私の、原点
ヤフオクで500円で落札したCD。
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲
シャブリエ/狂詩曲「スペイン」
ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
イベール/寄港地
ダニエル・バレンボイム指揮 パリ管弦楽団(CBSソニー)
バレンボイム若ェ。そりゃそうだ。これは、1975年のシーズンからパリ管の音楽監督に就任したバレンボイムの、就任記念録音なのである。時にバレンボイム33歳。
実はこの録音は、私が高校に入学して間もなく買ったLPレコードと同じもので、私にとって、現在に至るフランス音楽好きの原点ともいえる音源なのです。『ダフニスとクロエ』の「夜明け」や『牧神の午後』の、それまで聴いたこともなかったハーモニーのうねりや、『寄港地』のエキゾティズム、シャブリエのはじける色彩、モーリス・ブルグ(Ob)やミシェル・デボスト(Fl)をはじめとするパリ管の管プレイヤー達の名人芸の、まさに「虜」になったのだった。
LPレコード本体は、高校を卒業する時に後輩にあげてしまったので、今回実に25年ぶりに聴いたことになる。
懐かしい。耳の奥底に残っているのと同じ音が聞こえてくる。その後様々な演奏を知った耳で聴くと、いささか重すぎてワーグナーみたいに聞こえる時もあるが。
しかしこの演奏、33歳の指揮者が振っているという「若さ」が微塵も感じられないのが面白い。まるで、老マエストロが頑としてインテンポで振っているような雰囲気。バレンボイムという人はこんなふうに若い頃から老成していた天才だったんだな。
なぜ高校1年生の自分がこんなレコードを買ったのかというと、要するに当時の(中~高校生の)私はマニアックなブラバン少年で、70年代中頃の吹奏楽コンクールの世界(但し全国レベル)というのが、まさにフランスをはじめとする近代音楽発掘の時代だったからなのですね。
出雲一中の「ダフニスとクロエ」、銚子商業高校の「寄港地」、秋田南高校の「ペトルーシュカ」、駒澤大学の「火の鳥」、「春の祭典」などが、吹奏楽コンクールの全国大会でほんの2~3年の間に演奏されたのだ。豊島十中のショスタコーヴィチ「5番」のフィナーレを、予選会場の日比谷公会堂の客席で息を呑んで聴いたのもこの頃。
「著作権」などといううるさいことは、まだ殆ど騒がれていなかった。やりたい放題。ちょっと前の中国や香港みたいな感覚だったのかな。
コンクール全国大会のライブ録音は、CBSソニーからレコードが発売されて、やはりマニアックな友人たちと競うように買って聴いたものだ。
そんな折りに、「ダフニス」と「寄港地」の原曲が入っている新録音のレコードを見つけて、偶然買ったのがこれだった、という訳。
今となって考えるに、この曲目構成は、近代フランス音楽の入門に実にふさわしく揃っていると思う。
ドビュッシーとラヴェルの二大巨匠の傑作に、「それ以前」を見通すシャブリエ、「それ以後」の6人組や新古典派へと通じるイベール。
このレコードをきっかけに、ラヴェルの作品を知りたくて集めたクリュイタンス指揮の廉価盤や、FMで聴いて衝撃を受けたマルティノン指揮のドビュッシー「夜想曲」、たまたま貰ったシャブリエ作品集のレコード、フォーレやプーランク、ダンディの作品との出会いを通して、どんどんハマっていったのだった。…
という訳で本日は、新着CDとはいいながらとっくの昔に廃盤になっているCDについての、超個人的なお話でした。
さて明日は本番だ。そろそろ寝るか。
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コメント
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わっ、出雲一中の「ダフニスとクロエ」と見て反応してしまった私。。私がこの演奏を聴いたのは、演奏されてから7年後のことでした。私等の学生時代は、確かにこの辺りの曲がよく演奏されましたね。「牧神~」は大学の授業&定演でやったけど、難しかったですよー。
投稿: 京青 | 2005.09.18 15:11