シャブリエの「田園組曲」
この季節(11月終わりから12月はじめ)になると、シャブリエを聴きたくなる。
シャブリエ/楽しい行進曲、ポーランドの祭り、スラヴの踊り、ハバネラ、狂詩曲「スペイン」、田園組曲
ジャン=バティスト・マリ指揮 パリ・オペラ座管弦楽団(東芝EMI)
私が高校2年生の時だから、1978年。27年前ですか。
当時、FM東京に「ルーテル・アワー」だか「ルーテル・クラシック・アワー」だったか、日本ルーテル教団がスポンサーの30分のクラシック番組があって、時々聴いていた。
毎回、その日に放送されたレコードを聴取者に抽選でプレゼント、というのがあって、たまたま応募して当たったのが、このレコードだった。ちょうど今頃の季節。
お小遣いで月1枚の廉価盤LP(1300円とか1500円とか)ぐらいしか買えなかった当時としては、フルプライス盤、しかもバリバリの新譜(1977年録音)というのはなんだかとても嬉しくて、毎日のように自分の部屋のコタツにもぐりながら聴いたものだ。
有名な狂詩曲「スペイン」は、バレンボイムのレコード(9/16のエントリ参照)で既に親しんでいたけれど、このレコードでは、続いて入っている「田園組曲」に心惹かれた。心酔した、と言っても良い。トライアングルのソロによる印象的な導入から、空の高いところへ手を引かれて舞い上がっていくかのような「牧歌」、一抹の都会的な愁いを含んだ野の明るさ、とでもいうような続く「村の踊り」「木陰で」「スケルツォ・ヴァルス」。
心のどこかに空洞があったとして、そこにぴったりと納まって邪魔にならない、そんな音楽だった。
高校生くらいの人間が、「若々しい」とか「希望に満ちている」などというのは、嘘だ。
そのぐらいの年代の人間は皆、意識しているしていないに関わらず、心の中に「虚無」を飼っている。
大人と同じように、あるいは大人よりもっと切実に、「癒し」を求めているはずだ。
…数年前に、この演奏がCD化されていることを知って、買った。
ジャケットデザインも当時のLPと同じなのが、嬉しい。12cm四方の小ささは仕方ないけれど。
以来、この季節になると、聴きたくなる。
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シャブリエ、私も好きです。田園組曲はいい曲ですね。アニー・ダルコのピアノの演奏を聴いて、ほれこんだ私は、実際に自分でピアノで弾いてみたりもしました。技術的には難しくなく、アマチュアでもとりあげられる曲として、実演の機会が増えるといいな、と思っている曲のひとつです。
マリの演奏はまだ聴いていないので、探してみます。
投稿: mcken | 2005.12.06 00:56
正直、このエントリにコメントが付くとは思っていませんでした。
しかし、そういえば以前、「楽しい行進曲」、という何気ない一言に鋭く突っ込まれたことがありましたっけ。
アニー・ダルコのCalliope盤、いいですね。ピアノ版の中では私も一番好きな演奏です。最近ちょっと入手しにくいようですが。
投稿: Thunder | 2005.12.07 01:24
10年ぶりぐらいに書き込みます、大ファンです。
田園組曲、マリのは買えませんでしたが、プラッソン&トゥールーズ最高です、もうあまり聞けない、自分も長年変えなかった懐かしのフランスのクラリネットの音が素敵です。
ところで「楽しい行進曲」のホルンで全くトリルをつけない演奏がありますね、スコアをみると出てくる度に作曲者の指定が違うので、まあそれなら仕方ないかと思いますが。
投稿: hachiro | 2017.09.26 22:17
コメントありがとうございます。
プラッソン=トゥールーズの明るく軽い音色もいいですね!
「楽しい行進曲」のスコア、IMSLPで探して見ちゃいました。なかなかトリッキーなスコアですね。
マリ=オペラ座ですが、嬉しいことについ最近CDが再販されています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B06XCF7KXW/
投稿: Thunder | 2017.10.02 00:52