽の深い理解という以外に、スポーツマン並みの身体訓練も必要だったはずで、亡くなってから77歳というこの人の年齢を改めて聞いて、記憶にあるその指揮姿とどうにも結び付かなくて不思議だったものだ。
世間一般的には充分「おじいさん」の年齢で、いつ亡くなられたとしても別に不思議ではなかった訳だけど。
先日遂にCD発売された、都響との最後の演奏であり、日本で最後の指揮となった、2004年5月のみなとみらいホールでのマーラー「9番」を聴いている(Fontec)。
どこが良いとか悪いとかいう単純な考え方を超えた、ある種特別な演奏で、実際に演奏会場で聴いた時もそう思ったし、今になって聴き返してみても尚更そう感じる。
実際その場に居合わせなかった人が初めてこのCDを聴いたとしても、ここにある特別な感情はおそらく伝わるのではないかと思う。
素晴らしい演奏ではあるけれど、その素晴らしさがうまく言葉にならない。
また、聴き始めると途中で止めることがどうしても出来ない、磁力のようなものが働く演奏なので、この先そう何回も聴き返すことは出来なさそうな気がしている。
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